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しおりを挟む「ねぇねぇ、君が外部から来た人でしょ?」
あおるは指定された自分の席に座ってすぐ、背後からトントンと肩に触れられ、後ろを振り向いた。
「あれ、なんだフツーじゃん・・・」
なんだか少し残念そうな顔をされたが、話しかけて来た彼の顔を見てあおるは驚いた。
大きな瞳に、こじんまりとした口、色白の肌、柔らかそうなウェーブのかかったミルクティー色の髪。
制服のズボンで男だと判断できたが、一瞬女の子かと思うほど。
それくらい可愛い顔をしていたのだ。
「あ、えっと、よろし・・・「でもすごいねー。外部から来てしかもこのクラスってのが!」
よろしく、そう言おうとしたあおるの言葉は彼に遮られた。
「僕が言うのも何だけどさ、品行方正さと成績を総合して学年のトップから15人までしかこのSクラスにはなれないんだよ~」
「そ、そうなんだ・・・」
だから他のクラスに比べて、並べてある椅子の数が極端に少ないのか。
勉強は精一杯取り組んできたが、まさかSクラスに入れるなんてあおる自信も驚きだった。
「でも君ってラッキーだね」
「え・・・?」
「だってさ、Sクラスってことはあの人とも同じクラスなんだよ?」
「あの人・・・?」
「かっこよくてね~綺麗で、優しくて・・・後で生徒代表の挨拶するよ」
うっとりしたような目で話す彼は、きっとその人のことが好きなのだろう。
そう思わせるような表情だった。
「すごい人なんだね・・・」
あおるはあまり興味が持てず、何がラッキーなのかよく分からないが、嬉しそうに話す彼に無難にそう返すしか言葉が見つからなかった。
「あっ、もう式始まっちゃうよ。ほら、前向かなきゃ!」
そう言われ、あおるは前を向き直った。
いつの間にか、開式時間が迫るにつれて空いていた席がほぼ全て埋まっていたことに気付く。
『只今より、入学式を行います―――・・・』
教頭がステージ上で挨拶をし、入学式が開式した。
入学式が順調に行われる中、
『次に、新入生代表挨拶』
進行役がそう言った途端、一斉に「「キャーーッ!!」」という歓声が上がった。
え・・・!?
な、何・・・!?
突然の歓声に何事かとあおるは驚いた。
だがすぐにさっき後ろの彼が話していた事を思い出して、納得した。
どうやら、新入生代表は学園の人気者らしい。
まだステージ上に姿を現していないのにも関わらず、なおも続く黄色い声。
黄色い声、と言っても全体の約3割程度しかいない女子と一部の男子の声が混合している。
男でもこんなに高い声が出るのかと、あおるは思った。
あおるのすぐ後ろからも声が聞こえ、さっきの彼も叫んでいるのだと分かった。
『え、えー・・・生徒の皆さんお静かに』
進行役の注意など全く通らない。
それどころか、早く早くと催促の言葉もちらほら聞こえてくる。
注意しても無駄だと諦めたのか、変わらず騒がしい中、式は進められた。
『・・・・・・では、新入生代表挨拶。第一学年Sクラス、緑川修―――・・・』
―――え・・・?
進行役の言葉と同時にスッと姿を見せた人物を見て固まった。
キャーッと一際大きくなる煩いくらいの歓声も耳に入らない。
自分だけ時間が止まったかのよう。
う、うそだ・・・
なんで居るんだ・・・
動悸が激しくなり、ガクガクと全身が震えてくるのが分かる。
『・・・新入生を代表して、ご挨拶を申し上げます―――・・・』
適度に低く、甘さの含んだ柔らかい声が会場に響く。
目が・・・離したいのに離れない。
「っ・・・・・・!!?」
壇上から見下ろす彼と目が合った気がして慌てて俯いた。
・・・・・・ほ、微笑みかけられた・・・?!
ドクドクと脈打つ鼓動がいっそう早まる。
人の心を惹き付けて止まない端正な顔立ち、バランスの取れた体型、色素の薄い茶色の髪、綺麗で優しいけれど、どこか怖い笑顔。
―――変わることなく成長した、緑川そのものだった。
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