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しおりを挟む―――緑川がいた。
身長は大分伸び、声変わりもしていた。
大人っぽくなっていたけれど前とほとんど変わっていない。
名前を聞いて、姿を見て、すぐに緑川だと分かった。
入学式で思いもよらなかった再会。
そのうえ同じクラスだなんて最悪だ。
前にどこの中学か聞いても教えてくれなかった。
まさか嵌められた・・・?
いや、受験すると決めたのは自分自身だ。
自分は何て学校に来てしまったのか・・・
軽く放心状態なあおるをよそに入学式は順調に進められ、気付けば閉式していた。
『・・・それでは、Sクラスの生徒の皆さんから退場し、教室へ移動をお願いします』
そう言われ、周りが動き出す。
あおるもその流れに任せて退場した。
「ねっ、かっこよかったでしょ?あの人」
行きたくないと思いつつも新しい教室へと移動している途中、先ほどの可愛い顔をした彼が話しかけてきた。
Sクラスの中に一人、外部から突然入学してきた自分に気兼ねなく話しかけてくれる事は嬉しい。
けれど、なぜそんな事を確認したがるのか・・・
「・・・うん、かっこいい・・・・・・と思う」
無難にそう返すと「だよねー」と彼は嬉しそうに微笑む。
「でもね、緑川くんのファン多いんだよー。君もさ、せっかく同じクラスなんだからお近づきになれたらいいね」
彼の言葉に思わず動揺した。
「お、俺はいいよ・・・!」
むしろずっと近づかないままでいい。
「大丈夫だよ~、緑川くんは優しいから。話したいときは僕に言ってくれたら取り持つよ?」
そう言う彼は、あおるの拒否的な言葉を遠慮していると捉えたらしく、なぜか励まされた。
遠回しに緑川と仲良くしたい時は僕を通せ、と言っている感じがした。
「・・・仲良いの?」
「うんっ、緑川くんとは中3の一年間寮の部屋が一緒だったんだぁ。さっきも僕の呼びかけに微笑んでくれたし」
えへへっとはにかみながら話す。
「そうなんだ・・・」
なるほど、式中に微笑まれた気がしたのは自分じゃなくて後ろに居た彼へ向けた笑みだったようだ。
「あ、教室着いたねっ」
じゃあね、彼はそう言って指定された自分の席へと去って行った。
もうすぐ緑川もこの教室に来るだろう。
小学生の頃に受けた粗末な扱いを思い出す。
嫌だ嫌だ会いたくない。
またこき使われるのか。
また泣くはめになるのか。
霧丘と同じ学校で楽しく過ごすんだと喜んでいたのに。
ふと霧丘の顔が浮かんだ。
・・・・・・そうだ。
自分にも友達が、霧丘がいる。
霧丘を思い浮かべると心強い。
自分は、あの頃よりも強くなったんだ、成長したんだ。
もう、振り回されない。
そう自分に言い聞かせながら、あおるは席に着いた。
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