ずっと君だけ。

しゅく

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「・・・緑川って、お母さんの前でもいい子なんだね」

夕飯をご馳走になり、お風呂も借りた後、あおるは緑川の部屋に布団を敷きながら思ったことを口にした。

「・・・どーいう意味それ」

ベッドに入ろうとしていた緑川の動きが止まる。

「あ・・・い、いや決して悪い意味じゃ無くって・・・!」

「ったく・・・親の前でいい子になるのは当然だろ。何でも言うこと聞いてくれるし?」

ニヤリと笑う緑川。

な、なんてやつだ・・・!
緑川が心の底でこんな事を考えてるなんて知ったら母親は泣くだろう。

「そ、そうなんだ・・・じゃあ電気消すから!おやすみなさい」

そう言ってあおるはそそくさと電気を消して布団に潜り込んだ。

灯りは薄暗いオレンジ色の蛍光灯のみで、暗くてぼんやりとしか見えない部屋がしんと静まり返る。
あおるがまさに眠りにつこうとした瞬間、緑川の声によって起こされた。

「・・・なぁ、あおる。やっぱこっち来て。寒い」

「え、やだよもう・・・」

寒いならもっと着込めばいいのに・・・。

「・・・なら俺がそっち行く」

「はっ・・・!?」

こんな狭い布団に来るだなんてとんでもない、とゴソゴソと起き出す緑川にあおるは慌てた。

「わ、わかったから・・・緑川!俺が行くって」

どのみち一緒に寝る羽目になるのなら広い方がいいに決まってる。
あおるはしぶしぶ自分の枕を持って緑川のベッドに入った。






―――ね、寝苦しい・・・!

緑川のベッドに入ったあおるは腰に腕をまわされたかと思うと、引き寄せられ、抱き枕にされていた。
2人で寝ても十分広いベッドなのに、中央に2人くっついて寝ている状態だ。

「体温高っ・・・まるで湯たんぽじゃん」

「ひぇっ・・・!」

後ろから緑川の足があおるの足に絡んでくる。
確かにあおるに比べて緑川の体温が低いようで、絡んできた足が冷たく感じてゾクゾクした。

「ぷっ、今の声ウケる・・・・・・って、なんかあおる甘い匂いする」

シャンプーは一緒なはずなのに、と言いながら緑川は首元に鼻を近づけて匂いを嗅いできた。

「わっ、やめ・・・」

後ろからかかるわずかな吐息がくすぐったい。

「み、緑川もう少し離れ・・・!」

「無理」

そう言うと余計に腰に回す腕の力を強めてきた。

「・・・っもういい」

あおるは纏わり付く緑川に寝心地の悪さを感じながらもギュッと目を瞑り、強引に眠りについた。


「なあ、あおる?・・・・・・は、もう寝てるし」

緑川は少し上体を起こし、あおるの寝顔を覗き込む。
特に何の特徴もない平凡な顔立ちなのに、見ていると何かが込み上げてくる。

「・・・・・・ムカつくんだよ」

緑川は片手で顔を少し自分の方に向けると、あおるの唇に自分の唇を押し付けた。

あおるが自分を避けるだなんて気に入らない。
自分じゃない誰かを好きになるあおるはもっと気にくわなかった。

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