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凍らぬ氷の都編
魔を操る風に抗え
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──流れた嫌な汗が寒空の下で体温を奪う。
同じように冷や汗をたらたら流すマキにそっと耳打ちする。
「なあ、あと三十秒くらい稼げないか?」
先ほど使った魔法銃の魔力機構がクールタイムに入っているので、このまま攻撃されたら為す術がない。
「無理です。アタシが駆け跳んでも避けられて終わりなのです」
マジか。針の穴を縫うような作戦なのだが、これではだめかもしれない。
軽く絶望。しかし、そんなことに構っている余裕などない。
「朝靄の街以来かな。相変わらず姑息で合理的な手段を用いる小僧だね」
冷や汗の原因である人物が、上空から挑発してきた。
朝靄の街で防衛体制を半壊させた実績を持つ、妖魔教団幹部の『操魔』。それがコイツの正体だ。
『旗槍』と違いコイツのことは全然知らない。強いて言うなら速いことと飛ぶこと、遠距離攻撃持ちということ。
ちなみに勝つのは無理だ。
マキにそっと目を向けると明後日の方を向かれた。
まだ可能性を感じる俺の必中スキルを使った射撃だが、相手の硬さが未知数なうえにこちらは確実に死ぬため勝ち目はないのだ。
「合理性を重んじる俺としてはここでの交戦は避けるべきだと思う。お前にとって俺たちを逃がすことにデメリットがなく、変に手を出したら勝てはするが消耗するだろう」
なので、先ほどからこのようにしてなんとか見逃してもらえないかと交渉しているのである。
ちなみに今の発言だが、言ってる本人が一番間抜けだと自覚している。だからマキよ、そんな目で見ないでくれ。
早々に打つ手がなくなった俺たちを、顎に手を当てた『操魔』は倒しに来るわけでもなく思案している。
「キミたちを見逃した後に背後からノーリスクで撃たれるだけじゃないか。同じように撃たれるならキミたちを葬る必要があるよね?」
言葉の穴をつかれた。
これはもうだめかもしれない。
「もうお終いかい。部下をやられた以上、どの道キミたちも奴らと同じところへ送ってやるつもりでいたんだけどさ」
こちらに打つ手がないことを分かったうえで楽しんでいたようだ。
つまり交渉は決裂。というか、意味をなさなかったというわけで。
と、ここで魔法銃のクールタイムがあがったようだ。これならいける。
「性格悪っ⁉ 妖魔教団こんなのばかりじゃねえか! 幹部だなんだと言っておきながら、言動は小悪党そのものだな。貫禄なんぞ欠片も感じられねえよなぁ!」
挑発ついでに先制攻撃。
すぐさま風の矢を飛ばす音が上空から聞こえるが。
「チッ、小賢しい!」
『操魔』ではなく、俺は地面を撃ったのだ。
魔法銃は魔力を注がなければただの銃なので、爆破罠の効果を付与した弾丸を相手と俺たちの中間で地面にあてて起爆。
銃の機構内で爆発が起こるのがネックだが、反動抑制スキルと銃本体の反動抑制機構にのみ魔力を注ぐことで抑えきった。
ジャストアイデアだったが作戦は上手くいったようで、地面から舞い上がった土に風の矢はその火力を大幅に削がれる。
「たあっ! そいっ! ナイスですケンジロー! 風の矢自体は脆いので、失速させてしまえばアタシでも叩き切れるのです!」
「ナイスなのはお前だ! それより俺の背中に掴まれ!」
被弾覚悟だったのだが無被弾で抑えたのは幸甚だ。
土の幕を挟んで向かいにいる『操魔』が高度を上げて追撃を狙っているが、それよりも俺の方が早い。
「残念だったな、クソガキ!」
抑反動機構のクールタイムが終わっていない魔法銃を『操魔』に向けて、最大出力で発射した。
もちろんその反動で俺たちは大きく吹き飛ばされた。
「逃げるが勝ちなんだぜ、三下ぁ!」
泥臭く時間を稼いだおかげで戦力が多い街の正門の方へと吹き飛ぶことに成功した。
遠くで忌まわし気にこちらを追ってきている。
「ちょっ、アンタたちなんでこんなところにいるの⁉」
もうすぐで地面に落ちると思い受け身の姿勢をとっていると、そう遠くないところからソフィアの驚く声が聞こえてきた。
しめた! 反動で無傷とはいかなかったから回復してもらおう!
「ちょうどよかった! 地面に落ちたら回復はいいがはっ!」
回復はいいので『操魔』戦に加勢してほしいという意図は伝わっただろうか。
地面に落ちて体中に激痛が走る中、こちらを狙った風の矢が飛んできた。
「ああもう、あとで色々話があるから! 『クリスタルストーム』!」
色々お怒りな様子のソフィアが、詠唱を終えたばかりの攻撃魔法を俺たちを守るために使ってくれた。
おかげで風の矢は霧散し、残った氷の竜巻が『操魔』へと迫る。
「敵本陣は壊滅させた! 精鋭が数で押してくることはもうないはずだ!」
助けてもらったついでにマキと二人で何をしてきたか伝えた。
俺たちとてただ指をくわえて主戦場へ行かなかったわけではないのだ。
「わけわからないけど、今忙しいからあとにして⁉ ああっ、危ない⁉」
ソフィアは意外と焦らされると弱い奴だなと思っていると、背後から死の気配を感じ取った。
彼女の悲鳴を聞いて身をかがめるが、次の瞬間には地面を転がされるように何度も体を打ち。
「アンタ本当に気をつけなさいよ!」
そういいながらも怪我を治してくれるソフィアにジェスチャーで感謝を伝えて『操魔』へ向き直る。
相手も相手で、交戦中とはいえこれだけの戦力を前にすればさすがに慎重になるようだ。攻撃よりも回避や反撃に徹するつもりか。
案外、主戦場となっているこの辺は持ちこたえているようだし、戦場を移して正解だった。
騎士団の連中には申し訳ないが守ってもらおう。
やっと後衛として落ち着けると思っていると、ソフィアが袖を軽く引いてきた。
何か指示でもあるのかと耳を傾けると。
「正直、短時間でもあの幹部をここから剥がしてくれて助かったわ。アンタのことも私が守るから、しっかり暴れてきなさい」
暴れてくるのはマキの仕事だろ。そうツッコミを入れようとした瞬間、体から力が湧き上がる。今なら何でもできそうな全能感を覚えてソフィアを見ると、先ほどのことはもう怒っていないのか、こちらに笑いかけてくれていた。
「あまり期待するなよ。俺は絡め手以外で戦えるほど強くない」
なんだかむず痒い。
なのでそう言って誤魔化してみると、ソフィアは揶揄うように小さく吹くと。
「知ってるわ」
そこは否定してほしかったのだが、彼女はこちらから何か言う前に遠くで怪我をした騎士の方へと駆けて行った。
まあいいや。ひとまずマキと相談して……。
『なんだあれ⁉』
『は、速いっ‼』
マキを探して辺りを見渡すと、騎士団が魔物と競り合っている前線を超えて、敵の間を縫うように通り魔と化したマキがいた。
あまりの単騎特攻ぶりに戦いに慣れた騎士たちも口をあんぐりと開けて立ち止まってしまっている。
というか、俺も一瞬言葉を失った。
「へぇ、僕の前でよそ見か。随分と甘く見られたものだね!」
別によそ見だと言われるほど気を抜いていたわけじゃないが、どうやら隙だらけに見えたらしい。
こっちを見ろとばかりに飛んできた風の矢を華麗に避け……。
「『プロクタシア』! アンタ本当に危なっかしいわね! アンタ自分が一番危険な奴に目をつけられてるって自覚あるの⁉」
治療を終えて戻ってきたソフィアに間一髪のところで障壁魔法をかけてもらえた。
避けようとする必要なんてなかった。
うん、ちょっと待て。この『操魔』とかいう奴、以前朝靄の街で相対したときはソフィアのバリアを割れなかったっけ。
バリアに守られながら安全に魔法銃を撃てるなら話は別だ。一撃で落とせなくても二発でも三発でも撃ってやればいい。
「とは言っても、ソフィアが生きてるだけで死ぬことはなさそうだしな」
バリアに回復、各種ステータスバフまで幅広く使えるソフィアがいれば生存率は大きく上がり、当然強気に行動できるというもの。
そんなこちらの態度が気に障ったのか、再び風の矢を飛ばしてきた。
「墜ちろクソガキ!」
バリア越しに風の矢を受け止めながら、魔法銃で反撃した。
高速飛行で避けようとした『操魔』だが、音速をはるかに上回る弾丸からは逃げられなかったようだ。もっとも、レベルマックスの命中スキルによって必中になった攻撃はバリアで受け止める以外に凌ぐ方法などないが。
「鬱陶しい奴め!」
『操魔』の左腕に命中した弾丸だが、しかし耐久力が高いせいか細そうな腕なので吹き飛ばすに至らなかった。
かなりの出血量で痛手にはなったうようだが、それも少しずつ再生している。
幸い、再生速度より魔法銃のクールタイムの方が早いので持久戦に持ち込めば有利だ。
が、当然そんなことは相手もわかっている。なので、さっそく手を打ってきた。
「『操魔』の名のもとに命ず。……忌まわしい人類を喰らいつくせ!」
左腕を庇いながら『操魔』が声を上げると、街を襲撃していた妖魔教団の魔物たちが体に禍々しいオーラを纏い始めた。
「クククッ……フハハハ! 僕がなぜ『操魔』と呼ばれているか知っているかい? 僕にかかれば魔物に力を与え、知性のあるなしにかかわらず従えることができるからさ! さあ、忌々しいこの街の人間を皆殺しにグエッ!」
なにやら決め口上を垂れ始めたので、クールタイムが明けた魔法銃で撃ってみた。
避け損ねた『操魔』は、今度は脇腹が削れたようだ。
とりあえず『操魔』の方はどうにかできそうだが、それまでに騎士団の連中が持ちこたえられるだろうか。
そんな心配をしていると、いつの間にか前線を守る騎士団への支援に行っていたらしいソフィアが戻ってきていた。
というかこのまま仮に前線を破壊されればソフィアとて多勢に無勢だろう。コイツこそ主戦場になっているここから後退した方がいいと思うのだが。ソフィアとしてはどうしても逃げたくないようで。
「ねえ『操魔』。私と交渉しない? これでも私はこの地方を統べる貴族の一人娘よ」
今まさに怒りに任せて街を壊滅させようとしている『操魔』へと交渉を持ち掛けた。
……こいつはバカか?
交渉が成立しなかったからこそ今まさに街が攻撃されているというのに何を呑気なことを。
ほら見ろ。『操魔』だってバカにされたとかそういう次元を通り越して、もはや哀れみの目で見ているじゃないか。
「へぇ、取引か。いいよ、無様にあがいて見せなよ」
鼻で笑う『操魔』に短気なソフィアはこめかみをヒクヒクさせるが、それでも我慢するようだ。
はっきり言って見ていられない。この光景を見たら俺じゃなくてもそう思うことだろう。
だが次の瞬間、ソフィアは俺たちのそんな嘲笑の念を打ち払った。
「好きなように言いなさい。……アンタが望むなら、私の命と引き換えにしたっていい。だから金輪際、この地方に妖魔教団を近づけさせないで」
自分にかかったバリアとバフを解除したソフィアは、俺を庇う様に仁王立ちしてそう言い放った。
耳を疑う言葉に、俺と『操魔』は言葉を失う。
そうして場を支配した沈黙は数秒続き。
「ソフィアお前このあばずれが! お前が危険な目に遭ってどうするんだよ! ここで戦ってる奴らが守りたいと思っているのは誰の事だかわかっているのか!」
「街のみんなよ! 当然じゃない、私もそうよ! 報酬が払えないから冒険者の手は頼れなかったけど、それでも騎士団は頑張ってくれててまだ死者は出てない。ここで私が戦いを終わせたら誰も悲しまずに済むわ!」
この女狂ってやがる!
感情的になって心の中でソフィアを罵っているわけじゃない。
コイツは今までたくさんの人を守るべき相手として認識し、そして幾度となく失ってきた。その経験一つひとつが、コイツに自分の命より街の住人の方が優先させてしまっているのだろう。異常なまでに『大切な誰かを守る』ことに執着するソフィアのことだ。ここで下手に止めた結果、街に死者が出たら精神状態をおかしくするかもしれない。
そんなソフィアに、おかしな奴を見る目を向けながら『操魔』が風の矢を番える。間違いなくソフィアを殺すつもりだろう。ソフィアには悪いがこのままではコイツは無駄死にするだけだ。
「まだ答えを言ってねえよなぁ!」
だから、矢を放つ前に再生した左手ごと『操魔』が持つ弓を銃で撃ち抜く。
棚ぼたとでも言いたそうにソフィアへ攻撃しようとした『操魔』を怯ませて、力任せにソフィアを後ろへ投げた。
「バカお嬢がよ! 俺が変わってやる!」
一度交渉に失敗しているが状況は変わっているし、あれから状況が変わったうえにソフィアよりマシだ。
投げられた上に罵られたソフィアが首を絞めてくるのに抵抗していると、両腕を負傷した『操魔』が悔しそうに舌打ちしてから何かを唱え始めた。
「何をするつもりかは知らないが、こっちには最強の魔法使いがいるんだ。お前を倒すことなど朝飯前だぜ! さあ、ここに来た目的をゲロってさっさと失せな!」
三発もの銃撃を喰らってさすがに弱ったであろう『操魔』に魔法銃を向けて圧をかける。
撃ったばかりでまだ数十秒は使えない魔法銃だが圧力をかけるくらいの使い道はあるというもの。
というわけで強気の交渉戦略なのだが、劣勢にもかかわらず『操魔』はなおも魔物を強化するオーラを放つ。実はこのままソフィアを俺に付きっ切りにさせると騎士団がやられそうだという話もあるので撤退してほしい。
この怒り具合を見ると望み薄だと考えていると、どこからか明るく場違いな曲が流れてきた。音が鳴った方へ視線を向けると、その先には『操魔』が。正確に言うと、『操魔』の懐からだった。
「フンッ、喜ぶといい! なんせ、キミたちの寿命が数秒延びたのだからね!」
未だに自分が優勢だと思っているらしいクソガキは、どこか懐かしさを感じる魔法道具を取り出して耳に当てた。
おいあれって携帯か? 携帯電話なのか⁉
レールガンが携帯式レベルまで小型化した国があるくらいなので、携帯電話の代用品くらいあっても不思議じゃないが、それでも興奮を抑えられない。
思わず輝かしい目で『操魔』を見ていると、不思議そうにしたソフィアが話しかけてくる。
「ねえ、あれは何してるの? さっきから『はい』とか『了解』とか、一人でぶつぶつと」
これだから後進国のぼんくらは。
「通信魔法でも内蔵してあるんだろ。それより、さっき俺らの寿命が延びたとか言ってたアイツになんか魔法を撃ってやるといい」
「それは流石に卑怯よ。あれたぶん今は手を離せないやつでしょ? アンタと違って私は卑怯な手は使わないの」
アンタと違ってとはどういう意味なのか今一度問い詰めたいが、間が悪いことに『操魔』が通話を終えたようだ。
もうすぐで魔法銃のクールタイムが終わるところだったというのに。
さて、寿命が数秒延びた妖魔教団の幹部はというと、こちらに向き直ると高度を上げた。まるでソフィアの魔法を避けられるように間合いを離れたかのようだ。さて、そんな『操魔』は俺たちをからかうように声を出した。
「キミたちは本当に悪運が強い奴らだ。ここでの目的は果たされたんだってさ。ボクはもうここに興味はないし帰ることにするよ」
そんな言葉に、俺は思わず吹き出した。
笑いが止まらない中、ソフィアの肩に手を置いて俺は言葉を発する。
「なあソフィア! アイツ、逃げる口実づくりだけは幹部級だな!」
「そうね。幹部なんて言ってる癖に情けないわよね」
散々してやられたんだ。こうでもしないと気が済まないので、ソフィアと揃って『操魔』を挑発する。
しかし、言われたい放題の妖魔教団幹部は忌まわしそうに睨みつけるだけで天高く飛び立っていった。
まだまだ残党たちに騎士団が手を焼いているようだが、視線を潜り抜けたことで安堵の息を漏らす。
「ありがとう、ソフィア。おかげで助かった」
もしあの時、ソフィアが治療してくれなければ。もしあの瞬間、バリアを張ってもらえなければ。
その先はあまり考えたくない。
俺とて人なので、命を救われれば感謝くらいはする。それが、日頃生意気なメスガキだと思っている娘だとしても。
なので、思わず頭でも撫でてやろうと手を伸ばして。
「うわ危ない」
昼間のことを思い出して俺は手を引っ込めた。
俺のそんな様子に不満そうに睨んでくるソフィアはしかしすぐに表情を戻し、引っ込めた手を掴むともう片方の手を重ねて包むように握ってきた。
「こ、こんな時にまで怒ったりしないわ。それより、敵の本陣を荒らしたのはアンタとマキなんでしょ?」
ついにその辺の雪を食べて頭を壊したのかと思っていると、ずいぶんといじらしいことを言い出した。
ソフィアはこの辺りでずっと奔走していたようだが、目視では確認しにくいところで戦っていた俺たちの様子にも気づいていたようだ。
なんだか、素直に褒められるとむず痒いな。
「ご苦労様。マキはまだ戻ってきてないけど、アンタたちを従える貴族として誇らしいわ。褒美に、明日は私がなんでも一つお願いを聞いてあげる」
ソフィアは俺とマキを労う言葉を口にすると、そのままニコッと微笑んだ。
どうやら、いつの間にかコイツからの好感度が上がっていたらしい。これは明日が楽しみだ。
「じゃあ明日までに何か考えておく。ちょうどマキもこっちに駆けてきたし今日はもう帰って寝よう」
「わかったわ。……おかえり、マキ。今回は頑張ってくれてありがとうね」
戻ってきたマキを抱きしめはじめたソフィアを放って、俺は一足先に城へ戻った。
同じように冷や汗をたらたら流すマキにそっと耳打ちする。
「なあ、あと三十秒くらい稼げないか?」
先ほど使った魔法銃の魔力機構がクールタイムに入っているので、このまま攻撃されたら為す術がない。
「無理です。アタシが駆け跳んでも避けられて終わりなのです」
マジか。針の穴を縫うような作戦なのだが、これではだめかもしれない。
軽く絶望。しかし、そんなことに構っている余裕などない。
「朝靄の街以来かな。相変わらず姑息で合理的な手段を用いる小僧だね」
冷や汗の原因である人物が、上空から挑発してきた。
朝靄の街で防衛体制を半壊させた実績を持つ、妖魔教団幹部の『操魔』。それがコイツの正体だ。
『旗槍』と違いコイツのことは全然知らない。強いて言うなら速いことと飛ぶこと、遠距離攻撃持ちということ。
ちなみに勝つのは無理だ。
マキにそっと目を向けると明後日の方を向かれた。
まだ可能性を感じる俺の必中スキルを使った射撃だが、相手の硬さが未知数なうえにこちらは確実に死ぬため勝ち目はないのだ。
「合理性を重んじる俺としてはここでの交戦は避けるべきだと思う。お前にとって俺たちを逃がすことにデメリットがなく、変に手を出したら勝てはするが消耗するだろう」
なので、先ほどからこのようにしてなんとか見逃してもらえないかと交渉しているのである。
ちなみに今の発言だが、言ってる本人が一番間抜けだと自覚している。だからマキよ、そんな目で見ないでくれ。
早々に打つ手がなくなった俺たちを、顎に手を当てた『操魔』は倒しに来るわけでもなく思案している。
「キミたちを見逃した後に背後からノーリスクで撃たれるだけじゃないか。同じように撃たれるならキミたちを葬る必要があるよね?」
言葉の穴をつかれた。
これはもうだめかもしれない。
「もうお終いかい。部下をやられた以上、どの道キミたちも奴らと同じところへ送ってやるつもりでいたんだけどさ」
こちらに打つ手がないことを分かったうえで楽しんでいたようだ。
つまり交渉は決裂。というか、意味をなさなかったというわけで。
と、ここで魔法銃のクールタイムがあがったようだ。これならいける。
「性格悪っ⁉ 妖魔教団こんなのばかりじゃねえか! 幹部だなんだと言っておきながら、言動は小悪党そのものだな。貫禄なんぞ欠片も感じられねえよなぁ!」
挑発ついでに先制攻撃。
すぐさま風の矢を飛ばす音が上空から聞こえるが。
「チッ、小賢しい!」
『操魔』ではなく、俺は地面を撃ったのだ。
魔法銃は魔力を注がなければただの銃なので、爆破罠の効果を付与した弾丸を相手と俺たちの中間で地面にあてて起爆。
銃の機構内で爆発が起こるのがネックだが、反動抑制スキルと銃本体の反動抑制機構にのみ魔力を注ぐことで抑えきった。
ジャストアイデアだったが作戦は上手くいったようで、地面から舞い上がった土に風の矢はその火力を大幅に削がれる。
「たあっ! そいっ! ナイスですケンジロー! 風の矢自体は脆いので、失速させてしまえばアタシでも叩き切れるのです!」
「ナイスなのはお前だ! それより俺の背中に掴まれ!」
被弾覚悟だったのだが無被弾で抑えたのは幸甚だ。
土の幕を挟んで向かいにいる『操魔』が高度を上げて追撃を狙っているが、それよりも俺の方が早い。
「残念だったな、クソガキ!」
抑反動機構のクールタイムが終わっていない魔法銃を『操魔』に向けて、最大出力で発射した。
もちろんその反動で俺たちは大きく吹き飛ばされた。
「逃げるが勝ちなんだぜ、三下ぁ!」
泥臭く時間を稼いだおかげで戦力が多い街の正門の方へと吹き飛ぶことに成功した。
遠くで忌まわし気にこちらを追ってきている。
「ちょっ、アンタたちなんでこんなところにいるの⁉」
もうすぐで地面に落ちると思い受け身の姿勢をとっていると、そう遠くないところからソフィアの驚く声が聞こえてきた。
しめた! 反動で無傷とはいかなかったから回復してもらおう!
「ちょうどよかった! 地面に落ちたら回復はいいがはっ!」
回復はいいので『操魔』戦に加勢してほしいという意図は伝わっただろうか。
地面に落ちて体中に激痛が走る中、こちらを狙った風の矢が飛んできた。
「ああもう、あとで色々話があるから! 『クリスタルストーム』!」
色々お怒りな様子のソフィアが、詠唱を終えたばかりの攻撃魔法を俺たちを守るために使ってくれた。
おかげで風の矢は霧散し、残った氷の竜巻が『操魔』へと迫る。
「敵本陣は壊滅させた! 精鋭が数で押してくることはもうないはずだ!」
助けてもらったついでにマキと二人で何をしてきたか伝えた。
俺たちとてただ指をくわえて主戦場へ行かなかったわけではないのだ。
「わけわからないけど、今忙しいからあとにして⁉ ああっ、危ない⁉」
ソフィアは意外と焦らされると弱い奴だなと思っていると、背後から死の気配を感じ取った。
彼女の悲鳴を聞いて身をかがめるが、次の瞬間には地面を転がされるように何度も体を打ち。
「アンタ本当に気をつけなさいよ!」
そういいながらも怪我を治してくれるソフィアにジェスチャーで感謝を伝えて『操魔』へ向き直る。
相手も相手で、交戦中とはいえこれだけの戦力を前にすればさすがに慎重になるようだ。攻撃よりも回避や反撃に徹するつもりか。
案外、主戦場となっているこの辺は持ちこたえているようだし、戦場を移して正解だった。
騎士団の連中には申し訳ないが守ってもらおう。
やっと後衛として落ち着けると思っていると、ソフィアが袖を軽く引いてきた。
何か指示でもあるのかと耳を傾けると。
「正直、短時間でもあの幹部をここから剥がしてくれて助かったわ。アンタのことも私が守るから、しっかり暴れてきなさい」
暴れてくるのはマキの仕事だろ。そうツッコミを入れようとした瞬間、体から力が湧き上がる。今なら何でもできそうな全能感を覚えてソフィアを見ると、先ほどのことはもう怒っていないのか、こちらに笑いかけてくれていた。
「あまり期待するなよ。俺は絡め手以外で戦えるほど強くない」
なんだかむず痒い。
なのでそう言って誤魔化してみると、ソフィアは揶揄うように小さく吹くと。
「知ってるわ」
そこは否定してほしかったのだが、彼女はこちらから何か言う前に遠くで怪我をした騎士の方へと駆けて行った。
まあいいや。ひとまずマキと相談して……。
『なんだあれ⁉』
『は、速いっ‼』
マキを探して辺りを見渡すと、騎士団が魔物と競り合っている前線を超えて、敵の間を縫うように通り魔と化したマキがいた。
あまりの単騎特攻ぶりに戦いに慣れた騎士たちも口をあんぐりと開けて立ち止まってしまっている。
というか、俺も一瞬言葉を失った。
「へぇ、僕の前でよそ見か。随分と甘く見られたものだね!」
別によそ見だと言われるほど気を抜いていたわけじゃないが、どうやら隙だらけに見えたらしい。
こっちを見ろとばかりに飛んできた風の矢を華麗に避け……。
「『プロクタシア』! アンタ本当に危なっかしいわね! アンタ自分が一番危険な奴に目をつけられてるって自覚あるの⁉」
治療を終えて戻ってきたソフィアに間一髪のところで障壁魔法をかけてもらえた。
避けようとする必要なんてなかった。
うん、ちょっと待て。この『操魔』とかいう奴、以前朝靄の街で相対したときはソフィアのバリアを割れなかったっけ。
バリアに守られながら安全に魔法銃を撃てるなら話は別だ。一撃で落とせなくても二発でも三発でも撃ってやればいい。
「とは言っても、ソフィアが生きてるだけで死ぬことはなさそうだしな」
バリアに回復、各種ステータスバフまで幅広く使えるソフィアがいれば生存率は大きく上がり、当然強気に行動できるというもの。
そんなこちらの態度が気に障ったのか、再び風の矢を飛ばしてきた。
「墜ちろクソガキ!」
バリア越しに風の矢を受け止めながら、魔法銃で反撃した。
高速飛行で避けようとした『操魔』だが、音速をはるかに上回る弾丸からは逃げられなかったようだ。もっとも、レベルマックスの命中スキルによって必中になった攻撃はバリアで受け止める以外に凌ぐ方法などないが。
「鬱陶しい奴め!」
『操魔』の左腕に命中した弾丸だが、しかし耐久力が高いせいか細そうな腕なので吹き飛ばすに至らなかった。
かなりの出血量で痛手にはなったうようだが、それも少しずつ再生している。
幸い、再生速度より魔法銃のクールタイムの方が早いので持久戦に持ち込めば有利だ。
が、当然そんなことは相手もわかっている。なので、さっそく手を打ってきた。
「『操魔』の名のもとに命ず。……忌まわしい人類を喰らいつくせ!」
左腕を庇いながら『操魔』が声を上げると、街を襲撃していた妖魔教団の魔物たちが体に禍々しいオーラを纏い始めた。
「クククッ……フハハハ! 僕がなぜ『操魔』と呼ばれているか知っているかい? 僕にかかれば魔物に力を与え、知性のあるなしにかかわらず従えることができるからさ! さあ、忌々しいこの街の人間を皆殺しにグエッ!」
なにやら決め口上を垂れ始めたので、クールタイムが明けた魔法銃で撃ってみた。
避け損ねた『操魔』は、今度は脇腹が削れたようだ。
とりあえず『操魔』の方はどうにかできそうだが、それまでに騎士団の連中が持ちこたえられるだろうか。
そんな心配をしていると、いつの間にか前線を守る騎士団への支援に行っていたらしいソフィアが戻ってきていた。
というかこのまま仮に前線を破壊されればソフィアとて多勢に無勢だろう。コイツこそ主戦場になっているここから後退した方がいいと思うのだが。ソフィアとしてはどうしても逃げたくないようで。
「ねえ『操魔』。私と交渉しない? これでも私はこの地方を統べる貴族の一人娘よ」
今まさに怒りに任せて街を壊滅させようとしている『操魔』へと交渉を持ち掛けた。
……こいつはバカか?
交渉が成立しなかったからこそ今まさに街が攻撃されているというのに何を呑気なことを。
ほら見ろ。『操魔』だってバカにされたとかそういう次元を通り越して、もはや哀れみの目で見ているじゃないか。
「へぇ、取引か。いいよ、無様にあがいて見せなよ」
鼻で笑う『操魔』に短気なソフィアはこめかみをヒクヒクさせるが、それでも我慢するようだ。
はっきり言って見ていられない。この光景を見たら俺じゃなくてもそう思うことだろう。
だが次の瞬間、ソフィアは俺たちのそんな嘲笑の念を打ち払った。
「好きなように言いなさい。……アンタが望むなら、私の命と引き換えにしたっていい。だから金輪際、この地方に妖魔教団を近づけさせないで」
自分にかかったバリアとバフを解除したソフィアは、俺を庇う様に仁王立ちしてそう言い放った。
耳を疑う言葉に、俺と『操魔』は言葉を失う。
そうして場を支配した沈黙は数秒続き。
「ソフィアお前このあばずれが! お前が危険な目に遭ってどうするんだよ! ここで戦ってる奴らが守りたいと思っているのは誰の事だかわかっているのか!」
「街のみんなよ! 当然じゃない、私もそうよ! 報酬が払えないから冒険者の手は頼れなかったけど、それでも騎士団は頑張ってくれててまだ死者は出てない。ここで私が戦いを終わせたら誰も悲しまずに済むわ!」
この女狂ってやがる!
感情的になって心の中でソフィアを罵っているわけじゃない。
コイツは今までたくさんの人を守るべき相手として認識し、そして幾度となく失ってきた。その経験一つひとつが、コイツに自分の命より街の住人の方が優先させてしまっているのだろう。異常なまでに『大切な誰かを守る』ことに執着するソフィアのことだ。ここで下手に止めた結果、街に死者が出たら精神状態をおかしくするかもしれない。
そんなソフィアに、おかしな奴を見る目を向けながら『操魔』が風の矢を番える。間違いなくソフィアを殺すつもりだろう。ソフィアには悪いがこのままではコイツは無駄死にするだけだ。
「まだ答えを言ってねえよなぁ!」
だから、矢を放つ前に再生した左手ごと『操魔』が持つ弓を銃で撃ち抜く。
棚ぼたとでも言いたそうにソフィアへ攻撃しようとした『操魔』を怯ませて、力任せにソフィアを後ろへ投げた。
「バカお嬢がよ! 俺が変わってやる!」
一度交渉に失敗しているが状況は変わっているし、あれから状況が変わったうえにソフィアよりマシだ。
投げられた上に罵られたソフィアが首を絞めてくるのに抵抗していると、両腕を負傷した『操魔』が悔しそうに舌打ちしてから何かを唱え始めた。
「何をするつもりかは知らないが、こっちには最強の魔法使いがいるんだ。お前を倒すことなど朝飯前だぜ! さあ、ここに来た目的をゲロってさっさと失せな!」
三発もの銃撃を喰らってさすがに弱ったであろう『操魔』に魔法銃を向けて圧をかける。
撃ったばかりでまだ数十秒は使えない魔法銃だが圧力をかけるくらいの使い道はあるというもの。
というわけで強気の交渉戦略なのだが、劣勢にもかかわらず『操魔』はなおも魔物を強化するオーラを放つ。実はこのままソフィアを俺に付きっ切りにさせると騎士団がやられそうだという話もあるので撤退してほしい。
この怒り具合を見ると望み薄だと考えていると、どこからか明るく場違いな曲が流れてきた。音が鳴った方へ視線を向けると、その先には『操魔』が。正確に言うと、『操魔』の懐からだった。
「フンッ、喜ぶといい! なんせ、キミたちの寿命が数秒延びたのだからね!」
未だに自分が優勢だと思っているらしいクソガキは、どこか懐かしさを感じる魔法道具を取り出して耳に当てた。
おいあれって携帯か? 携帯電話なのか⁉
レールガンが携帯式レベルまで小型化した国があるくらいなので、携帯電話の代用品くらいあっても不思議じゃないが、それでも興奮を抑えられない。
思わず輝かしい目で『操魔』を見ていると、不思議そうにしたソフィアが話しかけてくる。
「ねえ、あれは何してるの? さっきから『はい』とか『了解』とか、一人でぶつぶつと」
これだから後進国のぼんくらは。
「通信魔法でも内蔵してあるんだろ。それより、さっき俺らの寿命が延びたとか言ってたアイツになんか魔法を撃ってやるといい」
「それは流石に卑怯よ。あれたぶん今は手を離せないやつでしょ? アンタと違って私は卑怯な手は使わないの」
アンタと違ってとはどういう意味なのか今一度問い詰めたいが、間が悪いことに『操魔』が通話を終えたようだ。
もうすぐで魔法銃のクールタイムが終わるところだったというのに。
さて、寿命が数秒延びた妖魔教団の幹部はというと、こちらに向き直ると高度を上げた。まるでソフィアの魔法を避けられるように間合いを離れたかのようだ。さて、そんな『操魔』は俺たちをからかうように声を出した。
「キミたちは本当に悪運が強い奴らだ。ここでの目的は果たされたんだってさ。ボクはもうここに興味はないし帰ることにするよ」
そんな言葉に、俺は思わず吹き出した。
笑いが止まらない中、ソフィアの肩に手を置いて俺は言葉を発する。
「なあソフィア! アイツ、逃げる口実づくりだけは幹部級だな!」
「そうね。幹部なんて言ってる癖に情けないわよね」
散々してやられたんだ。こうでもしないと気が済まないので、ソフィアと揃って『操魔』を挑発する。
しかし、言われたい放題の妖魔教団幹部は忌まわしそうに睨みつけるだけで天高く飛び立っていった。
まだまだ残党たちに騎士団が手を焼いているようだが、視線を潜り抜けたことで安堵の息を漏らす。
「ありがとう、ソフィア。おかげで助かった」
もしあの時、ソフィアが治療してくれなければ。もしあの瞬間、バリアを張ってもらえなければ。
その先はあまり考えたくない。
俺とて人なので、命を救われれば感謝くらいはする。それが、日頃生意気なメスガキだと思っている娘だとしても。
なので、思わず頭でも撫でてやろうと手を伸ばして。
「うわ危ない」
昼間のことを思い出して俺は手を引っ込めた。
俺のそんな様子に不満そうに睨んでくるソフィアはしかしすぐに表情を戻し、引っ込めた手を掴むともう片方の手を重ねて包むように握ってきた。
「こ、こんな時にまで怒ったりしないわ。それより、敵の本陣を荒らしたのはアンタとマキなんでしょ?」
ついにその辺の雪を食べて頭を壊したのかと思っていると、ずいぶんといじらしいことを言い出した。
ソフィアはこの辺りでずっと奔走していたようだが、目視では確認しにくいところで戦っていた俺たちの様子にも気づいていたようだ。
なんだか、素直に褒められるとむず痒いな。
「ご苦労様。マキはまだ戻ってきてないけど、アンタたちを従える貴族として誇らしいわ。褒美に、明日は私がなんでも一つお願いを聞いてあげる」
ソフィアは俺とマキを労う言葉を口にすると、そのままニコッと微笑んだ。
どうやら、いつの間にかコイツからの好感度が上がっていたらしい。これは明日が楽しみだ。
「じゃあ明日までに何か考えておく。ちょうどマキもこっちに駆けてきたし今日はもう帰って寝よう」
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