ずっと君だけ。

しゅく

文字の大きさ
53 / 93

3

しおりを挟む
 

―――緑川がいた。


身長は大分伸び、声変わりもしていた。
大人っぽくなっていたけれど前とほとんど変わっていない。
名前を聞いて、姿を見て、すぐに緑川だと分かった。


入学式で思いもよらなかった再会。
そのうえ同じクラスだなんて最悪だ。

前にどこの中学か聞いても教えてくれなかった。
まさか嵌められた・・・?
いや、受験すると決めたのは自分自身だ。

自分は何て学校に来てしまったのか・・・


軽く放心状態なあおるをよそに入学式は順調に進められ、気付けば閉式していた。


『・・・それでは、Sクラスの生徒の皆さんから退場し、教室へ移動をお願いします』

そう言われ、周りが動き出す。

あおるもその流れに任せて退場した。







「ねっ、かっこよかったでしょ?あの人」

行きたくないと思いつつも新しい教室へと移動している途中、先ほどの可愛い顔をした彼が話しかけてきた。
Sクラスの中に一人、外部から突然入学してきた自分に気兼ねなく話しかけてくれる事は嬉しい。
けれど、なぜそんな事を確認したがるのか・・・

「・・・うん、かっこいい・・・・・・と思う」

無難にそう返すと「だよねー」と彼は嬉しそうに微笑む。

「でもね、緑川くんのファン多いんだよー。君もさ、せっかく同じクラスなんだからお近づきになれたらいいね」

彼の言葉に思わず動揺した。

「お、俺はいいよ・・・!」

むしろずっと近づかないままでいい。

「大丈夫だよ~、緑川くんは優しいから。話したいときは僕に言ってくれたら取り持つよ?」

そう言う彼は、あおるの拒否的な言葉を遠慮していると捉えたらしく、なぜか励まされた。
遠回しに緑川と仲良くしたい時は僕を通せ、と言っている感じがした。

「・・・仲良いの?」

「うんっ、緑川くんとは中3の一年間寮の部屋が一緒だったんだぁ。さっきも僕の呼びかけに微笑んでくれたし」

えへへっとはにかみながら話す。

「そうなんだ・・・」

なるほど、式中に微笑まれた気がしたのは自分じゃなくて後ろに居た彼へ向けた笑みだったようだ。

「あ、教室着いたねっ」

じゃあね、彼はそう言って指定された自分の席へと去って行った。



もうすぐ緑川もこの教室に来るだろう。

小学生の頃に受けた粗末な扱いを思い出す。

嫌だ嫌だ会いたくない。
またこき使われるのか。
また泣くはめになるのか。

霧丘と同じ学校で楽しく過ごすんだと喜んでいたのに。

ふと霧丘の顔が浮かんだ。


・・・・・・そうだ。
自分にも友達が、霧丘がいる。

霧丘を思い浮かべると心強い。


自分は、あの頃よりも強くなったんだ、成長したんだ。
もう、振り回されない。

そう自分に言い聞かせながら、あおるは席に着いた。




しおりを挟む
感想 4

あなたにおすすめの小説

創作BL短編集

さるやま
BL
短編まとめました。 美形×平凡、ヤンデレ、執着・溺愛攻め多め

イケメンダブルセンターとアンチ>ファンな平凡な俺

スノウマン(ユッキー)
BL
アイドルグループ【オーバーウェルミング】は圧倒的な歌唱力の深山影月、圧倒的なパフォーマンス力の漣陽太、そして圧倒的な平凡力な俺間桐真緒の3人で結成されている。  大人気の二人と違いアンチしかいない俺だが、メンバーからもファンからも愛される日が果たしてくるのか!?

【短編+連載版】一度も話したことないイケメンのクラスメイトと二人組になったらめちゃくちゃ執着されてた

BL
サクッと読みたい方は短編版(約5000字)をどうぞ! ◇◇◇ 「はい、じゃあ二人組作って」──あまり人付き合いが得意ではない夏稀(なつき)にとってそれは地獄の言葉。 けれど高校ではちがう。なぜなら新しくできた友達と『二人組』協定を結んだから。 もう二人組なんて怖くないと思っていた矢先、その友達が風邪で欠席。 ほかに組む相手が見つからず、先生と組むことも覚悟する夏稀だったが、そこで声をかけてきたのは美形の転校生──緒川聖夜(おがわ・きよや)だった。 「俺と二人組にならない?」 その一言をきっかけに聖夜は夏稀との距離を急速に縮めてきて──。 執着美形攻め×平凡受けのちょっと不穏な学園BL。 ◇◇◇ いいね、エールありがとうございます!嬉しいですー!

妖精です、囲われてます

うあゆ
BL
僕は妖精 森で気ままに暮らしていました。 ふと気づいたら人間に囲まれてました。 でもこの人間のそばはとても心地いいし、森に帰るタイミング見つからないなぁ、なんて思いながらダラダラ暮らしてます。 __________ 妖精の前だけはドロ甘の冷徹公爵×引きこもり妖精 なんやかんやお互い幸せに暮らします。

幼馴染がいじめるのは俺だ!

むすめっすめ
BL
幼馴染が俺の事いじめてたのは、好きな子いじめちゃうやつだと思ってたのに... 「好きな奴に言われたんだ...幼馴染いじめるのとかガキみてーだって...」 「はっ...ぁ??」 好きな奴って俺じゃないの___!? ただのいじめっ子×勘違いいじめられっ子 ーーーーーー 主人公 いじめられっ子 小鳥遊洸人 タカナシ ヒロト 小学生の頃から幼馴染の神宮寺 千透星にいじめられている。 姉の助言(?)から千透星が自分のこといじめるのは小学生特有の“好きな子いじめちゃうヤツ“だと思い込むようになり、そんな千透星を、可愛いじゃん...?と思っていた。 高校で初めて千透星に好きな人が出来たことを知ったことから、 脳破壊。 千透星への恋心を自覚する。 幼馴染 いじめっ子 神宮寺 千透星 ジングウジ チトセ 小学生の頃から幼馴染の小鳥遊 洸人をいじめている。 美形であり、陰キャの洸人とは違い周りに人が集まりやすい。(洸人は千透星がわざと自分の周りに集まらないように牽制していると勘違いしている) 転校生の須藤千尋が初恋である

可哀想は可愛い

綿毛ぽぽ
BL
 平民、ビビり、陰キャなセシリオは王立魔術学園へ入学を機に高校デビューを目指したが敢え無く失敗し不良のパシリをさせられる毎日。  同室者の男にも呆れられ絶望するセシリオに天使のような男が現れるが、彼もかなりイカれた野郎のようで……?セシリオは理想の平和な学園生活を送る事が出来るだろうか。また激重感情を抱えた男から逃げられるだろうか。 「むむむ無理無理!助けて!」 ━━━━━━━━━━━ ろくな男はいません。 世界観がごちゃごちゃです。余り深く考えずに暖かい目で読んで頂けたら、と思います。 表紙はくま様からお借りしました。

好きなタイプを話したら、幼なじみが寄せにきた。

さんから
BL
無愛想美形×世話焼き平凡 幼なじみに好きバレしたくない一心で、真逆の好きなタイプを言ったら……!?

美形な幼馴染のヤンデレ過ぎる執着愛

月夜の晩に
BL
愛が過ぎてヤンデレになった攻めくんの話。 ※ホラーです

処理中です...