ずっと君だけ。

しゅく

文字の大きさ
29 / 93

29

しおりを挟む
学校では毎朝、朝の会(HR)が行われる。
今日はその時に席替えも行われ、クラスがキャーキャーワーワーと騒ぐ中、担任が作ってきたくじを引き、それぞれ決まった席に机を移動させた。

あおるは運良く、窓側の後ろから二番目のくじを引き当てた。
5年生の教室は校舎の2階にあるため、窓から見える景色も綺麗だった。

ふと景色に目を向けている中、

「あ、掛田くん隣だー」

右隣から声がした。

可愛らしい声、柔らかい口調、この声のトーン、自分に話しかけてくれる唯一の女の子。
―――美守だった。

「っ美守さ・・・!」

不意を突かれたとは言え、緑川とのあんな場面を見られたあおるは気まずくて堪らない。

「緑化委員の当番終わってから、全然話すきっかけもなかったよね」

気まずさを感じるあおるをよそに、ニコッと変わらない笑顔を自分に向けてくれる。


偶然なのか、これも何かの縁なのか。
気持ち悪がられたのではないかと、もう美守と話す事を諦めていたあおるにとって思いもよらないことだった。

「あっ!あの時の事は本当に誰にも言ってないから安心してね」

まるで信じられないものでも見たかのようなあおるの表情を見て、美守は微笑みながら周りには聞こえないように言った。
もう誤解を解く余地は無さそうだったが、本当に優しい人なのだと改めてあおるは実感した。

――誤解されたままでも、変わらず笑顔を向けてくれるならもうそれでもいい。
・・・避けられるよりずっといい、とあおるはそう思った。




「あおる!」

まだあおるの中でぎこちなさは残るものの、美守と楽しく会話している時、緑川があおるの席までやって来た。

「あ・・・緑川」

せっかく美守と話していたのに緑川が来た事で会話が断ち切られる。

「席替え、残念だったね。隣になれなくて」

「うん・・・・・・そうだね」

緑川の席はどこなのだろうか・・・。
あおるは残念だなんて全く思っていなかったが、わざとらしく悲しげな表情を作る緑川に合わせて答えた。

「あ、緑川くん、よかったら私席代わろうか?」

「っ大丈夫だから・・・!」

あおると緑川の話を聞いていた美守が割って口を開いたのに対し、あおるは咄嗟に声を出した。

「あ、いや・・・美守さん、気を使ってくれなくても大丈夫だから・・・!ほ、ほら・・・恥ずかしいし・・・!」

ジロッと緑川から睨まれたような気がしたが、あおるは気付かない振りをしてそう付け足した。
その直後にチャイムが鳴り、緑川は自分の席へ戻ると周りの女子達から話しかけられていた。

緑川の席はあおるの席よりも前にあり、距離も近くなかったのでよかったと安堵した。
しおりを挟む
感想 4

あなたにおすすめの小説

創作BL短編集

さるやま
BL
短編まとめました。 美形×平凡、ヤンデレ、執着・溺愛攻め多め

イケメンダブルセンターとアンチ>ファンな平凡な俺

スノウマン(ユッキー)
BL
アイドルグループ【オーバーウェルミング】は圧倒的な歌唱力の深山影月、圧倒的なパフォーマンス力の漣陽太、そして圧倒的な平凡力な俺間桐真緒の3人で結成されている。  大人気の二人と違いアンチしかいない俺だが、メンバーからもファンからも愛される日が果たしてくるのか!?

【短編+連載版】一度も話したことないイケメンのクラスメイトと二人組になったらめちゃくちゃ執着されてた

BL
サクッと読みたい方は短編版(約5000字)をどうぞ! ◇◇◇ 「はい、じゃあ二人組作って」──あまり人付き合いが得意ではない夏稀(なつき)にとってそれは地獄の言葉。 けれど高校ではちがう。なぜなら新しくできた友達と『二人組』協定を結んだから。 もう二人組なんて怖くないと思っていた矢先、その友達が風邪で欠席。 ほかに組む相手が見つからず、先生と組むことも覚悟する夏稀だったが、そこで声をかけてきたのは美形の転校生──緒川聖夜(おがわ・きよや)だった。 「俺と二人組にならない?」 その一言をきっかけに聖夜は夏稀との距離を急速に縮めてきて──。 執着美形攻め×平凡受けのちょっと不穏な学園BL。 ◇◇◇ いいね、エールありがとうございます!嬉しいですー!

妖精です、囲われてます

うあゆ
BL
僕は妖精 森で気ままに暮らしていました。 ふと気づいたら人間に囲まれてました。 でもこの人間のそばはとても心地いいし、森に帰るタイミング見つからないなぁ、なんて思いながらダラダラ暮らしてます。 __________ 妖精の前だけはドロ甘の冷徹公爵×引きこもり妖精 なんやかんやお互い幸せに暮らします。

幼馴染がいじめるのは俺だ!

むすめっすめ
BL
幼馴染が俺の事いじめてたのは、好きな子いじめちゃうやつだと思ってたのに... 「好きな奴に言われたんだ...幼馴染いじめるのとかガキみてーだって...」 「はっ...ぁ??」 好きな奴って俺じゃないの___!? ただのいじめっ子×勘違いいじめられっ子 ーーーーーー 主人公 いじめられっ子 小鳥遊洸人 タカナシ ヒロト 小学生の頃から幼馴染の神宮寺 千透星にいじめられている。 姉の助言(?)から千透星が自分のこといじめるのは小学生特有の“好きな子いじめちゃうヤツ“だと思い込むようになり、そんな千透星を、可愛いじゃん...?と思っていた。 高校で初めて千透星に好きな人が出来たことを知ったことから、 脳破壊。 千透星への恋心を自覚する。 幼馴染 いじめっ子 神宮寺 千透星 ジングウジ チトセ 小学生の頃から幼馴染の小鳥遊 洸人をいじめている。 美形であり、陰キャの洸人とは違い周りに人が集まりやすい。(洸人は千透星がわざと自分の周りに集まらないように牽制していると勘違いしている) 転校生の須藤千尋が初恋である

可哀想は可愛い

綿毛ぽぽ
BL
 平民、ビビり、陰キャなセシリオは王立魔術学園へ入学を機に高校デビューを目指したが敢え無く失敗し不良のパシリをさせられる毎日。  同室者の男にも呆れられ絶望するセシリオに天使のような男が現れるが、彼もかなりイカれた野郎のようで……?セシリオは理想の平和な学園生活を送る事が出来るだろうか。また激重感情を抱えた男から逃げられるだろうか。 「むむむ無理無理!助けて!」 ━━━━━━━━━━━ ろくな男はいません。 世界観がごちゃごちゃです。余り深く考えずに暖かい目で読んで頂けたら、と思います。 表紙はくま様からお借りしました。

きみが隣に

すずかけあおい
BL
いつもひとりでいる矢崎は、ある日、人気者の瀬尾から告白される。 瀬尾とほとんど話したことがないので断ろうとすると、「友だちからでいいから」と言われ、友だちからなら、と頷く。 矢崎は徐々に瀬尾に惹かれていくけれど――。 〔攻め〕瀬尾(せお) 〔受け〕矢崎(やざき)

美形な幼馴染のヤンデレ過ぎる執着愛

月夜の晩に
BL
愛が過ぎてヤンデレになった攻めくんの話。 ※ホラーです

処理中です...