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翌日からあおるは緑川を極力避けるようにした。
緑川が朝に弱いことを考え、毎朝30分ほど早く家を出るようにし、帰りはクラスメートに囲まれている緑川に気付かれないように隙を狙って走って帰る。
休み時間になったらすぐにトイレの個室に逃げ込んでやり過ごし、遠くから呼ばれても聞こえない振りをした。
痛いくらいに緑川からの視線を感じても顔を背け、決して見ないように努めた。
緑川は表向きでは優等生であるため、追いかけられたりすることも待ち伏せされる事もなかった。
緑川が勝手に上がってくる可能性もあるため家に帰っても気は抜けない。
帰宅してすぐに玄関の鍵を閉め、トイレと風呂以外は部屋から出ず、食事も母親が作り置きしている物を自室へ持ち込んで食べるなど徹底して避けるようにした。
やればできるもので、緑川と顔を合わせることも話すこともない生活も今日で5日目になっていた。
毎日気を張って過ごすのは想像以上に苦痛だった。
こんな生活がずっと続けられるなんて思ってないし、頭のどこかでいつかは緑川に捕まるのではないかとも思っていた。
だが、先の事よりも今の現状を回避することだけを考えたあおるは出来る限り避け続けるつもりだった。
そんな中、
「・・・あおる、ちょっと来なさい」
緑川を避けると同時に、ここ最近ほとんど顔を合わせていなかった母親からドア越しに呼ばれた。
「み、緑川いないよね?」
「今日は修くんきてないわよ。・・・そんなに不安なら私を部屋に入れてちょうだい」
「え・・・?」
緑川が居る時以外、母親は滅多にあおるの自室へは入ろうとしない。そのため、あおるは母の言葉に少し戸惑った。
「あおる!早くしてちょうだい。これからまた仕事なのよ・・・!」
母親の切羽詰まった声を聞いたあおるは何事かと思い、急いで鍵を開け恐る恐るドアを開けて目を見開いた。
母親の目に涙が浮かんでいたのだ。
「お、お母さん・・・?」
「・・・っ、あおる。修くんに何てことしたの。早く今から謝りに行きなさい」
「お母さん待って・・・!俺、悪くない!」
「悪い悪くないの問題じゃないのよ・・・!お願いだから謝ってきてちょうだい」
母親の目からは今にも涙がこぼれ落ちそうだった。
「な、んで・・・?」
――なんでそこまで・・・
たかが子ども同士の喧嘩に・・・
「あおる、よく聞きなさい」
暫し間を置き、母親はあおるの顔をまっすぐ見て口を開いた。
「今、この家で住めるのは緑川さんのおかげなのよ・・・!」
「・・・・・・え、・・・?」
あおるは思考が停止したかのような感覚に陥り、母親が何を言っているのか理解できなかった。
「それなのにあおるは・・・、修くんを裏切るような真似して!ここを追い出されたらどうするのよ」
母親の目から涙が溢れた。
緑川が朝に弱いことを考え、毎朝30分ほど早く家を出るようにし、帰りはクラスメートに囲まれている緑川に気付かれないように隙を狙って走って帰る。
休み時間になったらすぐにトイレの個室に逃げ込んでやり過ごし、遠くから呼ばれても聞こえない振りをした。
痛いくらいに緑川からの視線を感じても顔を背け、決して見ないように努めた。
緑川は表向きでは優等生であるため、追いかけられたりすることも待ち伏せされる事もなかった。
緑川が勝手に上がってくる可能性もあるため家に帰っても気は抜けない。
帰宅してすぐに玄関の鍵を閉め、トイレと風呂以外は部屋から出ず、食事も母親が作り置きしている物を自室へ持ち込んで食べるなど徹底して避けるようにした。
やればできるもので、緑川と顔を合わせることも話すこともない生活も今日で5日目になっていた。
毎日気を張って過ごすのは想像以上に苦痛だった。
こんな生活がずっと続けられるなんて思ってないし、頭のどこかでいつかは緑川に捕まるのではないかとも思っていた。
だが、先の事よりも今の現状を回避することだけを考えたあおるは出来る限り避け続けるつもりだった。
そんな中、
「・・・あおる、ちょっと来なさい」
緑川を避けると同時に、ここ最近ほとんど顔を合わせていなかった母親からドア越しに呼ばれた。
「み、緑川いないよね?」
「今日は修くんきてないわよ。・・・そんなに不安なら私を部屋に入れてちょうだい」
「え・・・?」
緑川が居る時以外、母親は滅多にあおるの自室へは入ろうとしない。そのため、あおるは母の言葉に少し戸惑った。
「あおる!早くしてちょうだい。これからまた仕事なのよ・・・!」
母親の切羽詰まった声を聞いたあおるは何事かと思い、急いで鍵を開け恐る恐るドアを開けて目を見開いた。
母親の目に涙が浮かんでいたのだ。
「お、お母さん・・・?」
「・・・っ、あおる。修くんに何てことしたの。早く今から謝りに行きなさい」
「お母さん待って・・・!俺、悪くない!」
「悪い悪くないの問題じゃないのよ・・・!お願いだから謝ってきてちょうだい」
母親の目からは今にも涙がこぼれ落ちそうだった。
「な、んで・・・?」
――なんでそこまで・・・
たかが子ども同士の喧嘩に・・・
「あおる、よく聞きなさい」
暫し間を置き、母親はあおるの顔をまっすぐ見て口を開いた。
「今、この家で住めるのは緑川さんのおかげなのよ・・・!」
「・・・・・・え、・・・?」
あおるは思考が停止したかのような感覚に陥り、母親が何を言っているのか理解できなかった。
「それなのにあおるは・・・、修くんを裏切るような真似して!ここを追い出されたらどうするのよ」
母親の目から涙が溢れた。
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