ずっと君だけ。

しゅく

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「それで昨日ね、お母さんが私にね・・・」

「緑川~!」

翌日の昼休み、あおると美守、そしていつの間にか美守とも仲良くなった緑川と3人で話をしていると緑川の友達がボールを片手にこちらへやって来た。

「なぁなぁ!今日はドッジボールしようってなったんだ!緑川も来るよな」

そう誘って来たクラスメートは昨日あおるに詰め寄った中の1人で、ドキッとしたが、あおるには見向きもせず緑川の顔を見て目を輝かせている。

「あ、岸辺きしべ。うーん・・・今日も俺はいいや」

そんな友達に緑川は申し訳なさそうな表情で答えた。

「えーっ、そっちの奴なら大丈夫そうじゃん!?」

岸辺は緑川の返事にぐずるようにそう言うとあおるにチラリと目配せした。

「あの、俺の事なら大丈夫だから・・・!緑川。美守さんも居るし全然心配しなくっていいから」

だから遊んできて、とあおるは思い切って口を開いた。

「なっ?行こうぜ、緑川!」

「じゃ、せっかくだからあおるも!」

「えっ!?うわっ・・・!」

気合いの入った岸辺に腕を引っ張られた緑川は咄嗟にもう片方の手であおるの腕を掴み、強引に連れ出した。

「え、そいつも!?」

「ダメかな?」

「いや、だめじゃねぇけど・・・」

前々からあおるの事を何かと気にくわなかった岸辺は、邪魔なんだよという視線であおるを睨んだ。







昼休みが終わり、教室に帰ってきたあおるはボールを当てられた太ももと脇腹を押さえて席に着き、5時間目の準備をする。

「どうだった?ドッジボール」

「あ・・・う、うん楽しかったよ!でもボール当たると痛いね」

痛そうな顔をすると心配されそうだと思い、はははっと苦笑いで美守に答えた。


滅多に外で遊ばないあおるは運動も得意じゃなく、ドッジボールでは格好の標的にされていたのだった。
いつものメンバーにあおるが入った事で他の人たちも最初から仲良くするつもりなんてないようで、素っ気なかった。
岸辺はあおるばかりを狙ってくるし、そんなあおるを緑川が庇おうとする事でゲーム自体に面白味がなくなり、周囲からの反感は増すばかりだった。

もしかしたら後で青あざになっているかも知れない。
それくらい岸辺が投げたボールに当たった時は痛かった。


もう、したくないな・・・・・・

あおるは心の中で呟いた。





だが、次の日もその次の日も、それから毎日、緑川はあおるを引っ張っては無理矢理にでも遊びに連れ込んだ。
岸辺をはじめ、緑川の他の友達とも遊んでいくうちに仲良くなった・・・なんてことは無く、むしろ以前より更に鬱陶しく思われていた。
緑川に無理やり連れて行かれているのにもかかわらず、逆に緑川に付き纏っているウザい奴だとすら思われていた。


そんな日々が続き、あおるに対しての嫌悪感が強まった岸辺たちは陰口や悪口だけにとどまらなくなった。

あおるは緑川が居ない所で、机や靴箱にゴミを入れられていたり、宿題で提出したはずのノートが中庭に落ちていたりと、嫌がらせをされるようになった。


ついに耐えきれなくなったあおるは帰宅後、もう昼休みに連れ出すのはやめてほしいと伝えるべく、緑川の部屋を訪れた。


「あおるが他の人とも仲良くしたいって言ってたから、連れて行ってあげたんだけどなー」

テレビを向き、手に持ったゲームのコントローラーを操作しながら緑川が話す。

人が深刻に話しているというのにっ・・・!

「仲良くなんか、なれないよ・・・っ!みんな俺のこと良く思ってないから・・・」

「えー今更・・・でも、それはあおるの性格の問題でもあるんじゃねぇの?」

「・・・それもあるかも知れないけどっ!でも・・・もう、遊びたくない・・・・・・」

ドアの前で立ったまま俯いているあおるの握りこぶしに力が入る。

「へぇー・・・」

緑川は持っていたゲームのコントローラーを置くとあおるの方へ近づき、両手をドアについてその間にあおるを閉じ込めた。

「な、何・・・?」

「なぁ・・・・・・じゃあ俺達と遊ばないで何すんの?教室で女々しく美守とおしゃべりでもすんの?」
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