ずっと君だけ。

しゅく

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「あおる、いい加減に起きなさい!」

「ん・・・・・・」

母親の声と自室のドアをドンドンと叩く音であおるは目を覚ました。

今日は月曜日。また一週間学校が始まるのだ。
週末は緑川の家に泊まったためか、疲れがあまり取れていないらしく、もっと眠っていたいがそうもいかない。

「もう下に戻るからね、起きないと知らないわよ」

そう言い残し、母親の階段を降りる足音が遠くなっていった。

「ふぁー・・・起きないと」

しばしばする目を擦りながらもあおるはベッドから起き上がり、朝食を摂るべく1階のリビングへ向かった。

「あ、やっと起きたね。あおる、おはよう」

「・・・・・・・・・うん」

焼けたパンの芳ばしい匂いが階段の方まで充満している中、1階のリビングへ行くと既に緑川がテーブルで朝食を摂っていた。
ただでさえすっきりしない目覚めが、朝一番に緑川を見て更に憂鬱に感じた。

「修くん、オレンジと牛乳どっちがいいかしら?」

ニコニコと笑顔で緑川に母親が尋ねる。
昨日、緑川と仲直りした事を伝えると母親は本当によかったと安堵していた。この家で暮らす限り、母親はこれからも緑川に取り繕うような態度をとり続けるだろう。
現に今でさえ、早朝なのにもかかわらず他の家の子どもを快く迎え入れ、朝食までごちそうしているのだから。

「あ、牛乳いただきます」

「注いで置いておくわね。・・・あおるも、そこに置いてるからさっさと食べなさい」

テーブルを見るとあおるの朝食も用意されており、コップには牛乳が注がれていた。

・・・オレンジジュースが良かった。
緑川との扱いの差を感じながらも、あおるは席について朝食を食べ、支度を済ませると緑川と一緒に家を出て学校へ向かった。







「今日って席替えだったよな?」

少し前を歩く緑川が思い出したように呟いた。

「そういえば・・・」

あおると緑川のクラスでは3ヶ月に一回、席替えがあるのだ。席替えのある日は、誰と隣がいいだのとクラス全体がざわつく。
以前までならあおるは美守と隣になれるようにと願っただろうが、あんな事があってからというもの、緑川と同様に極力彼女にも近づかないようにしていた。

美守は自分が緑川からキスされていた事を誰にも言わないでいてくれると思う。
だが、きっと引かれただろう。気持ち悪いと思われているかもしれない。

「俺はあおるの隣がいい。色々便利だしな?」

美守の事を考えていたが、緑川の発言で思考を引き戻された。

「えっと・・・お、俺も」

そうは言ったが、正直・・・緑川の隣は嫌だ。

「思ってないだろ」

「う・・・」

思いっきり表情に出ていたみたいだ。

「ムカついた。あおるこれ持ってこ・・・・・・やっぱりいい」

「緑川くーん!おはよー」

緑川は自分のランドセルをあおるに持つよう押し付けようとしたが、途中で後ろから駆け足で来た同じクラスの女子に気付いてやめた。

「私も一緒に行っていい?」

「うん、もちろん」

同じクラスの女子はあおるには見向きもせず、緑川の腕にくっ付いて二人で歩きはじめた。

先を歩く二人の光景を見ながら、どうか緑川の隣にだけはなりませんように、と祈るような思いで登校した。
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