ずっと君だけ。

しゅく

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翌日の昼休み、あおるは美守に緑川と席を替わってほしい事を伝えると彼女はあっさりと替わってくれた。
席を移動する彼女を見て、やっぱり片想いなんだって改めて実感したら少し切ない気持ちになった。

緑川が約束を守ってくれたため、岸辺達からの悪口や嫌がらせもぱったりと無くなったことは良かった。


それから毎日、特に話す相手もいないあおるは昼休みには読書をして過ごした。
緑川の居ない隙をついて自分から美守に話しかければいいのだろうが、接点もないために話題が浮かばないし、何しろ勇気が持てない。

元々友達らしい友達もいないあおるは、美守に会う前までの学校生活に戻った。

緑川は相変わらずクラスの人気者だし、皆と外で遊びに出て、毎日綺麗な笑顔を振りまいている。
あおるには緑川がとても楽しそうに見えた。

緑川に扱き使われるだけの日々。そんなのちっとも楽しくない。






読んでいた本が読み終わり、返却して新しい本を借りようと図書館に行ったその日。


「掛田くん」

「わあっ」

静かな図書室内で本を見ていたあおるは突然背後から声をかけられて驚きの声を上げた。
室内にいた他の生徒からの視線を受け、2人は慌てて声を落とす。

「驚かせてごめんね。私ね、たまには家で本読もうと思って来たんだけど、滅多に来ないから何がどこにあるのか分からなくて」

それでちょうど本選びに夢中になっていたあおるを見つけて話しかけて来たらしい。

「ど、どんな本を探してるの?」

久しぶりに美守と話すので変に緊張してしまう。

「えっとね、ホラー系の本」

「それなら、こっちだよ・・・!」

本の場所なら大抵知ってる、とどこか得意げな気持ちを抑えて案内したのは良かったが・・・
あおるは心霊的なものやホラー系は大の苦手だった。
そういった事を見るのも、読むのも、聞くのも全くダメだ。


「ほ、ホラーって面白い?怖くないの・・・?」

さっそく目に付いた本を手に取り、パラパラとめくっている美守にあおるが聞いた。
表紙には「学校の怪談話集①」と書かれている。
あおるはタイトルを見ただけで真っ暗な夜の学校を想像してしまい、それだけでゾッとなった。

「怖いんだけど、ついつい見てみたくなっちゃうの。掛田くん、こういうの苦手?」

「う、うん、あんまり見ないかも」

「そうなんだ・・・あっ!でもこんなのは?」

はいっとあおるに本が手渡される。

「学校の・・・七不思議?」

「うん!きっとこれなら多分ホラーとは違うだろうし、怖くないと思うよ」

「それなら俺でも読めそう・・・!」

ちょうど何を借りようか悩んでいたあおるは美守から薦められるまま本を借りた。
二週間後、返却する時は一緒に行こうという美守からの提案に同意し、教室に戻って自分の席に着いた。


ホラー系が好きだったなんて意外だ・・・

美守の新しい一面を知り、あおるは久しぶりにドキドキと鼓動が高まるのを感じた。
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