ずっと君だけ。

しゅく

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「あと・・・あおる、俺に何か言うことない?」

「・・・避けたりして、ごめんなさい」

「呼んだのに無視もそうだけど、目も合わないのはさすがにキツイ」

「えっ・・・」

聞き間違いかと思って緑川を見ればムッとした表情。
教室での自分の行動を思い返すが、まさか緑川がそんな思いをしていただなんて。

「めっちゃ恥かいた」

「あ、そっち・・・」

妙に肩すかしをくらった気分になった。


「とにかく・・・これからは部屋の鍵閉めるのやめろよ。あと窓も。さすがに頭きた」

横暴すぎる。
おおかた自分が好きな時に飛び込んで入ってくるつもりなのだろう。
だが、てっきり殴られるかと思っていたのに謝るだけで済んだので幸いだった。

「うん、わかった。・・・それじゃあ、俺、帰る」

緑川に謝罪もし、許しも得たようなので、あおるは家に戻ろうと部屋を出ようとしたが咄嗟に手首を掴まれた。

「待てよあおる。今日泊まるよな?」

「え、でも・・・」

母親に急かされて家を出てきたため、夕食も風呂も済ませてない。

「泊、ま、る、ん、だ、よ!」

「・・・・・・うん」








「すいません・・・いただきます」

「いいのよ~。私も料理したの久しぶりだから味の保証はできないけどね」

緑川に強制されて泊まることになったあおるは夕飯をご馳走してもらうことになった。
夕食は焼きたてであったかいふわふわなパンにシチュー、野菜サラダとどれも美味しそうであおるは喉が鳴った。
仕事が休みの時はこうして家事をこなす家庭的な母親だ。

「母さんのご飯はいつもおいしいよ」

あおるの隣に座っている緑川は、出されたシチューを一口食べると綺麗な笑みで言った。

「まあ本当?お母さん嬉しいわ。おかわりあるからたくさん食べてね」

緑川の母はいい子いい子、と我が子の頭を撫でて喜んでいた。

「あおるくんもどうかしら?」

「あ、はい!すっごく美味しいです・・・!」

緑川の母親の作ったものはどれも美味しかったが、野菜サラダに添えられているカットされたトマトにあおるは苦戦していた。
どうしてもトマトが苦手で食べれないのだ。
なかなかサラダの食が進まないあおるをちらりと見た緑川が追い討ちをかける。

「俺のぶんもあげるよ。あおる好きだったよね?」

綺麗な笑みで言いながらフォークにのせたトマトをそっと優しくあおるの皿に入れた。

「・・・っ!」

緑川の母親がいる手前、拒否なんてできない。

「・・・なんなら食べさせてあげようか?」

ボソッと耳元で囁かれる。

―――絶対わざとだ・・・!

ニコニコとこっちを見てる緑川に怒りすら湧いてくる。

結局残すのは失礼だと思い、満面の笑みでこっちを見ている緑川に対抗するかのように、あおるは涙目になりつつも精一杯我慢してトマトを全部食べきった。

「おぉー、すごいじゃん」

「・・・意地悪っ」

感心したように横から頭を撫でてくる緑川をあおるは涙目のままキッと睨み返した。
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