63 / 93
13
しおりを挟む酷い喪失感だった。
「・・・っはぁ・・・はぁ・・・っ」
目には涙を溜めて頬を上気させ、肩を上下させて呼吸しながら横たえる。
いつの間にか視界を遮っていたネクタイも緩んでいた。
緑川が外したのか、行為の合間でズレたのか。
緑川が薄く口を開け、手の平に白濁を少し吐き出す仕草をした。
残りをゴクッと飲み込んだのが視界の隅に入ったが、考えが及ばない。
「・・・次はこっち」
「な・・・っ!?ぅあっ・・・!」
緑川が先ほど口から出したものをあおるの後孔へ馴染ませるように塗り、中指をあてがう。
あおるは未知の経験に恐怖を覚え、脱力していた体が一気に強ばった。
「ま、待って緑川・・・!嫌だ!止めて!!」
「・・・痛い事はしないって言っただろ?」
今にも挿入しようとしていた手を止め、不満気にあおるに言う。
「こ、こわい・・・!緑川・・・嫌だ・・・うぅ・・・っ」
とうとうあおるの目に溜まっていた涙が溢れ出す。
「あおるの泣き顔って余計に泣かせたくなるって・・・・・・俺が言ったこと覚えてる?」
あてがった中指をグッと少し入れられた。
体液の滑りで痛みはないが、異物感が込み上げてきて気持ちが悪い。
「くっうあぁ・・・!!」
「まだ指の先しか入れてないよ」
―――酷い。
いつもそうだ。
自分が泣こうが喚こうが必死に懇願しようが、お構いなしで。
他の人には王子様って呼ばれるくらい優しいのに。
まるで自分の事を・・・ストレスの捌け口とでも思っているのではないか、と思う。
それが、辛い。
「・・・うっ・・・うぇっく・・・緑川・・・ひ・・・酷いよ・・・」
「・・・あおるは俺から離れようとしてんだろ?なんでも言う事聞くって言ったよな?」
緑川に問い詰められてもただただ泣くことしかできないあおるに、緑川がちっと舌打ちして指を引き抜き、あおるの腕に絡められていた制服のシャツを剥ぎ取った。
ようやく自由になった腕を引っ張られ体を起こされると、そのまま緑川に抱きしめられた。
「・・・っとに腹立つんだよ・・・・・・どうしようもなく・・・」
掠れた声で緑川が呟くと、あおるを抱きしめる力がギュッと強まった。
はじめて見る緑川に思わず涙が止まる程あおるは戸惑ったけれど、同時にやめてくれたことに対して、安堵の涙が出そうだった。
72
あなたにおすすめの小説
イケメンダブルセンターとアンチ>ファンな平凡な俺
スノウマン(ユッキー)
BL
アイドルグループ【オーバーウェルミング】は圧倒的な歌唱力の深山影月、圧倒的なパフォーマンス力の漣陽太、そして圧倒的な平凡力な俺間桐真緒の3人で結成されている。
大人気の二人と違いアンチしかいない俺だが、メンバーからもファンからも愛される日が果たしてくるのか!?
【短編+連載版】一度も話したことないイケメンのクラスメイトと二人組になったらめちゃくちゃ執着されてた
時
BL
サクッと読みたい方は短編版(約5000字)をどうぞ!
◇◇◇
「はい、じゃあ二人組作って」──あまり人付き合いが得意ではない夏稀(なつき)にとってそれは地獄の言葉。
けれど高校ではちがう。なぜなら新しくできた友達と『二人組』協定を結んだから。
もう二人組なんて怖くないと思っていた矢先、その友達が風邪で欠席。
ほかに組む相手が見つからず、先生と組むことも覚悟する夏稀だったが、そこで声をかけてきたのは美形の転校生──緒川聖夜(おがわ・きよや)だった。
「俺と二人組にならない?」
その一言をきっかけに聖夜は夏稀との距離を急速に縮めてきて──。
執着美形攻め×平凡受けのちょっと不穏な学園BL。
◇◇◇
いいね、エールありがとうございます!嬉しいですー!
妖精です、囲われてます
うあゆ
BL
僕は妖精
森で気ままに暮らしていました。
ふと気づいたら人間に囲まれてました。
でもこの人間のそばはとても心地いいし、森に帰るタイミング見つからないなぁ、なんて思いながらダラダラ暮らしてます。
__________
妖精の前だけはドロ甘の冷徹公爵×引きこもり妖精
なんやかんやお互い幸せに暮らします。
幼馴染がいじめるのは俺だ!
むすめっすめ
BL
幼馴染が俺の事いじめてたのは、好きな子いじめちゃうやつだと思ってたのに...
「好きな奴に言われたんだ...幼馴染いじめるのとかガキみてーだって...」
「はっ...ぁ??」
好きな奴って俺じゃないの___!?
ただのいじめっ子×勘違いいじめられっ子
ーーーーーー
主人公 いじめられっ子
小鳥遊洸人
タカナシ ヒロト
小学生の頃から幼馴染の神宮寺 千透星にいじめられている。
姉の助言(?)から千透星が自分のこといじめるのは小学生特有の“好きな子いじめちゃうヤツ“だと思い込むようになり、そんな千透星を、可愛いじゃん...?と思っていた。
高校で初めて千透星に好きな人が出来たことを知ったことから、
脳破壊。
千透星への恋心を自覚する。
幼馴染 いじめっ子
神宮寺 千透星
ジングウジ チトセ
小学生の頃から幼馴染の小鳥遊 洸人をいじめている。
美形であり、陰キャの洸人とは違い周りに人が集まりやすい。(洸人は千透星がわざと自分の周りに集まらないように牽制していると勘違いしている)
転校生の須藤千尋が初恋である
可哀想は可愛い
綿毛ぽぽ
BL
平民、ビビり、陰キャなセシリオは王立魔術学園へ入学を機に高校デビューを目指したが敢え無く失敗し不良のパシリをさせられる毎日。
同室者の男にも呆れられ絶望するセシリオに天使のような男が現れるが、彼もかなりイカれた野郎のようで……?セシリオは理想の平和な学園生活を送る事が出来るだろうか。また激重感情を抱えた男から逃げられるだろうか。
「むむむ無理無理!助けて!」
━━━━━━━━━━━
ろくな男はいません。
世界観がごちゃごちゃです。余り深く考えずに暖かい目で読んで頂けたら、と思います。
表紙はくま様からお借りしました。
きみが隣に
すずかけあおい
BL
いつもひとりでいる矢崎は、ある日、人気者の瀬尾から告白される。
瀬尾とほとんど話したことがないので断ろうとすると、「友だちからでいいから」と言われ、友だちからなら、と頷く。
矢崎は徐々に瀬尾に惹かれていくけれど――。
〔攻め〕瀬尾(せお)
〔受け〕矢崎(やざき)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる