ずっと君だけ。

しゅく

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「で、でき・・・ない」

あおるの反応に緑川は一瞬目を見開いたが、すぐに眉間にしわを寄せた。

サボるなんて当然いけない事だし、自分に割り当てられた仕事はきっちりやり遂げるのが当たり前だと思う。
・・・何より美守には迷惑を掛けたくない。

「できるできないじゃなくて、命令してんだよ」

「それでも・・・いやだ。ちゃんとやらないと」

あおるは緑川相手にここまで食い下がったことは初めてで、自分自身でも驚いた。

・・・サボりたくない。
緑川に逆らうのは怖いが、それでもあおるはせっかく見つけた心安らげる場所を手放したくなかった。放課後の楽しみがあるからこそ、緑川の命令にだって今まで通りきちんとやってきたのだ。

「・・・いい加減にしろよ!」

意思を曲げないあおるの態度に切れた緑川は、あおるの胸ぐらを掴んで立ち上がらせると今にも手を出してきそうな勢いで脅しをかける。

「なぁ、行かねぇって言えよ」

「離し・・・っ、この・・・っ!」

首元がキツくなり、あおるは胸倉を掴む手を離させようと抵抗したがその勢いで手が緑川の頬に強く当たった。

「ってぇな・・・!」

殴られた顔への衝撃に頭を伏せる緑川。
顔に掛かっている長めの前髪の隙間から緑川の鋭く光る目が見えたかと思った瞬間、


―――バシッ


「・・・・・・っ!!」


頬の衝撃と共に乾いた音が教室に響いた。
あおるは打たれてヒリヒリと痛む頬を震える手で押さえ、目に涙が溜まるのを堪えながら緑川を思いっきり睨みつけた。

「んだよ、その目は」

「・・・っ、緑川こそ・・・っ!!」

あおるはわああと声にならない声を出しながら緑川に突っ込んでいったが、それを易々と躱した緑川にドスッと腹を殴られ、うっと唸って力なく床に崩れ落ち、うずくまった。



「・・・なあ、まだやんのかよ」

殴られた腹を押さえ、床に蹲ったまま立てないでいるあおるに緑川が近づくと再び殴ろうと構えを見せた。
あおるの頭1つ分背丈のある緑川との力の差は歴然で、取っ組み合いの喧嘩にすらならなかった。そんな状況でまた殴り返すなんて思いもつかなかった。

これまで緑川と多少ケンカした事は何度かあったが、ここまで憤慨している緑川は初めてだった。力じゃ到底適わないと思い知らされ、怒気が込められた緑川の視線がただただ怖い。

「っ・・・ご、ごめんな・・・さい・・・!」

腹の鈍い痛みと、返り討ちにされたやりきれなさであおるの目から涙が溢れた。
それを見た緑川は泣いているあおるの輪郭を掴み、顔をあげさせると目元から流れる涙を親指でそっと拭った。

「分かったよな?あおるは俺に逆らうことは出来ないんだよ」

もし今度逆らったらどうなるか分かるよな、と釘を刺し、あおるをそのままに緑川は教室を去っていった。

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