ずっと君だけ。

しゅく

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それから約2週間に1度、図書館で美守との接点をあおるは持つようになった。

彼女から勧められて借りた「学校の七不思議」は思っていたよりも怖いものではなく、あおるはそのシリーズ全巻を読み切った。
今まで苦手だと思っていた事を克服できたような気がして、それを美守に話すと頷きながら自分の話を聞いてくれた。


「私もね、ちょっと分厚めの本を読み切った時にはなんだか凄く嬉しかったの」

達成感ってやつ?そう言いながらふふっと笑った彼女と目が合い、胸がきゅっとする思いがした。


今日は思い切って「学校の怪談話集」を借りてみようか・・・

美守が好きなものを自分も知りたい。
彼女の好きなものを共有できたらどんなに楽しいだろう。

そう思いつつ、あおるは本を借りて一足先に図書室を後にする美守に小さく手を振り返した。







「待ってあおる、それ何?」

机の中の教科書類をランドセルに入れなおし、帰る準備をしていると、今日借りた本が目にとまったらしく緑川が横から話しかけてきた。

「た、たまにはこういう本も良いかなって・・・」

「え・・・、怖いの一切ダメなあおるが・・・?」

“学校の怪談話集①”と書かれた本の背表紙を確認するように見て、緑川があおるの顔をまじまじと見つめながら聞く。

「いや、最近ちょっとずつ読めるようになってきてて・・・」

「は?最近・・・?・・・どういう変化?」

一瞬、学校なのにも関わらず素が出た緑川にあおるは少し驚き、何かまずい事を言ってしまったと内心焦った。

「え、えっと・・・、図書室の先生に勧められて・・・」

「へぇー・・・・・・・・・・・・あ!あおる、今日は先に帰ってていいよ。今日は前河まえかわさんに誘われたから」

前河は元気で明るく友達も多いクラスメートで、誰から見ても緑川の事が好きなんだと分かるくらい積極的な女の子だった。

「うん、わかった・・・先に帰る」

「じゃあね、あおる」

相変わらずの綺麗な笑顔で手を振る緑川。
いつもは一緒に帰ろうという女の子達の誘いを全部断っているのに珍しいな・・・くらいにしかあおるは思っていなかった。





「前河さん、今日一緒に帰ろう?」

あおるが教室を立ち去った後、緑川は女子達の集団の中心にいる前河に話しかけた。
いつも誘われているのは事実だが、今日はまだ誘われてなんていなかった。いつも断られている前河は緑川からの誘いに表情がパッと明るくなる。

「えっほんと!?あの人は?いつも暗めな感じの!」

「ああ、あおる?先に帰ったから大丈夫だよ」

「じゃあ私すぐに荷物取ってくるから!・・・というわけでじゃあねみんな!」

いいなー、うらやましい、だの他の女子達からの言葉が耳に入り、緑川もまた明日ねと笑顔で手を振ったらキャーッと余計に騒がしくなった。





「でも嬉しいな私!だって緑川くんから誘って来てくれるなんて思わなかったんだから!」

この間、朝偶然会った時と同様に許可なんてしてないのに当然のごとく腕にくっ付いてきた前河と2人で歩く。
彼女の家は途中で道が別方向になるため、緑川はいつもと違う道を帰ることになる。

「・・・・・・それよりさ、前河さん、ちょっと聞いていい?」

「うんッ、なに?」

「・・・今日の昼休みさ、美守さんって教室に居た?」

「え、りお?ああ、あの子今日は図書室行くって言ってたような・・・」

「それって毎日・・・?」

「えー、たまにって感じだと思うよ?・・・・・・って緑川くん、りおの事気になるの?」

「いや気になるって言うか・・・」

「ええ!!まさかりおの事が好きとか言わないよね!?」

「それはないよ。前河さんの方がずっといい」

「えっ・・・」

きっぱり言い切った緑川の言葉が相当嬉しかったのか、前河の頬は赤く染まった。

「あ、もう前河さん家着くね。じゃあ、今日はありがとう。また明日ね」

緑川はスルリと絡まれていた腕を抜け出す。

「緑川くん!また一緒に帰ってくれる・・・?」

「また今度ね」

前河のポーッとした視線を背中に受けつつ、緑川は帰宅した。




・・・あおるもばかだ。

幼稚園から一緒なんだから、ちょっとした様子の変化でもすぐに分かる。
まして昔から嘘が下手で、そんなんで俺に隠し事なんて何も出来やしないのに。


自分に靡くように仕向けても、キスを見せ付けても、席を遠ざけても、結局はダメだった。

なら仕方ないよな。もうあおるじゃどうしようもない所へ、遠くへ遠ざけるしかない。
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