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しおりを挟む二人で昼食を食べた後、なぜか緑川の機嫌がいつもより良かったことで何事もなく部屋を出た。
「み、緑川・・・・・・その、宮野君は大丈夫?」
結果的に邪魔をしてしまったと、少し自責の念に駆られたあおるは横を歩く緑川にたずねる。
「・・・なに、あいつが気になるの?」
わずかに声が低くなり、あおるは焦った。
「だ、だって緑川と宮野君って付き合ってるんでしょう?俺、邪魔したなって・・・」
「は?・・・・・・それ誰が言ったんだよ?」
「えっと・・・そ、それは」
自分に協力を求めたって事を緑川には内緒にして欲しいと、宮野に小指を絡められた事を思い出し、あおるは口ごもる。
自分のせいで二人の仲が拗れでもしたら大変だ。
「・・・んな会話誰としたのか、教えてよ」
視線を泳がせるあおるに緑川が問い詰める。
微妙に論点のズレた追求だと思ったが、険しくなっていく緑川の表情にあおるは慌てる。
「か、風の噂で・・・」
咄嗟に嘘をついたあおるに緑川がはぁー・・・と大きく溜め息を漏らした。
「・・・中3の時だけな」
「え、今もじゃなくて・・・?」
「はあ?んなわけねーだろ」
あ、あれ・・・?
違うのだろうか・・・
ついこの前、宮野から聞いた事と違っていてあおるは混乱する。
「つーか、そんだけ?」
「え・・・?」
「あおるは・・・何か思う事ないの?」
じっと真っ直ぐ目を見て聞いてくる緑川。
話の内容こそ違うが、いつだったか小学生の頃にもこんなふうに自分の意見を聞かれるような会話をした記憶が頭の片隅で思い出す。
どうしてか、自分の返答次第で緑川の機嫌を左右させるような、なぜかそんな気がした。
「え・・・えっと、俺は・・・中学で好きな人とか、まして恋人なんていたことなかったし・・・、そういうの想像つかないけど、でも・・・緑川って昔からすごくモテるの知ってるから別に同性同士でも違和感ないって言うか多少びっくりしたけど俺も偏見とか思わないし・・・っ」
後半、捲し立てる勢いで一気に言い切った。
途中からもう自分が何を喋っているのかよく分からなくなり、あおるは視線を落としてしまう。
「・・・・・・フリだよ、フリ!!」
「ふり?」
思いも寄らない言葉が聞こえてきて、あおるは目を丸くした。
「利害一致ってやつだよ。男女問わず呼び出される俺の気持ちになってみろよ・・・んっとに迷惑なんだよ」
「そ、そうだったんだ・・・」
緑川の気持ちはよく理解できなかったが、なるほど・・・モテるのは良いことだけじゃないらしい。
うんざりした様子で言う緑川にあおるは苦笑するしかない。
ただ、気になるのは・・・
「あー・・・でもあいつまだ続けてんのか。部屋別れるタイミングでもういいっつたの、分かってねぇな・・・きっぱり言っとかねーと」
「い、いやそんな改めて言わなくてもいいと思う・・・!」
咄嗟に緑川を止めていた。
・・・きっと宮野はふりなんかじゃない、本気で緑川を好きなんだと思った。
「・・・・・・は?なんで?」
急に目を鋭くさせた緑川が低い声色であおるに問う。
「え・・・っと・・・」
は、早く何か機転の利いた言葉を・・・!
教室へと歩いていた足を止め、言葉を必死で探すあおるに緑川が距離を詰めてくる。
「なあ・・・どういう意味か聞かせてくれない?」
無意識にあおるは手を握り締める。
緑川の、この温度を感じさせない冷たい視線が怖くて苦手だ。
「こ、困るから・・・っ、また男女問わずになるのが・・・!」
頭に浮かんだまま口に出していた。
「あおるが・・・?」
「う、うん・・・」
「ふーん・・・なら別にそんなどうでもいい事に時間取らなくていいか」
目に温度が戻り緑川が再び歩き出してあおるは内心ホッと息をついた。
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