ラジオコントロール飛行機物語。

ゆみすけ

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眼下に広がる満州平原だ。

戦車が玩具のようだ。

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 大連港を離れて・・・1時間ほどで、奉天の都の上空だ。
「これが、上空から観た奉天の街か。」と、公園を中心に道路が造られている奉天の街を見下ろす。
 満州は草原に出来た国である。
それで、都市計画が日本の援助で進んでいると聞く・・・
 一部には、それなりの建築物があるようだが・・・まだまだのようだ。
長春を過ぎてハルピン上空だ。
 ハルピンも、奉天ほどではないが・・・それなりの街がひろがってるようだ。
犬塚君が無線操縦の送信機を点検中である。
 電源を入れて・・・送信ボタンを押す。
すると、飛行爆弾の尾翼の舵が左右に動くのだ。
 ボタンを3回連続に短く押すと、エンジンコントロールができるのだ。
エンジンのキャブレターのチョークの調整はサイトウ君が調整をしている。
 エンジンは、サイトウ君が専門だからだ。
エンストして、機体がソ連軍に鹵獲されては、軍事機密が漏れる可能性もあるからだ。
 自爆装置があるが・・・自爆装置が作動しないかもしれない・・・
「犬塚君はAchだ、混信しないように水晶片は入れ替えたね。」「あ、あ。」
 50メガサイクルの電波を使う送信機である。
ソ連軍は、まだ50メガサイクルの電波は感知できないだろうが・・・
 油断はできないからね・・・

 「そろそろ、黒龍江です。」と、機長が伝えてきた。
爆弾庫の扉は開いているから・・・眼下が、よく見えるのだ。
 いちおう、落ちないように命綱を腰へ結んでおく。
「ソ連軍は、どこの居るのかな。」:と、探す犬塚君だ。
 東京光学の6倍陸軍用双眼鏡は視界が広くて使い勝手がいいのだ。
日本光学も捨てがたいが・・・海軍用だ。
 比べても見え味に差はないようである。
しかし、内部のブリズムが銀蒸着してある東京光学製は、口径30ミリにしては視界が明るいのだ。
 日本光学は7倍の海洋用が見えはいいのだが・・・重たいのだ。(なんと、3キロだ。)
それに、完全防水だからか、デカイのだ。
 ところが、東京光学の6倍は、小型で軽いのだ。(300グラム)
口径は30ミリで軽防水だ。(日本光学は水深2メートルまで可だ。)
 つまり、雨程度ならOKということだ。
そして、6倍は手振れしても影響は少ないのだ。
 現在のようなスタビライザーが付いてる訳ではないからね。(キャノンのやつだ。)

 「いたぞ。」と、サイトウ君が叫んだ。
眼下に、ソ連軍戦車が小さく見えるのだ。(まるで、玩具の戦車だ。)
 「いるぞ、いるぞ。」と、爆弾庫の開いた扉から眼下を観る。
「よし、まずは1機からだ。」と、サイトウ君がエンジンを掛けて投下する。
 そして、送信機のボタンを、ポンポンと短く押した。
無線操縦飛行爆弾は、大きくカーブを描いて降下していく。
 「一番、後ろのヤツからだな。」と、セオリ―道理に後ろからの攻撃だ。
戦車は前面は装甲が厚いのだ。
 ところが、エンジンのある後部は装甲は薄いのだ。
それに、エンジンをヤラれたら戦車は動けない。
 動けない戦車は単なるオブジェだ。(鉄の置物。)
爆撃機内もエンジン音が五月蠅いから・・・音通電話のイヤフォンで通話するのだ。
 でないと、エンジン音で耳鳴りなどの難聴になりやすいのだ。
最近、やっと音通電話もコードがなくなったのだ。
 腰へ電池と無線電話装置を附ければいいのだ。
しかし、電池が小さいので、通話距離は10メートルほどだ。(機内での使用はバッチリだ。)
 小型の複合真空管が完成したからである。
それも、無線操縦飛行爆弾の操縦装置で開発された真空管を使ってるのだ。
 無線操縦飛行爆弾は、スーーーーッと、一番後ろの戦車のお尻へ・・・
途端に戦車は後部が爆発して・・・ハッチからソ連兵が逃げ出した。
 蟻ん子のようなソ連兵が逃げて・・・やがて、戦車が大爆発だ。
戦車内の砲弾へ引火したらしい。
 そりゃあ、逃げるわけである。
戦闘機も不時着したら、操縦士がハッチから逃げ出すのだ。
 なぜなら、燃料タンク内のガソリンへ引火して・・・大爆発するからだ。

 「なかなか、操縦が・・・うまいな。」と、犬塚君が今度はオレだとばかりに無線操縦飛行爆弾のエンジンを掛けて・・・投下する。
 ポン、ポンとボタンを押すが・・・サイトウ君の操縦がやはり一歩うまいようだ。
 旋回するのだが・・・廻りすぎて、あて舵を・・・電子工学は犬塚君だが・・・飛行機関係はサイトウ君なのだ。
得て不得手は、誰にもあるものなのである。
 なんとか、2両目を撃破して・・・面目を果たした犬塚君だ。
「送信機の調子は?」と、機長が聞いてきた。
 発電機の電圧の計器盤の目盛りが、ふらついてるらしいのだ。
つまり、電圧が一定ではないようなのだ。
 それでは、送信機の出力が振らついてしまう・・・
「いかん、見てきてくれ。」と、犬塚君へ注文するサイトウ技師だ。
 発電機はエンジンからの動力をベルトで発電機のプーリーへそして、発電機を廻して発電しているのだ。
以前は直流発電機だったが・・・交流の効率がイイやつへ交換されたのだ。
 それで、高出力の送信機が運用できるようになったのだ。
この九七式双発爆撃機にも使われているのだが・・・交流をコンバーターで増幅してるのだが・・・
 回路に電解コンデンサーというデカイ部品があるのだが・・・発電電流の増減でパンクすることがあるのだ。
すると、発電電流が安定しないで振らつくのだ。
 それでは、送信機が周波数を維持できなくなりかねない。 
つまり、無線操縦飛行爆弾がノーコンになりかねない。(ノーコンとは、ノーコントロールのことだ。)
 そうなのだ、無線操縦ができなくなるのだ。
すると、墜落して敵に鹵獲される危険がある。
 だから、自動自爆装置が働くのだ。(空中でボカンである。)
「いかん、電解コンデンサーが破裂してるぞ。」と、犬塚君が・・・
 「替えのコンデンサーは、どこだ。」と、部品庫を漁る犬塚君だ。
「無いぞ、無いぞ、どうすんだ。」と、不安な顔が・・・
 


 


 

 
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