11 / 23
中
10
しおりを挟む
「・・・ひとまず、これ飲んだら」
「あ、ありがと・・・」
小夏は促されるまま、遥の広々とした自室のソファーに座るとローテーブルに置かれたマグカップを受け取る。
遥の両親は仕事で不在らしく、飲み物は遥が準備してくれた。
小夏は鼻をすすりながらも一口飲むと、すぐ真横に座った遥にチラリと視線を向ける。
面と向かって会えたのはじつに3ヶ月ぶり。
同じくらいの身長に、丸みを帯びたぽっちゃりとした体型。
耳元は隠れ、目元にもかかりそうな長めの黒髪にきめ細やかな色白の肌。
本当は綺麗な瞳なのを隠すように掛けられた黒縁の分厚い眼鏡。
見た目も雰囲気も全然変わってない遥の姿にホッとする。
涙や鼻水も徐々に落ち着いてきた小夏に、遥がゆっくりと声をかける。
「・・・ねぇ、今日はどうしたの」
これまで登校拒否するくらいに避けられていたのに、不覚とはいえ取り乱して泣くといった醜態を晒してしまった自分に以前と変わらなく接してくれる事に安堵した。
小夏は俯いたまま、ぽつりぽつりと話し出した。
「・・・今日だけじゃないよ」
「うん」
「俺、3ヶ月間ずっと遥の家来てたんだよ・・・っ」
「・・・そうだね、たまに家の電話から僕のスマホに電話くれてたよね」
自分の行動を全部分かってて無視していたかの様な、遥の発言に堪らず小夏はバッと顔を上げた。
「・・・っそれ、知ってたんなら出てくれてもいいだろ・・・!」
「無理だよ・・・あんなフラれ方されておいて」
目を伏せて言う遥の顔を見て、一気に罪悪感が押し寄せてきた小夏は遥の両肩を掴んで言う。
「ご・・・ごめん、遥!あの時は、俺も気が動転してて・・・でも今は、本当に悪かったと思ってる!だからまた遥と・・・」
仲良くやりたい、そう言いかけて遥に遮られた。
「何も分かってないじゃん」
遥は低い声で言うと、両肩を掴んでいた小夏の手を払い退けた。
自分の発言で気を悪くさせてしまった遥に、小夏は慌てて弁明しようとする。
「ち、違うんだ遥・・・聞いてくれよ・・・っ」
「あの時の話なら・・・これ以上聞きたくない」
「そ、そんな・・・」
きっと何回謝ったところで同じであろう事はいくら鈍い小夏でも分かる。
「・・・もう帰ってよ」
冷たい声で言う遥。
ここで帰ってしまえばもう二度と会えない気がした。
「ど、どうすればいい・・・?どうしたらまた遥と楽しく過ごせる・・・っ!?」
縋るような目で訴えかける小夏を見て、中指でずれた眼鏡の位置を戻しながら、遥がゆっくりと口を開いた。
「・・・じゃあ、僕にキスできるの?」
「あ、ありがと・・・」
小夏は促されるまま、遥の広々とした自室のソファーに座るとローテーブルに置かれたマグカップを受け取る。
遥の両親は仕事で不在らしく、飲み物は遥が準備してくれた。
小夏は鼻をすすりながらも一口飲むと、すぐ真横に座った遥にチラリと視線を向ける。
面と向かって会えたのはじつに3ヶ月ぶり。
同じくらいの身長に、丸みを帯びたぽっちゃりとした体型。
耳元は隠れ、目元にもかかりそうな長めの黒髪にきめ細やかな色白の肌。
本当は綺麗な瞳なのを隠すように掛けられた黒縁の分厚い眼鏡。
見た目も雰囲気も全然変わってない遥の姿にホッとする。
涙や鼻水も徐々に落ち着いてきた小夏に、遥がゆっくりと声をかける。
「・・・ねぇ、今日はどうしたの」
これまで登校拒否するくらいに避けられていたのに、不覚とはいえ取り乱して泣くといった醜態を晒してしまった自分に以前と変わらなく接してくれる事に安堵した。
小夏は俯いたまま、ぽつりぽつりと話し出した。
「・・・今日だけじゃないよ」
「うん」
「俺、3ヶ月間ずっと遥の家来てたんだよ・・・っ」
「・・・そうだね、たまに家の電話から僕のスマホに電話くれてたよね」
自分の行動を全部分かってて無視していたかの様な、遥の発言に堪らず小夏はバッと顔を上げた。
「・・・っそれ、知ってたんなら出てくれてもいいだろ・・・!」
「無理だよ・・・あんなフラれ方されておいて」
目を伏せて言う遥の顔を見て、一気に罪悪感が押し寄せてきた小夏は遥の両肩を掴んで言う。
「ご・・・ごめん、遥!あの時は、俺も気が動転してて・・・でも今は、本当に悪かったと思ってる!だからまた遥と・・・」
仲良くやりたい、そう言いかけて遥に遮られた。
「何も分かってないじゃん」
遥は低い声で言うと、両肩を掴んでいた小夏の手を払い退けた。
自分の発言で気を悪くさせてしまった遥に、小夏は慌てて弁明しようとする。
「ち、違うんだ遥・・・聞いてくれよ・・・っ」
「あの時の話なら・・・これ以上聞きたくない」
「そ、そんな・・・」
きっと何回謝ったところで同じであろう事はいくら鈍い小夏でも分かる。
「・・・もう帰ってよ」
冷たい声で言う遥。
ここで帰ってしまえばもう二度と会えない気がした。
「ど、どうすればいい・・・?どうしたらまた遥と楽しく過ごせる・・・っ!?」
縋るような目で訴えかける小夏を見て、中指でずれた眼鏡の位置を戻しながら、遥がゆっくりと口を開いた。
「・・・じゃあ、僕にキスできるの?」
5
あなたにおすすめの小説
俺以外美形なバンドメンバー、なぜか全員俺のことが好き
toki
BL
美形揃いのバンドメンバーの中で唯一平凡な主人公・神崎。しかし突然メンバー全員から告白されてしまった!
※美形×平凡、総受けものです。激重美形バンドマン3人に平凡くんが愛されまくるお話。
pixiv/ムーンライトノベルズでも同タイトルで投稿しています。
もしよろしければ感想などいただけましたら大変励みになります✿
感想(匿名)➡ https://odaibako.net/u/toki_doki_
Twitter➡ https://twitter.com/toki_doki109
素敵な表紙お借りしました!
https://www.pixiv.net/artworks/100148872
ファントムペイン
粒豆
BL
事故で手足を失ってから、恋人・夜鷹は人が変わってしまった。
理不尽に怒鳴り、暴言を吐くようになった。
主人公の燕は、そんな夜鷹と共に暮らし、世話を焼く。
手足を失い、攻撃的になった夜鷹の世話をするのは決して楽ではなかった……
手足を失った恋人との生活。鬱系BL。
※四肢欠損などの特殊な表現を含みます。
【完結】俺が一目惚れをした人は、血の繋がった父親でした。
モカ
BL
俺の倍はある背丈。
陽に照らされて艶めく漆黒の髪。
そして、漆黒の奥で煌めく黄金の瞳。
一目惚れだった。
初めて感じる恋の胸の高鳴りに浮ついた気持ちになったのは一瞬。
「初めまして、テオン。私は、テオドール・インフェアディア。君の父親だ」
その人が告げた事実に、母親が死んだと聞いた時よりも衝撃を受けて、絶望した。
どうせ全部、知ってるくせに。
楽川楽
BL
【腹黒美形×単純平凡】
親友と、飲み会の悪ふざけでキスをした。単なる罰ゲームだったのに、どうしてもあのキスが忘れられない…。
飲み会のノリでしたキスで、親友を意識し始めてしまった単純な受けが、まんまと腹黒攻めに捕まるお話。
※fujossyさんの属性コンテスト『ノンケ受け』部門にて優秀賞をいただいた作品です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる