零式輸送機、満州の空を飛ぶ。

ゆみすけ

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たまには娯楽も、いいものだ。

初めての試みですが、いけそうですね・・・

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 ガヤガヤと隊員たちが集まってきた。
場所は格納庫前の駐機場だ。
 「おや、輸送機が出てるぞ。」
「出動とは聞いてないが。」
 「歓迎、凛麗姫様って垂れ幕が・・・」
「そうか、聞いてた慰問会だ。」
 ウワサがウワサを呼んで~
満州国の姫様が、わざわざ足を運んで激励の慰問とのウワサだ。
 「そうか、ウワサは本当だったんだな。」と、納得する隊員らだ。
2機の輸送機が向かい合っている。
 その中間に工兵がこしらえたステージが出来ていた。
まあ、木箱の上に板を張っただけだが・・・そこは、軍事専門の工兵だ。
 戦車が乗っても壊れないとか・・・
最低限の守衛以外は見学するようにと・・・お達しがでていたんだが・・・
 娯楽が乏しい満州国の派遣軍駐屯地だ。
欠席するヤツなんて、皆無だ。
 もちろん、駐屯地で雇用している奉天市民も見学だ。
総勢は200名ほどになったようだ。
 ステージでは、満州国の宮廷楽師らが・・・調律や音合わせに・・・
まあ、前座みたいなものだ。
 中央にはマイクとスタンドが・・・

 やがて、満州国宮廷通詞が出てきた。
日本語が、それなりにできるからだ。
 「本日は、お日柄もよく・・・」と、お世辞を述べる。
ステージの隅に置かれているスピーカーから音が聞こえる。
 もちろん、電気音声増幅器で拡声された音だ。
なかなか、音質は悪くない。
 内地のレコード会社の技師も、当時としては最先端の技術があるようだ。
「では、凛麗姫が皆様へご挨拶を・・・」と、通詞はさがる。
 ここで、拍手役が・・・拍手を始める。
要は、サクラだ。
 隊員らも拍手を始めたからだ。
やがて、凛麗姫が・・・・
 満州国の姫だ、当然に宮廷衣装で登場かと・・・
ところが、ところがである。
 なんと!
華麗な軍装なのだ。
 それも、女性士官用の金ぴか襟章の・・・階級までは・・・判別できないな・・・
内地の陸軍省や海軍省には女性の軍属官僚も数人存在していた。
 なぜなら、日本の最高神は女神様だからだ。
それで、目付役として女性の軍属官僚が・・・階級は少佐からだそうだが・・・
 野郎の軍令部幹部の無理なゴリ押しの作戦実行を防ぐためだ。
なんせ、日本のオナゴは山の神である。
 裏では・・・恐ろしい神様なのだ。
オナゴという生き物は将来を見据える生物だ。
 野郎は過去にこだわり過ぎるからだ。

 「兵隊さんの皆さま。」「2度に渡って、この満州国を救ってくださって感謝に耐えません。」
「ありがと・・・ありがとうございます。」
 なぜか、アルヨが出ない凛麗姫だ。
シナ大陸の言語は日本語とは文脈の順番が逆だ。
 それで、日本語にシナ語を訳すときに・・・どうしても癖がでて・・・アルヨとなってしまうのだが・・・
普通の文脈で日本語が堪能な凛麗姫だ。
 「感謝の意味を込めて、歌います聞いてください。」
後ろの楽師を振り返る。
 準備はできてるようだ。

 「藍より青き大空に 大空に ・・・・」
と、空挺部隊の唄を歌い出した。
 「たちまちひらく~いくせんの~」
「ましろきばらの~はなもよう~」
 「みよ、らっかさん、そらをゆく・・」
それは、満州国民の正直な感謝の気持ちであった。
 ソ連軍(ロシア兵)の脅威は従属されたモンゴル帝国を観れば・・・わかるからだ。(シナのウイグルだ。)
欧州のドイツ軍との紛争で、弾除けとして役だってるモンゴル兵らを・・・知ってるからである。
 弾除けのモンゴル兵が戦死したら・・・補充はモンゴルから徴用すればいいだけだ。
ソ連軍にとり、いくらでも補充がきく弾除けは都合がいいからだ。
 なんせ、死ぬのは東方の蛮族であるモンゴル族だからだ。
粛清しなくても、弾除けとして死んでくれるから・・・
 一石二鳥ということだ。
ロシア人にとり、ソ連邦のシベリア少数民族なぞ・・・ゴミ以下だからである。
 その脅威を知ってるからこその満州国の姫の慰問なのだ。
その、ソ連軍の脅威に立ち向かえる軍隊は近代化を成し遂げた日本だけだったのだ。
 有色人種で白人種へ立ち向かえる国は日本以外には皆無だったのだ。
長年の鎖国を米海軍により開国を迫られて・・・
 あっというまに・・・近代化を・・・
近代的兵器で侵攻してくるソ連軍を・・・2度も撃退してくれたのだ。
 それも、たった120名くらいの兵隊でである。

 拍手の内に空挺部隊の唄は・・・
次の唄へ・・・
 こうして・・・演目は進み、娯楽が乏しかった空挺部隊や九七式改戦闘機隊が・・・
満州の地で戦っていることを忘れるほどの歓待をうけたのだ。
 「また、慰問に・・・」と、次回を乞うご期待で・・・ステージがお開きになったのだった。
「姫様、司令官がお礼を言いたいそうですが。」と、侍従が姫へ告げる。
 まあ、当然だな。
「そう、わかったわ。」「行くから、案内を・・・」
 接待室へ案内される姫だ。
そこには藤堂少佐と伊佐美少佐が・・・敬礼で出迎えた。
 姫は軍装だからか・・・答礼で答える。
しかし、なんだ・・・姫の答礼が板についてるのだ。
 それが、不思議でたまらない隊長らである。
素人が真似ると敬礼は妙なモノなのだ。
 普段から慣習として敬礼をしている風体なのである。
(まさか・・・まさか、とは思うんだが・・・)
 (凛麗姫は軍隊のシンパなのかな?)
そう、疑うほどなのである。
 「どうぞ。」と、藤堂少佐が席を進める。
「え、え、あんがと・・・」と、座る姫だ。
 制帽は女性だから・・・取らない。
野郎は室内では(幹部の部屋)では帽子はとるが・・・女性は、帽子をとる必要はないのだ。
 そして、ロンメル被りだ。
それは、ドイツ軍の名将であるロンメル将軍の真似である。
 いくぶん斜めにするのである。
髪を帽子内へ入れてるから・・・帽子が風で飛ばないようにピンで留めてあるようだ。
 
 「姫様、今回のご慰問ありがとうございます。」「感謝します。」と、隊長らだ。
「いいえ、あたしは・・・そうですか。」
 「え、え、感謝に耐えません。」「ご要望があれば・・・なんなりと・・・」と、藤堂少佐が答えた。
いかん、地雷を踏んだな藤堂少佐!
 「ニャリ。」と、姫の顔が・・・
「あのう、お願いがあるんですが・・・」と、切り出した。
 「え、え、できることは、なんでも・・・」と、言ってしまった藤堂隊長だ。
武士(軍人)に、二言は無いのが皇軍なのだ。
 
 「では、遠慮なく。」「あたしを軍人として日本軍へ入れてください。」と、切り出したのだ。
姫は序列25位だ。
 間違っても、王位継承の話はこない。
いまのままでは、下手をするとシナの軍閥との交渉で人質として・・・シナの豚軍閥将軍と婚姻か?
 「それだけは、死んでもイヤじゃ。」の、凛麗姫なのだ。
「どうすれば、いいかのう。」と、侍女へ問う姫だ。
 「姫様、いい案があります。」
「なんじゃ、申してみよ。」
 「シナと日本軍は犬猿の仲です。」「そうじゃな。」
「なら、日本軍に入れば、絶対にシナと関わらないと思いますが。」
 「そうじゃな、満州より日本なら危険は少ないからな。」
侍女が続けていう、「軍隊なら宮様がトップと聞いてます。」
 「宮様へのつながりができるやもしれませんよ。」と、煽る侍女だ。
「うむ、ソチはなかなか良い案を申すではないか・・・」と、感心する姫だったのだ。

 こうして、凛麗姫の日本軍への入隊作戦が始まったのだ。
皇帝である父親が慰問団を派遣軍(空挺部隊)へ・・・とのウワサが・・・
 早々に、皇帝へ繋ぎをとり・・・慰問団の件を請け負う姫だ。
まさか、皇帝は娘が直に慰問するとは・・・夢にも思っていなかったが・・・
 さすが、25番目の姫ということで、名前も浮かばないほどなのだが・・・
「はて、産んだのは何番目の妃だったかな・・・ちなみに、妃は20名ほど・・・
 貴族どもが利権を得たいと、娘を無理に皇帝へ・・・相手が貴族では、無理に断れなくて・・・
とうとう、妃が20名という大所帯になってしまったのだ。
 そして、当然に子も30名近くになってしまったのだ。
それで、凛麗姫が日本軍へ・・・その話を無碍にはできない満州国の皇帝だった。

 「さて、どうしたもんか。」と、困った藤堂少佐だ。
伊佐美少佐が、「いまさら、断れんだろう。」と・・・
 「どこか、受け入れ先は・・・」と、藤堂少佐だ。
「そうだな、陸軍省の本庁なら女性士官が・・・」
 「しかし、登用試験をどうするんだ。」
「うむ、そこだな。」
 「それに、姫は満州国人だ。」「外国人だから、軍は無理だぞ。」
「しかし、いまさらダメなんて・・・」と、藤堂少佐が・・・
 そう、ある程度はメンツがある藤堂君なのだ。
「じゃあ、登用試験のことを姫へ言ってみては・・・」
 「そうだな、合格すればいいからな。」
「国籍条項は、どうするんだ。」
 「外国人でも、諜報員としては採用できるぞ。」
「スパイじゃないか。」「いくらなんでも、姫をスパイとしては・・・」
 「なら、他に手があるのか。」「・・・・・」

 「なんじゃと、採用試験じゃと。」「え、え、それに合格すれば、と。」
侍女が説明する。
 「姫様は日頃から日本語が堪能ですから、去年の試験を入手してあります。」
と、試験用紙を差し出す。
 「ふむ、見せてみよ。」「ふむ、なるほど。」
侍女は試験用紙の設問をカンタンに読む姫に・・・驚くのだ。
 姫は隠れて必死に、日本の唄や物語を読解していたのだ。
好きなモノは夢中になれるものだ。
 時間を惜しんで読んでいた日本の書物(ラノベ)のおかげで、問題への回答もスラスラの姫だったのだ。
幼少から専門の教師がつく王族だったからね・・・
 やはり、幼少からの勉学はしなければ・・・勝ち組にはなれないのだ。
読者諸君、自身のガキには勉学を惜しんではならない。
 年をとれば勉学は無理だ。
若いから学べるのだ。
 イヤでも勉学は無理しても詰め込まねばならない。
そうしないと、将来的に禍根を残すことになるのだ。
 鉄(ヒト)は、熱い(若い)うちに打て(学べ)なのだ。
老害で凝り固まってしまっては・・・



 
 


 
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