ずっと君だけ。

しゅく

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「なあ、あお「緑川くんっ、今日はお昼どこで食べる?」

昼休み開始のチャイムが鳴り、あおるに話しかけようとした緑川の声は宮野の明るい声に遮られた。
緑川は遮られた事に苛立ちを感じつつも、いつも通りの笑顔で答える。

「ああ・・・宮野、ごめんね今日はあおると食べようかなって言ってたんだ。ねぇあお・・・・・・チッ・・・あいつ・・・」

ちょっと宮野に気を取られている間に逃げるように居なくなっていたあおるに緑川は周りに聞こえないくらい小さく舌打ちした。

「どうしたの緑川くん?」
「・・・いや、なんでもないよ。食堂に行こうか」
「うんっ」

嬉しそうに目を輝かせて腕にしがみついてくる宮野を左に、緑川は食堂へ向かった。







「・・・っ霧丘!」

「おーあおる」

「っごめん、急に呼び出したりして・・・」

霧丘のことだからきっと昼食は新しいクラスの友達と食べる予定だったのではないだろうか。
そう思ったらラインで屋上に呼んだのが申し訳ない気持ちになった。

「ははっ、何言ってんだよ。俺とあおるの仲だろ?変に気ぃ使うなよー」

そう言ってあおるの額にビシッとデコピンした。

「い、痛いよっ」

気を遣うなと笑顔で接してくれる霧丘が優しくて思わず鼻の奥がジンッとなった。

「へー意外!屋上って人居ないのな。まあ金持ち坊ちゃん達はみんな学内レストラン行きなんだろうけど。んなことより早く食べようぜあおる!」

「うん!」

景色がよく見えるフェンス側に歩いて行った霧丘が手招きし、あおるはそれに勢いよく答えた。



ブー、ブー・・・

霧丘を呼ぶ前に売店で買ったメロンパンを囓っていると不意にズボンのポケットに入れていたスマホのバイブが鳴った。

「あおるの鳴ってね?・・・見ないのか?」

同じく売店で買ったと思われる弁当を食べていた霧丘がなかなかスマホを取り出そうとしないあおるに不思議そうにたずねた。

「え・・・あ、うん、見る・・・よ」

見なくても分かる。
たぶん、きっと緑川だ。

嫌な予感がして、緑川の隙をついて逃げてきたから機嫌悪くしているに違いない。

ごくりと噛んでいたパンを飲み込んでメッセージを見た。
それはやっぱり緑川で、

『今どこにいる』

の一文。


簡潔すぎる文面から不機嫌さが伝わってくる。
返したくないけど、返さなければ何されるか・・・

でももし返したとして、霧丘とのこの時間を奪われたくない。

「・・・なあ、あおる。返信したくなかったら気付かなかったごめんでいいんじゃないか?」

よほど心の葛藤が顔に出ていたのだろう。
霧丘が心配そうに声を掛けてくれた。

確かに、もし緑川に問い詰められても気付かなかったと言い切って謝ろう。

霧丘との楽しい時間を裂かれたくない。
その思いの方が強かった。

「う、うん、そうする・・・」

「難しそうな顔して・・・誰からだったんだ?」

「えっと・・・・・・緑川・・・かな」

「え?あいつとはかなり仲いいよな?」

「う・・・ん、でもそうでもないかも・・・」

「ケンカとかか?」

「そんな感じ・・・なのかな・・・」

「あおる大丈夫なのか?」

心配そうな霧丘の表情。


霧丘に緑川の事を言ってもいいだろうか?
ずっと前から扱き使われて、酷い扱いをされてきたって。

霧丘を信用していないとかじゃない。
話したらきっと自分の事みたいに親身になってくれると思う。
でも・・・霧丘を巻き込みたくない。

いつも霧丘の笑顔で元気になれるんだ。
だから打ち明けて、悩ませるような顔なんて見たくない。

「うん、大丈夫・・・!結構よくあることだから」

「・・・そうか?なんかあったらいつでも聞くからな!」

ケンカに耐えれなくなったら話せよ?と優しい笑顔を向けて頭をポンポンとしてくれた。

「・・・ありがと・・・っ」

あまりに優しすぎる霧丘に思わず泣きそうな声になったけど、上手く誤魔化せただろうか。
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