伊号式潜水艦。

ゆみすけ

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これは、棺桶だぞ・・・

ドイツ海軍でなくて、よかったと心から思う。

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 マツモト君は飛行艇基地からランチで曳かれたドイツ海軍の潜水艦を見に・・・
アランも、当然に同行する。
 アランはマツモト君から離れないレツなのだ。(ホモではないが・・・)
もちろん、嫁さんには内緒だそうだが・・・
 「これが、ドイツ海軍の潜水艦か・・・」と、黒い船体を初めて見るアランだ。
「すこし、我が潜水艦とは差があるようだな。」と、マツモト中尉だ。
 「そこは、ドイツだからパクることはゲルマン民族の誇りが許さんだろうて。」と、アランだ。
「まあ、ジーゼルで発電して蓄電池で潜航する原理は同じようだな。」と、一目で見抜くマツモト中尉だ。
 「まさか、そこはジーゼルはドイツの発明だからな。」と、アランがいう。
「さて、艦内はどうなってるかな・・・」と、マツモト君が最初に入った。
 しかし、「いかん、空気が汚いぞ。」「入れ替えねばならんぞ。」と、3ヶ所のハッチを開けはなす。
「だぶん、蓄電池の水素漏れが事故原因だな。」と、マツモト君が判断する。
 「やはり、蓄電池や乾電池は日本製が最高だな。」と、今更な意見だ。
世界で最初に乾電池を考案したのは日本人なのだ。
 特許の時間差はあるのだが・・・扱いが困難だった液体電池から乾電池を考案したのだ。
現在の単一や単三などの円筒形の電池は戦後に普及したのである。
 ナショナルの砲弾型の自転車のライトは三角形の積層乾電池だ。
ちなみに、単一、とか単2と呼称するのは日本独自だ。(諸外国はAAとかAAAとかだ。)

 カナリヤの鳥かごを炭鉱ではないが、空気検査用に持って潜水艦へ・・・
「これが、ドイツ製の潜水艦かよ。」と、感想を述べるマツモト中尉だ。
 「まさに、ゲルマンらしい艦内だな。」と、いうのだ。
やたらとパイプやバルブが・・・天井から側面にあるからだ。
 「まだ、完全には空気が入れ替わって無いな。」と、思ったが機関を動かしてないからだが。
マツモト君やアランの2名では無理な話である。
 とりあえず、殉職者がいないか、危険が無いかの検査である。
「ここで、50名あまりの乗員が暮らしていたのか。」と、それなりに狭い艦内を検索する。
 「個室は艦長室だけだな、それでも狭いぞ。」と、2畳くらいのスペースを見る。
「士官も兵卒も、相部屋だな。」と、3段ベットを確認する。
 「オレは英海軍でよかったよ。」と、アランだ。
「そうだな、かなり劣悪な環境だな。」と、マツモト中尉が感想だ。
 「さすがに、女子トイレは無いな。」
「潜水艦に女子トイレがあるのは、日本と英国だけだよ。」と、マツモト君がいう。
 日本はシナからの邦人救出で女子トイレを必要と考えたようだ。
それ以来、女子トイレが標準で装備されるようになったらしい。
 英国は、マーガレツト王女の潜水艦隊だからだが・・・

 ドイツ製の試作潜水艦は英海軍がサルベージして・・・ポーツマス軍港の閉鎖ドック内へ隠されることになった。
まあ、仮想敵国の兵器だ。 軍事機密なのである。
 そして、ピッカーズ重工の技師らが検証することとなる。
英海軍のMP(軍隊内の警察)が監視する中を技師らが潜水艦へ・・・
 解析には、マル1日かかったのだ。
つまり、それほどやっかいな兵器だったということだ。
 技師らは危機感をもって会見に臨んだのだ。
「では、解析した結果を発表してくれたまえ。」と、海軍大臣だ。
 ドイツの潜水艦は英国にとり脅威ということだから、大臣までもが臨席だ。
「ピッカーズのサイモンです。」
 「おお、サイモン博士ですか、どうぞ。」
「ジーゼル機関は3000馬力の26気筒エンジンです。」
 それで、海上は20ノットは出せるかと・・・」
「なんだって、20・・・」
 「我が海軍より速いじゃないかっ。」と、アランが叫ぶ。
英海軍の潜水艦は18ノットで、海中は7ノットが実用限界なのだ。
 「そこは、ジーゼル機関の発明国だからだな。」と、海軍大臣がいう。
「ところが、モーターはイマイチなんですよ。」
 「やはり、日本製のモーターには勝てないようです。」
日本製のモーターは磁石が違うのだ。
 磁石の製作技術は日本が最先端なのだ。
そして、その技術は日英同盟で英国も共有しているのである。
 「つまり、海中は我が英海軍が優勢だと・・・」
「そうです、ドイツのモーターでは7ノットは無理かと・・・」
 「そうですね、あのモーターでなら5ノット程度かと・・・」
「時速9キロか、そんなものか。」
 「いや、当方も時速14キロほど・・・そうか、そこは有利だな。」と、納得する大臣だ。
まあ、50歩100歩だが・・・速度の差の5キロは大きいのだ。
 「まだ、アクデブ・ソナーの性能がはっきりしません。」
「それに、パッシブ・ソナーは見たところトントンの性能かと・・・」
 「ふむ、問題はアクデブ・ソナーだな。」
「ここは、実験するしかないな。」と、大臣が言い出した。
 「まさか、ドイツ製の潜水艦を運用するのですか。」と、アランが聞く。
「運用しないと、ソナーの性能がわからんじゃないか。」
 「そうですが、バレやすいかと・・・」
「そうだが、ドイツ製と外見がわからなくすればいいだろう。」と、カンタンにいう海軍大臣だ。
 「でも、事故った潜水艦を誰が運用するんですか。」
「そこは、君しかおらんだろう。」と、指名されるマツモト艦長だ。
 とんだ、貧乏クジである。


 


 
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