ずっと君だけ。

しゅく

文字の大きさ
24 / 93

23

しおりを挟む
翌日からあおるは緑川を極力避けるようにした。

緑川が朝に弱いことを考え、毎朝30分ほど早く家を出るようにし、帰りはクラスメートに囲まれている緑川に気付かれないように隙を狙って走って帰る。

休み時間になったらすぐにトイレの個室に逃げ込んでやり過ごし、遠くから呼ばれても聞こえない振りをした。
痛いくらいに緑川からの視線を感じても顔を背け、決して見ないように努めた。
緑川は表向きでは優等生であるため、追いかけられたりすることも待ち伏せされる事もなかった。

緑川が勝手に上がってくる可能性もあるため家に帰っても気は抜けない。
帰宅してすぐに玄関の鍵を閉め、トイレと風呂以外は部屋から出ず、食事も母親が作り置きしている物を自室へ持ち込んで食べるなど徹底して避けるようにした。

やればできるもので、緑川と顔を合わせることも話すこともない生活も今日で5日目になっていた。

毎日気を張って過ごすのは想像以上に苦痛だった。
こんな生活がずっと続けられるなんて思ってないし、頭のどこかでいつかは緑川に捕まるのではないかとも思っていた。

だが、先の事よりも今の現状を回避することだけを考えたあおるは出来る限り避け続けるつもりだった。


そんな中、

「・・・あおる、ちょっと来なさい」

緑川を避けると同時に、ここ最近ほとんど顔を合わせていなかった母親からドア越しに呼ばれた。

「み、緑川いないよね?」

「今日は修くんきてないわよ。・・・そんなに不安なら私を部屋に入れてちょうだい」

「え・・・?」

緑川が居る時以外、母親は滅多にあおるの自室へは入ろうとしない。そのため、あおるは母の言葉に少し戸惑った。

「あおる!早くしてちょうだい。これからまた仕事なのよ・・・!」

母親の切羽詰まった声を聞いたあおるは何事かと思い、急いで鍵を開け恐る恐るドアを開けて目を見開いた。
母親の目に涙が浮かんでいたのだ。

「お、お母さん・・・?」

「・・・っ、あおる。修くんに何てことしたの。早く今から謝りに行きなさい」

「お母さん待って・・・!俺、悪くない!」

「悪い悪くないの問題じゃないのよ・・・!お願いだから謝ってきてちょうだい」

母親の目からは今にも涙がこぼれ落ちそうだった。

「な、んで・・・?」

――なんでそこまで・・・
たかが子ども同士の喧嘩に・・・


「あおる、よく聞きなさい」

暫し間を置き、母親はあおるの顔をまっすぐ見て口を開いた。

「今、この家で住めるのは緑川さんのおかげなのよ・・・!」

「・・・・・・え、・・・?」

あおるは思考が停止したかのような感覚に陥り、母親が何を言っているのか理解できなかった。

「それなのにあおるは・・・、修くんを裏切るような真似して!ここを追い出されたらどうするのよ」

母親の目から涙が溢れた。
しおりを挟む
感想 4

あなたにおすすめの小説

創作BL短編集

さるやま
BL
短編まとめました。 美形×平凡、ヤンデレ、執着・溺愛攻め多め

イケメンダブルセンターとアンチ>ファンな平凡な俺

スノウマン(ユッキー)
BL
アイドルグループ【オーバーウェルミング】は圧倒的な歌唱力の深山影月、圧倒的なパフォーマンス力の漣陽太、そして圧倒的な平凡力な俺間桐真緒の3人で結成されている。  大人気の二人と違いアンチしかいない俺だが、メンバーからもファンからも愛される日が果たしてくるのか!?

【短編+連載版】一度も話したことないイケメンのクラスメイトと二人組になったらめちゃくちゃ執着されてた

BL
サクッと読みたい方は短編版(約5000字)をどうぞ! ◇◇◇ 「はい、じゃあ二人組作って」──あまり人付き合いが得意ではない夏稀(なつき)にとってそれは地獄の言葉。 けれど高校ではちがう。なぜなら新しくできた友達と『二人組』協定を結んだから。 もう二人組なんて怖くないと思っていた矢先、その友達が風邪で欠席。 ほかに組む相手が見つからず、先生と組むことも覚悟する夏稀だったが、そこで声をかけてきたのは美形の転校生──緒川聖夜(おがわ・きよや)だった。 「俺と二人組にならない?」 その一言をきっかけに聖夜は夏稀との距離を急速に縮めてきて──。 執着美形攻め×平凡受けのちょっと不穏な学園BL。 ◇◇◇ いいね、エールありがとうございます!嬉しいですー!

妖精です、囲われてます

うあゆ
BL
僕は妖精 森で気ままに暮らしていました。 ふと気づいたら人間に囲まれてました。 でもこの人間のそばはとても心地いいし、森に帰るタイミング見つからないなぁ、なんて思いながらダラダラ暮らしてます。 __________ 妖精の前だけはドロ甘の冷徹公爵×引きこもり妖精 なんやかんやお互い幸せに暮らします。

幼馴染がいじめるのは俺だ!

むすめっすめ
BL
幼馴染が俺の事いじめてたのは、好きな子いじめちゃうやつだと思ってたのに... 「好きな奴に言われたんだ...幼馴染いじめるのとかガキみてーだって...」 「はっ...ぁ??」 好きな奴って俺じゃないの___!? ただのいじめっ子×勘違いいじめられっ子 ーーーーーー 主人公 いじめられっ子 小鳥遊洸人 タカナシ ヒロト 小学生の頃から幼馴染の神宮寺 千透星にいじめられている。 姉の助言(?)から千透星が自分のこといじめるのは小学生特有の“好きな子いじめちゃうヤツ“だと思い込むようになり、そんな千透星を、可愛いじゃん...?と思っていた。 高校で初めて千透星に好きな人が出来たことを知ったことから、 脳破壊。 千透星への恋心を自覚する。 幼馴染 いじめっ子 神宮寺 千透星 ジングウジ チトセ 小学生の頃から幼馴染の小鳥遊 洸人をいじめている。 美形であり、陰キャの洸人とは違い周りに人が集まりやすい。(洸人は千透星がわざと自分の周りに集まらないように牽制していると勘違いしている) 転校生の須藤千尋が初恋である

可哀想は可愛い

綿毛ぽぽ
BL
 平民、ビビり、陰キャなセシリオは王立魔術学園へ入学を機に高校デビューを目指したが敢え無く失敗し不良のパシリをさせられる毎日。  同室者の男にも呆れられ絶望するセシリオに天使のような男が現れるが、彼もかなりイカれた野郎のようで……?セシリオは理想の平和な学園生活を送る事が出来るだろうか。また激重感情を抱えた男から逃げられるだろうか。 「むむむ無理無理!助けて!」 ━━━━━━━━━━━ ろくな男はいません。 世界観がごちゃごちゃです。余り深く考えずに暖かい目で読んで頂けたら、と思います。 表紙はくま様からお借りしました。

好きなタイプを話したら、幼なじみが寄せにきた。

さんから
BL
無愛想美形×世話焼き平凡 幼なじみに好きバレしたくない一心で、真逆の好きなタイプを言ったら……!?

きみが隣に

すずかけあおい
BL
いつもひとりでいる矢崎は、ある日、人気者の瀬尾から告白される。 瀬尾とほとんど話したことがないので断ろうとすると、「友だちからでいいから」と言われ、友だちからなら、と頷く。 矢崎は徐々に瀬尾に惹かれていくけれど――。 〔攻め〕瀬尾(せお) 〔受け〕矢崎(やざき)

処理中です...