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しおりを挟むずっと一緒にいれる=ずっとパシリ
そんな方程式があおるの頭に浮かんで、思わず顔が引き攣った。
緑川は・・・変わってない。
人前で仲良く振る舞うかと思えば、陰では意地悪で、召使いみたいに命令しては従わせる。
機嫌を損ねるとイライラを隠そうともせず、理不尽なことも平気で言ってくる。
そんな裏表の激しさ。
表面上では人当たりがいいため、自分が緑川の本性を言っても誰も信じてくれない。
逆に緑川が自分の愚痴やある事ない事を少し言うだけで、周りは真に受けて信じてしまう。
人気者の影響力は恐ろしいほど大きい。
その事を知っていて、緑川は上手く利用するんだ。
引き攣ったまま何も言わないあおるに近距離で緑川が問いかけてくる。
「あおるは?あおるは俺と会えて嬉しくない・・・?」
「・・・お、俺は・・・・・・もう、パシリなんて嫌だ・・・っ」
一瞬緑川の目が大きく見開いたまま固まった気がした。
だが、すぐに笑みを作った。
「・・・え、パシリってなに?あおる、どうしたの?」
余裕な口調と笑みで緑川は堂々としらばくれる。
推薦枠とはいえ外部から突然来た自分の発言に信用性なんて全く無いのはよく分かっている。
周りからの・・・特に先ほど緑川に躱された彼からの視線が痛い。
なんで緑川くんに話しかけられてんだ、
あいつ緑川くんに何言ってんだ、
っていうそんな視線。
「・・・・・・俺は今までのこと全部、覚えてるよっ!だから・・・・・・会っても嬉しくなんかない・・・っ」
そう言う声は震えてしまった。
小学生の頃は緑川の機嫌を損ねないように行動してきた。
他のクラスメートにこれ以上嫌われたくなくて、人望の厚い緑川に合わせるようにしてきた。
・・・でももういい。
緑川に合わせても、合わせなくても、どっちにしろ良い事はなかったんだから。
「酷いなぁ、あおるは。あんなに仲良しだったのに・・・・・・俺が同じ中学行かなかったから?喧嘩別れになっちゃったから?」
緑川は眉をひそめ、悲しそうな表情を作っている。
その言い方じゃまるで自分が拗ねてるみたいだ。
「・・・っもともとから仲良くなんてなかった・・・!」
余裕な緑川に負けるもんかと唇を噛みしめてキッと睨むように見上げた。
「ぷっ・・・あおるなにそれ、上目遣い?」
だがそんなの物ともせず、冗談めかして言う緑川。
「なっ・・・!違うよ!それに俺は、前にも嫌いだって言った・・・!」
「はいはい」
馬鹿にされた気がして、黙ってられずに言い返しても流されてしまう。
内気なあおるの精一杯の強気な態度は返って逆効果だった。
周りから見ればイチャついているようにも見える光景だったからだ。
・・・何を言っても緑川に躱される。
どう言えばちゃんと拒絶しているように聞こえるのかと考えていると、今までもの凄い形相であおるを睨み付けていた可愛らしい彼が緑川の背後から駆け寄ってきた。
「緑川くんっ!」
彼はそのままボフッと緑川の背中に抱きつく。
その背中に受けた衝撃に緑川は少し驚いた顔をし、振り返った。
「・・・宮野?」
「そんな奴もういいじゃん!緑川くんに嫌いだとか酷いこと沢山言って・・・最悪だよ」
宮野と呼ばれた可愛らしい彼は緑川の腰にしがみついたまま、大きな瞳でギロッとあおるを見た。
最悪でいいからもう構ってこないで欲しいと思った。
「ああ、宮野まで気分悪くさせたみたいでごめんね。でも、あおるは一番の友達なんだ。きっと久しぶりすぎて照れてるだけで」
「緑川くんの優しいところ、僕大好きだよ・・・!でも・・・っこの人は言い過ぎだと思う」
こんな奴が友達だなんて緑川くんが可哀相、とでも言いたげに宮野は涙ぐんで緑川を見る。
「庇ってくれてありがとう。でも、本当に嫌な奴じゃないんだ。あおるとも仲良くしてやって欲しいな」
「・・・緑川くんがそう言うなら・・・・・・」
宮野 奏よろしくね・・・と緑川の腕にピッタリとくっ付いたまま右手を差し出される。
そんな風に仕方なくよろしくと言われても嬉しくない。
だが、ここでその手を振り払ったらそれこそ人として最悪だと言われても仕方ない。
他にもクラスメートが見ている状況で、そんな嫌な人にはなりたくなかった。
「・・・掛田、あおる・・・です」
ぎこちなくも差し出された宮野の手を握るとものすごい力を込めて握り返された。
・・・よろしくする気なんてさらさらないようだ。
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