ずっと君だけ。

しゅく

文字の大きさ
55 / 93

5

しおりを挟む
 


ずっと一緒にいれる=ずっとパシリ

そんな方程式があおるの頭に浮かんで、思わず顔が引き攣った。


緑川は・・・変わってない。

人前で仲良く振る舞うかと思えば、陰では意地悪で、召使いみたいに命令しては従わせる。
機嫌を損ねるとイライラを隠そうともせず、理不尽なことも平気で言ってくる。
そんな裏表の激しさ。

表面上では人当たりがいいため、自分が緑川の本性を言っても誰も信じてくれない。
逆に緑川が自分の愚痴やある事ない事を少し言うだけで、周りは真に受けて信じてしまう。
人気者の影響力は恐ろしいほど大きい。

その事を知っていて、緑川は上手く利用するんだ。


引き攣ったまま何も言わないあおるに近距離で緑川が問いかけてくる。

「あおるは?あおるは俺と会えて嬉しくない・・・?」

「・・・お、俺は・・・・・・もう、パシリなんて嫌だ・・・っ」

一瞬緑川の目が大きく見開いたまま固まった気がした。
だが、すぐに笑みを作った。

「・・・え、パシリってなに?あおる、どうしたの?」

余裕な口調と笑みで緑川は堂々としらばくれる。
推薦枠とはいえ外部から突然来た自分の発言に信用性なんて全く無いのはよく分かっている。
周りからの・・・特に先ほど緑川に躱された彼からの視線が痛い。

なんで緑川くんに話しかけられてんだ、
あいつ緑川くんに何言ってんだ、
っていうそんな視線。

「・・・・・・俺は今までのこと全部、覚えてるよっ!だから・・・・・・会っても嬉しくなんかない・・・っ」

そう言う声は震えてしまった。

小学生の頃は緑川の機嫌を損ねないように行動してきた。
他のクラスメートにこれ以上嫌われたくなくて、人望の厚い緑川に合わせるようにしてきた。

・・・でももういい。
緑川に合わせても、合わせなくても、どっちにしろ良い事はなかったんだから。


「酷いなぁ、あおるは。あんなに仲良しだったのに・・・・・・俺が同じ中学行かなかったから?喧嘩別れになっちゃったから?」

緑川は眉をひそめ、悲しそうな表情を作っている。
その言い方じゃまるで自分が拗ねてるみたいだ。

「・・・っもともとから仲良くなんてなかった・・・!」

余裕な緑川に負けるもんかと唇を噛みしめてキッと睨むように見上げた。

「ぷっ・・・あおるなにそれ、上目遣い?」

だがそんなの物ともせず、冗談めかして言う緑川。

「なっ・・・!違うよ!それに俺は、前にも嫌いだって言った・・・!」

「はいはい」

馬鹿にされた気がして、黙ってられずに言い返しても流されてしまう。



内気なあおるの精一杯の強気な態度は返って逆効果だった。
周りから見ればイチャついているようにも見える光景だったからだ。


・・・何を言っても緑川に躱される。

どう言えばちゃんと拒絶しているように聞こえるのかと考えていると、今までもの凄い形相であおるを睨み付けていた可愛らしい彼が緑川の背後から駆け寄ってきた。

「緑川くんっ!」

彼はそのままボフッと緑川の背中に抱きつく。
その背中に受けた衝撃に緑川は少し驚いた顔をし、振り返った。

「・・・宮野?」

「そんな奴もういいじゃん!緑川くんに嫌いだとか酷いこと沢山言って・・・最悪だよ」

宮野みやのと呼ばれた可愛らしい彼は緑川の腰にしがみついたまま、大きな瞳でギロッとあおるを見た。

最悪でいいからもう構ってこないで欲しいと思った。

「ああ、宮野まで気分悪くさせたみたいでごめんね。でも、あおるは一番の友達なんだ。きっと久しぶりすぎて照れてるだけで」

「緑川くんの優しいところ、僕大好きだよ・・・!でも・・・っこの人は言い過ぎだと思う」

こんな奴が友達だなんて緑川くんが可哀相、とでも言いたげに宮野は涙ぐんで緑川を見る。

「庇ってくれてありがとう。でも、本当に嫌な奴じゃないんだ。あおるとも仲良くしてやって欲しいな」

「・・・緑川くんがそう言うなら・・・・・・」

宮野 奏みやの かなでよろしくね・・・と緑川の腕にピッタリとくっ付いたまま右手を差し出される。
そんな風に仕方なくよろしくと言われても嬉しくない。
だが、ここでその手を振り払ったらそれこそ人として最悪だと言われても仕方ない。
他にもクラスメートが見ている状況で、そんな嫌な人にはなりたくなかった。

「・・・掛田、あおる・・・です」

ぎこちなくも差し出された宮野の手を握るとものすごい力を込めて握り返された。

・・・よろしくする気なんてさらさらないようだ。
しおりを挟む
感想 4

あなたにおすすめの小説

創作BL短編集

さるやま
BL
短編まとめました。 美形×平凡、ヤンデレ、執着・溺愛攻め多め

イケメンダブルセンターとアンチ>ファンな平凡な俺

スノウマン(ユッキー)
BL
アイドルグループ【オーバーウェルミング】は圧倒的な歌唱力の深山影月、圧倒的なパフォーマンス力の漣陽太、そして圧倒的な平凡力な俺間桐真緒の3人で結成されている。  大人気の二人と違いアンチしかいない俺だが、メンバーからもファンからも愛される日が果たしてくるのか!?

【短編+連載版】一度も話したことないイケメンのクラスメイトと二人組になったらめちゃくちゃ執着されてた

BL
サクッと読みたい方は短編版(約5000字)をどうぞ! ◇◇◇ 「はい、じゃあ二人組作って」──あまり人付き合いが得意ではない夏稀(なつき)にとってそれは地獄の言葉。 けれど高校ではちがう。なぜなら新しくできた友達と『二人組』協定を結んだから。 もう二人組なんて怖くないと思っていた矢先、その友達が風邪で欠席。 ほかに組む相手が見つからず、先生と組むことも覚悟する夏稀だったが、そこで声をかけてきたのは美形の転校生──緒川聖夜(おがわ・きよや)だった。 「俺と二人組にならない?」 その一言をきっかけに聖夜は夏稀との距離を急速に縮めてきて──。 執着美形攻め×平凡受けのちょっと不穏な学園BL。 ◇◇◇ いいね、エールありがとうございます!嬉しいですー!

妖精です、囲われてます

うあゆ
BL
僕は妖精 森で気ままに暮らしていました。 ふと気づいたら人間に囲まれてました。 でもこの人間のそばはとても心地いいし、森に帰るタイミング見つからないなぁ、なんて思いながらダラダラ暮らしてます。 __________ 妖精の前だけはドロ甘の冷徹公爵×引きこもり妖精 なんやかんやお互い幸せに暮らします。

幼馴染がいじめるのは俺だ!

むすめっすめ
BL
幼馴染が俺の事いじめてたのは、好きな子いじめちゃうやつだと思ってたのに... 「好きな奴に言われたんだ...幼馴染いじめるのとかガキみてーだって...」 「はっ...ぁ??」 好きな奴って俺じゃないの___!? ただのいじめっ子×勘違いいじめられっ子 ーーーーーー 主人公 いじめられっ子 小鳥遊洸人 タカナシ ヒロト 小学生の頃から幼馴染の神宮寺 千透星にいじめられている。 姉の助言(?)から千透星が自分のこといじめるのは小学生特有の“好きな子いじめちゃうヤツ“だと思い込むようになり、そんな千透星を、可愛いじゃん...?と思っていた。 高校で初めて千透星に好きな人が出来たことを知ったことから、 脳破壊。 千透星への恋心を自覚する。 幼馴染 いじめっ子 神宮寺 千透星 ジングウジ チトセ 小学生の頃から幼馴染の小鳥遊 洸人をいじめている。 美形であり、陰キャの洸人とは違い周りに人が集まりやすい。(洸人は千透星がわざと自分の周りに集まらないように牽制していると勘違いしている) 転校生の須藤千尋が初恋である

可哀想は可愛い

綿毛ぽぽ
BL
 平民、ビビり、陰キャなセシリオは王立魔術学園へ入学を機に高校デビューを目指したが敢え無く失敗し不良のパシリをさせられる毎日。  同室者の男にも呆れられ絶望するセシリオに天使のような男が現れるが、彼もかなりイカれた野郎のようで……?セシリオは理想の平和な学園生活を送る事が出来るだろうか。また激重感情を抱えた男から逃げられるだろうか。 「むむむ無理無理!助けて!」 ━━━━━━━━━━━ ろくな男はいません。 世界観がごちゃごちゃです。余り深く考えずに暖かい目で読んで頂けたら、と思います。 表紙はくま様からお借りしました。

好きなタイプを話したら、幼なじみが寄せにきた。

さんから
BL
無愛想美形×世話焼き平凡 幼なじみに好きバレしたくない一心で、真逆の好きなタイプを言ったら……!?

きみが隣に

すずかけあおい
BL
いつもひとりでいる矢崎は、ある日、人気者の瀬尾から告白される。 瀬尾とほとんど話したことがないので断ろうとすると、「友だちからでいいから」と言われ、友だちからなら、と頷く。 矢崎は徐々に瀬尾に惹かれていくけれど――。 〔攻め〕瀬尾(せお) 〔受け〕矢崎(やざき)

処理中です...