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キング・タイガー
天下無双の独逸帝国
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ふと、眼が覚めた。 周りは広大な砂漠だ。 砂浜が広がっている。 あてもなく歩く。 まえの、雪原を歩いているパターンと同じだ。 砂漠といえば、独逸帝国の、あえて独逸帝国というのだ。 アフリカ軍団だ。 アフリカ軍団はロンメル将軍の軍団だ。 砂漠のキツネだ。 英国軍を煙にまいて、チャーチルをして、ロンメルめ、ロンメルめと言わしめた知将だ。 ヒトラーのやっかみで自殺を余儀なくされたロンメル将軍に、仮想戦記では、ヒトラーが倒れてロンメル将軍のドイツ軍のパターンの多いことか。 それほど、人気と人望が現在もなくならない将軍だ。 英国軍からの戦利品の風防メガネがトレードマークだ。 そんなことを考えていたら、聞えてきた。 無限軌道の音だ。 そして、ダイムラーエンジンの音だ。 今度は隠れる必要はない。 なぜなら、日本は独逸帝国の同盟国のはずだ。 やがて、キング・タイガーの大きな車両が現れた。 2号や3号戦車、いや4号でも十分だが。 いきなり、最強のキング・タイガーだ。 「おお、実物は初めて見る、やはり鉄板だな。」 と、いいつつ手を振った。 やがて、タイガーはオレの前で停止した。 コマンダー(車長)が、「君は日本人か。」 と聞いた。 もちろん、ドイツ語だ。 オレはドイツ語で、「Ich bin Japaner」 と答えた。 すると、コマンダーが、「君はドイツ語がOKなのか。」と今度は日本語で答えた。 なんでも、日本の武官と仲良くなり自然と日本語を覚えたらしい。 なら遠慮なく。 「喉が渇いています、なんか飲ませてください。」 と頼んだ。 「おお、いいよ。」 と気兼ねなく水筒を渡してくれた。 「ところで、なぜ砂漠の真ん中に1人でいるのだ。」 とコマンダーが聞いた。 「え、え、なんとなく。」 とごまかした。 コマンダーも深く追求はしなかった。 「私らは、作戦中だ、ここらで、すまんが。」 「え、え、しかし、ロンメル将軍はキング・タイガーを知ってるんですか。」 「うむ、これは、試験的に1両だけ陸揚げされたヤツだ。」 「そうですか、パンターはエンジン火災が起きて使えないですからね。」 「しかし、工兵隊は?」 「うむ、よく知ってるね、あとから続いてくるんだが。」 「なんせ、常に整備の兵や部品がないと、でかい鉄のカタマリにすぎないからね。」 「なんと、手厳しいが、そのとうりだ。」 「では、ご武運を。」 「あ、あ、君もな。」 と手を振り分かれた。
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