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「あら、あおるくん!久しぶりね~」
両親と息子、3人暮らしにしては広すぎる隣の家。
緑川の家のインターホンを押すと仕事の都合で滅多に会うことのない緑川の母親が快く出迎えてくれた。
緑川の母親はたった一人の息子を溺愛しており、その息子の友達であるあおるに対しても、とてもとても優しく接してくれる。
どうしてこんなに綺麗で優しい母親からあんな裏表激しい息子が生まれたんだろう、とあおるは緑川の母親に会う度にそう思っていた。
促されるまま家に上がると、緑川の母はおしゃれなティーカップに紅茶を注ぎ始め、2人分の紅茶とクッキーをお盆に持ち、緑川の部屋まで丁寧に付き添ってくれた。
「あおるくん、修と幼稚園から一緒でしょう?あの子が友達を家に上げるのってあおるくんくらいなのよね~」
久しぶりに来てくれたと喜ぶ緑川の母とは反対にあおるは重い足取りでゆっくりと階段を上がっていく。
――5日間、極力避けてきてまさか自分から捕まりにいくような事になるなんて思いもしなかった。
「修ちゃん、あおるくんが来たわよ~」
そう言って緑川の部屋のドアをノックすると、ガチャッとドアが開かれた。
「あ・・・」
5日ぶりにまともに顔を合わせたあおるは第一声が出てこなかったが、そんなあおるを緑川は笑顔で迎え入れた。
「あおるなんか久しぶりだね。そろそろ来てくれるんじゃないかなって思ってた」
「お、おじゃまします・・・」
「どうぞ。母さん、お茶とお菓子ありがとう」
「机の上に置いておくわね。お母さんはリビングに戻るけど、あおるくんゆっくりしていってね。このまま泊まってもいいのよ~」
「い、いえ!ありがとうございます・・・!」
「ふふっ、そんなにかしこまらなくても大丈夫よ」
柔らかい笑顔を残して緑川の母は部屋から出て行った。
「・・・で?どんなに避けても俺からは逃げられないってこと分かったんだ?」
緑川は二人きりになって俯いたままのあおるに言った。
「お、俺が今の家に住めるのは緑川のおかげだってお母さんが・・・」
あおるは母親に言われたことをそのまま口にした。
「そう、全くその通り」
「・・・・・・っ」
あっさり返ってきた返事に言葉を失う。
違っていて欲しい、生活まで支配されたくないという思いは脆くも打ち砕かれた。
「他には?」
「それ以外は聞いてない・・・っ」
「じゃあせっかくだから全部教えてあげるよ」
緑川は黒い笑みを浮かべ、すらすらと話し始めた。
今母親と2人で住んでいる家は元々緑川家のもので、売り払うつもりだったこと。
あおるの両親が離婚し、家計のやりくりが苦しくなり引っ越そうと当時通っていた幼稚園を退園しようとする時、緑川の母親が事情を知り、売り払う予定だった今の家に住まわせてくれたこと。
生活費、光熱費、教育費は当然全部あおるの母親が働いたお金で支払われているが、家賃は一切払わなくていいという事だった。
――だからあんなにお母さんは必死だったんだ。
母親がいつも緑川に取り繕うような態度だった理由がはっきりした。
確かにここまでしてくれている緑川の母親に悪く思われれば家を追い出されかねない。
さらに息子を溺愛しているため、緑川に嫌われるのも避けたい。
――誰のおかげで生活できてると思ってんだ
いつか言われた緑川の言葉が思い出される。
「だから、あおるは俺の言うとおりにすればいいんだよ」
いつの間にか近くに来ていた緑川のどこか甘さを含んだ声が頭に響いた。
両親と息子、3人暮らしにしては広すぎる隣の家。
緑川の家のインターホンを押すと仕事の都合で滅多に会うことのない緑川の母親が快く出迎えてくれた。
緑川の母親はたった一人の息子を溺愛しており、その息子の友達であるあおるに対しても、とてもとても優しく接してくれる。
どうしてこんなに綺麗で優しい母親からあんな裏表激しい息子が生まれたんだろう、とあおるは緑川の母親に会う度にそう思っていた。
促されるまま家に上がると、緑川の母はおしゃれなティーカップに紅茶を注ぎ始め、2人分の紅茶とクッキーをお盆に持ち、緑川の部屋まで丁寧に付き添ってくれた。
「あおるくん、修と幼稚園から一緒でしょう?あの子が友達を家に上げるのってあおるくんくらいなのよね~」
久しぶりに来てくれたと喜ぶ緑川の母とは反対にあおるは重い足取りでゆっくりと階段を上がっていく。
――5日間、極力避けてきてまさか自分から捕まりにいくような事になるなんて思いもしなかった。
「修ちゃん、あおるくんが来たわよ~」
そう言って緑川の部屋のドアをノックすると、ガチャッとドアが開かれた。
「あ・・・」
5日ぶりにまともに顔を合わせたあおるは第一声が出てこなかったが、そんなあおるを緑川は笑顔で迎え入れた。
「あおるなんか久しぶりだね。そろそろ来てくれるんじゃないかなって思ってた」
「お、おじゃまします・・・」
「どうぞ。母さん、お茶とお菓子ありがとう」
「机の上に置いておくわね。お母さんはリビングに戻るけど、あおるくんゆっくりしていってね。このまま泊まってもいいのよ~」
「い、いえ!ありがとうございます・・・!」
「ふふっ、そんなにかしこまらなくても大丈夫よ」
柔らかい笑顔を残して緑川の母は部屋から出て行った。
「・・・で?どんなに避けても俺からは逃げられないってこと分かったんだ?」
緑川は二人きりになって俯いたままのあおるに言った。
「お、俺が今の家に住めるのは緑川のおかげだってお母さんが・・・」
あおるは母親に言われたことをそのまま口にした。
「そう、全くその通り」
「・・・・・・っ」
あっさり返ってきた返事に言葉を失う。
違っていて欲しい、生活まで支配されたくないという思いは脆くも打ち砕かれた。
「他には?」
「それ以外は聞いてない・・・っ」
「じゃあせっかくだから全部教えてあげるよ」
緑川は黒い笑みを浮かべ、すらすらと話し始めた。
今母親と2人で住んでいる家は元々緑川家のもので、売り払うつもりだったこと。
あおるの両親が離婚し、家計のやりくりが苦しくなり引っ越そうと当時通っていた幼稚園を退園しようとする時、緑川の母親が事情を知り、売り払う予定だった今の家に住まわせてくれたこと。
生活費、光熱費、教育費は当然全部あおるの母親が働いたお金で支払われているが、家賃は一切払わなくていいという事だった。
――だからあんなにお母さんは必死だったんだ。
母親がいつも緑川に取り繕うような態度だった理由がはっきりした。
確かにここまでしてくれている緑川の母親に悪く思われれば家を追い出されかねない。
さらに息子を溺愛しているため、緑川に嫌われるのも避けたい。
――誰のおかげで生活できてると思ってんだ
いつか言われた緑川の言葉が思い出される。
「だから、あおるは俺の言うとおりにすればいいんだよ」
いつの間にか近くに来ていた緑川のどこか甘さを含んだ声が頭に響いた。
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