ずっと君だけ。

しゅく

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「ひっ・・・!」

あおるは早速、今日借りた本を寝る前にベッドで横になって読んだが、本の内容が予想外に怖くて情けない声を上げてしまった。

「こ、これは、ちょっと読めないな・・・」

まだ半分も読んでいなかったが最後まで読めないと判断し、独り言を呟いた後ギュッと目を瞑り眠ることにした。

本を返す時に一緒に行こうと美守に誘われた。
その時に自分には少し怖くて読めなかったと正直に話そう。美守さんは優しいからきっと変にけなしたり、馬鹿にしたりしないでくれると思う。
また美守さんと沢山話がしたい。ホラー系の面白さを聞いてみよう。
美守さんの笑顔が見たい。

そうだ、今まで読んだ中で自分が面白いと思った本を薦めてみてもいいだろうか。

そんな事を思いながらあおるは眠りについた。





一週間後。


「私ね、お父さんが転勤になったらしくって引っ越すことになったの・・・」

そう本人から直接聞いたときには頭が真っ白になった。










「掛田くん、ちょっといいかな・・・?」

帰りの会が終わってすぐ、美守があおるの席までやってきた。
まだ本を返却する日でもないし、美守には美守の友達が居るため、教室内であおるの席までやってくる事はほとんど無かった。

彼女はいつもの柔らかな表情はなく、どこか深刻そうな表情をしていた。

「美守さん、どうしたの?」

同じく彼女の表情を見た緑川が横からそっと覗き込んで尋ねた。

「・・・掛田くん、緑川くん、私ね・・・・・・」


―――・・・え?

美守の言っている事が一瞬理解できなかった。
横で驚いたような声色で詳しく質問している緑川の話す内容も頭に入らない。

引っ越す・・・?
2週間後?
突然すぎる。

来週は本の返却日で一緒に図書室行くって約束だった。それが最後・・・?

「だからね、私準備とか色々しなくちゃいけなくて・・・本、掛田くんに頼んでもいいかな?」

申し訳なさそうに言う美守が急に儚いもののように感じてならなかった。

「・・・・・・」

「・・・掛田くん?」

「う、うん・・・っ」

声が、本を受け取る手が、震えた。





それからは美守が転校するという事に頭が一杯で下校中の緑川との会話なんてほとんど覚えてなかった。

その夜、あおるは美守のことばかり考えていてなかなか寝付けずにいた。


転校なんて嫌だ・・・そんなの言ったところで親の都合ならどうしようもない。
もう学校で美守に会えなくなるかと思うと辛い。もっともっと一緒に話したかった。
・・・それでも居なくなってしまう。

偶然同じ委員会にならなかったら美守さんと話すきっかけもなかったと思う。
一緒の委員会になって本当に良かった。
話しかけてくれて、優しく接してくれて本当に嬉しかったし、いつの間にか美守さんを好きになっていた。


―――せめて、最後に伝えたい。

あおるは決意した。
もう会えなくなるかと思うと、いてもたっても居られなかった。
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