ずっと君だけ。

しゅく

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「・・・美守ってすげーな。あれで引くと思ったんだけど」

帰り道、緑川がこんな事を口にした。

「うん・・・すごいと思う」

緑川のは皮肉だが、あおるは素直に美守の性格の良さを褒める意味で言った。

「どうしてやろうか・・・」

「・・・え?」

「・・・なんでもない」

緑川の呟いた声が小さくて聞こえなかったが、どこか不機嫌そうだったのでこれ以上は追求して聞かなかった。



席替えのあった日から、あおるは再び学校へ行く楽しみができた。
美守と話せるし、緑川の席は遠い。たったこれだけなのにあおるは開放感を感じていた。

だがそれもつかの間で、緑川は以前よりもあおるあおると言っては頻繁に来るようになった。

緑川は今まで昼休みは複数人の友達と外へ遊びに出ていたのに、それもしなくなった。
あおると美守が休み時間に二人で話していると必ず緑川も加わって、三人で喋った。
美守が居る時には緑川も猫被っているため、特に嫌な事を言われたりする事は無く、それがせめてもの救いだった。

トイレに行くと言えば緑川も来るし、学級委員会がある時には帰るのを必ず待つようにと言われた。
宿題をさせられたり、荷物が多い下校時には荷物持ちをさせられたり、扱き使われたりするのは以前と全く変わらなかった。


―――その頃からあおるの周りに変化が起こり始めた。


「・・・幼馴染みだか何だか知らねーけど!お前のせいで俺らが緑川と遊べねーんだけど」

珍しく緑川以外の同じクラスの男子達に呼ばれたと思ったら、こんな事を言われた。
あおるにはそれがなぜ自分のせいになるのか全く理解できなかった。

「なんで、俺のせい・・・?」

数人に囲まれつつもあおるは聞いた。

「お前がいっつも暗いからって、緑川が心配して一緒に居てやってんのが分かんねーの?」

「え、なにそれ・・・?」

「とぼけんなよ!」
「そーいう奴見てっとムカつくんだよ!!」

あおるの態度にイラ付いたのか、徐々に声を荒げ始めた。
数人に囲まれていることに恐怖を覚え、あおるはそれ以上口を開けず、心なく言われる理不尽な悪口を黙って聞いていた。

今まで、緑川といる時に何だアイツ・・・という視線を感じたことはあっても、面と向かって暴言を吐かれる事は無かった。
すぐに解放されたものの、あおるの心は傷ついていた。







その日の夜。

「はぁ・・・・・・」

―――お前がいっつも暗いからって、緑川が心配して一緒に居てやってんのが分かんねーの?

ベッドに潜ったあおるは緑川の友達に言われたことを思い出して溜め息をつく。

あんなの絶対うそだ。
緑川が俺の心配なんてするはずない。外遊びを断るための理由に俺を利用したんだ。

これ以上、また囲まれて悪口を言われるなんて嫌だ。エスカレートしたら悪口だけじゃ済まされなくなるかも知れない。

そう思うとあおるはどうしても緑川に皆と遊びに行ってほしかった。
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