4年の距離

しゅく

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「・・・ひとまず、これ飲んだら」

「あ、ありがと・・・」

小夏は促されるまま、遥の広々とした自室のソファーに座るとローテーブルに置かれたマグカップを受け取る。
遥の両親は仕事で不在らしく、飲み物は遥が準備してくれた。

小夏は鼻をすすりながらも一口飲むと、すぐ真横に座った遥にチラリと視線を向ける。


面と向かって会えたのはじつに3ヶ月ぶり。


同じくらいの身長に、丸みを帯びたぽっちゃりとした体型。
耳元は隠れ、目元にもかかりそうな長めの黒髪にきめ細やかな色白の肌。
本当は綺麗な瞳なのを隠すように掛けられた黒縁の分厚い眼鏡。


見た目も雰囲気も全然変わってない遥の姿にホッとする。


涙や鼻水も徐々に落ち着いてきた小夏に、遥がゆっくりと声をかける。

「・・・ねぇ、今日はどうしたの」

これまで登校拒否するくらいに避けられていたのに、不覚とはいえ取り乱して泣くといった醜態を晒してしまった自分に以前と変わらなく接してくれる事に安堵した。



小夏は俯いたまま、ぽつりぽつりと話し出した。


「・・・今日だけじゃないよ」

「うん」

「俺、3ヶ月間ずっと遥の家来てたんだよ・・・っ」

「・・・そうだね、たまに家の電話から僕のスマホに電話くれてたよね」

自分の行動を全部分かってて無視していたかの様な、遥の発言に堪らず小夏はバッと顔を上げた。

「・・・っそれ、知ってたんなら出てくれてもいいだろ・・・!」

「無理だよ・・・あんなフラれ方されておいて」

目を伏せて言う遥の顔を見て、一気に罪悪感が押し寄せてきた小夏は遥の両肩を掴んで言う。

「ご・・・ごめん、遥!あの時は、俺も気が動転してて・・・でも今は、本当に悪かったと思ってる!だからまた遥と・・・」

仲良くやりたい、そう言いかけて遥に遮られた。

「何も分かってないじゃん」

遥は低い声で言うと、両肩を掴んでいた小夏の手を払い退けた。
自分の発言で気を悪くさせてしまった遥に、小夏は慌てて弁明しようとする。

「ち、違うんだ遥・・・聞いてくれよ・・・っ」

「あの時の話なら・・・これ以上聞きたくない」

「そ、そんな・・・」

きっと何回謝ったところで同じであろう事はいくら鈍い小夏でも分かる。

「・・・もう帰ってよ」

冷たい声で言う遥。
ここで帰ってしまえばもう二度と会えない気がした。



「ど、どうすればいい・・・?どうしたらまた遥と楽しく過ごせる・・・っ!?」


縋るような目で訴えかける小夏を見て、中指でずれた眼鏡の位置を戻しながら、遥がゆっくりと口を開いた。


「・・・じゃあ、僕にキスできるの?」


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