ずっと君だけ。

しゅく

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高校生1

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◇ ◇ ◇




4月5日月曜日、天気は快晴、今日は碧翠学園の入学式。

「行ってきます・・・!」

いよいよ今日から高校生なんだと思うと、気合いからか、あおるは自然と行ってきますの言葉が出た。
母親は仕事で居ないため、当然返事は無いけれど。


家から最寄りのバス停まで歩いて10分程度。
バスに乗って約15分で駅に着く。
そこから30分ほど電車に乗り“碧翠学園前”という駅で降りる。

駅を降りて一番目に留まるのが、田んぼや畑しかない広々とした平野に縦にも横にも堂々と広がる大きな校舎。
自然溢れるのどかな景色の中では、少し場違いだなとも思った。

春休み中に一度、実際に行ってみたのでどれくらいの時間がかかるかは実証済み。


なんだか気が引けて、碧翠学園前駅から校舎までは実際には行かなかったけれど、徒歩10分弱で校舎に着くとみた。
合計すると、通学に片道だけで1時間ちょっとかかってしまう。


こんなにかかるなら霧丘みたいに寮に入りたかったなんて思うが、寮に入れるような金銭的余裕は無かった。

寮で暮らすか、自宅で暮らすかは生徒の希望に任せられている。
パンフレットに載せられていた寮の写真は外観、内装ともに、もはや高級ホテルだった。
寮の生活費を払うよりも定期を利用してバスと電車で通った方が断然安くつくため、あおるは選ぶまでもなく、自宅通学決定となったのだ。

霧丘は荷物を運んだり、自室の整理のために昨日から入寮しているらしい。
なんでも高等部は中学部とは違い、一人部屋だとか。

寮での暮らしはどうなのか、今度霧丘に聞いてみよう。
そう思いつつ、合格祝いで買ってもらったばかりのスマホを見ると霧丘からのメッセージが来ていた。

『正門で待ち合わせな!』

簡潔な内容に、あおるはたどたどしくも分かったと返事を送信した。


「次は碧翠学園前、碧翠学園前駅でございます。お降りの際はー・・・」

「あ、降りないと・・・」

入学式なのにも関わらず、電車から降りるのはあおると同じ制服を着た生徒2,3名程度。
お金持ちの生徒は公共交通機関は使わないのだろうか。


・・・・・・そんな事よりも、学園の校舎が大規模すぎる。

学校と言うには相応しくない建造物を間近で見て少し怯んだが、あおるは霧丘が待つ正門へ向かった。








「・・・霧丘っ!」

約束通り正門で待っている霧丘を見つけたあおるは駆け足で近づいた。

外部生が珍しいのか、霧丘が目立つのか、どちらにしろ霧丘はかなりの視線を周りの生徒から浴びているようだった。

「おー、あおる!」

そんな彼が手を振る先、あおるにその視線が一斉に移り、変にどぎまぎしてしまう。

「っ・・・ご、ごめん、待った?」

「いや全然。俺昨日から寮だしさ。近い近い」

周りから受ける視線を全く気にする様子も無く、いつも通り明るく笑う霧丘に安堵して、あおるはふぅっと大きく息を吐いた。

「そっか、よかった」

「んなことより、会場行こうぜ!」

「うん、そうだね」

あおると霧丘は二人並んで歩き出した。



霧丘と並んで改めて分かる、痛いくらいの視線。
周りがやたらと見てくる。
この学園では比率が少ない女子だけでなく、男子も。

そんなに外部から来た生徒が珍しいのだろうか・・・
いや違う。

霧丘に集まるのは、柔らかい視線。
自分に集まるのは、鋭い視線だった。

隣にいる不釣り合いな奴なに?的な事を周りは思っているに違いない。
目は口ほどに物を言うって聞くけれど、それがよく分かる。

「・・・あおる?俯いてるけど、どうかしたか?」

霧丘が心配そうにたずねてくる。

正直、これまで地味に生きてきたあおるは注目されることに慣れていない。
あんまり見られると変な汗が出てくるほど。

現に今だって手にじんわり汗をかいている状態だ。

「い、いや、少し緊張してるだけだから大丈夫」

それでもだからと行って霧丘とは自分からは離れてやらないんだ、とあおるはひっそりと心に思った。

「そうだ、あおる。入学式終わったら俺の部屋来いよ」

「え、いいの!?」

「今朝寮長に聞いたら、遊びに招くくらいは全然いいって!」

お前、寮の部屋の中見たがってただろ?と確認するように聞いてきた霧丘にあおるの表情が明るくなる。

「じゃあ、昼ご飯も持って行っていい!?」

「おう!部屋で昼メシにしようぜ。よっし、そろそろ行くか!」

「うん、また後で」

霧丘はスポーツ科へ、あおるは普通科特進クラスへと、クラス別に並べて用意してある自分の座席に向かった。
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