ずっと君だけ。

しゅく

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「違う・・・!俺は、また前みたいに・・・読書する」

1人でさびしい奴、っとまた緑川に言われるかもしれない。
緑川の腕に挟まれたままのあおるは俯いた。

「美守は教室にいるだろ?どうせ話しかけられたら喜んで答えるんだろ?」

なぁ?とあおるの顎をクイッと上げ、俯いたあおると視線を合わせた。

「っ話しかけられたら・・・その時はちゃんと答えるよ」

「なら尚更。昼休みは外」

緑川にスパッと言い切られる。
なぜ外に連れ出すのはやめてほしいという話から美守の話へ飛ぶのだろうか。ここでふとあおるに疑問が浮かんだ。

「み、緑川・・・」

「何?」

「なんで美守さんと話しちゃだめなの・・・?」

言った瞬間、緑川の雰囲気が変わった気がした。




「・・・・・・本気でむかつくなぁ・・・」

緑川の冷めた目が、この至近距離が、怖い。

「今までそんなこと無かったのにな・・・」

「っ・・・・・・?」

「俺の命令を聞かなかった時も、反抗して睨んで来た時も、俺に嘘ついた時も、俺を避けた事も・・・全部美守と話すようになってからじゃねぇかよ」


結局、掛田家は緑川家に住まわせてもらっているという大きな借りがあるため、どんなに避けても引っ越さない限り、緑川との縁が切れるはずは無かった。
あの時逆らわなければよかった、避けなければよかったと、あおるは今までの事を後悔した。

「あの家に住めて、まともに学校行けて、生活できるだけでもありがたく思うのって当然だよな?」

「う、うん・・・」

「なにも恩返し出来ないあおるが何でも俺の言う通りにするのは当たり前だと思うけど?」

緑川はあおるを洗脳するかのように言葉を続けた。
そんな風に言われると緑川の言う事が正しいような気さえしてくる。


―――引っ越すまで。大人になって引っ越すまで我慢しさえすればいいんだ・・・!

「こ、これからもちゃんと・・・緑川の言うことき、」

「あおる」

あおるの言葉は緑川に遮られた。

「・・・あおるは、俺と美守どっちが大切?」

―――そんなの決まってる。

(・・・・・・美守さん)

「・・・・・・緑川」

あおるの答えを聞いた緑川は綺麗な微笑みを作った。

「じゃあ隣に美守は要らないよな。明日、あおるから美守に俺と席を替わるように言っといて」

そうしたらもう無理やり外に連れて行かねぇよ、と耳元でボソリと付け足す。

「言えるよな?」

「・・・うっ・・・うん・・・」

「・・・なんで泣くかな?」

緑川は両手であおるの輪郭をそっと捉えると、溢れる涙を親指でぬぐった。

「・・・うぅっ・・・わかんな・・・い・・・っ」

一度流れた涙はすぐには止まらなくて。
美守との接点を奪われた事だけじゃなく、嫌がらせのこと、緑川のことなど、色んなものがどんどん溢れてくる。

「あおる・・・」

「――っ!!?」

緑川の顔が近づき、ポロポロとあおるの目から溢れてくる涙を今度は舌で舐めた。


「あおるの泣き顔って、ゾクゾクする」

「っ・・・・・・!」

そう言う緑川の妖艶な笑みにあおるは言葉を失った。


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