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5話
しおりを挟む「フォルティー!」
夢を見ていた。遠い遠い過去の夢。
まだ旅を始めたばかりの頃の夢。
緑色の肌を持ち知能も低い化け物、ゴブリンが錆びついた剣を勢い良く振り下ろした。
切っ先には無防備なフォルティーがいる。
本来なら前衛を守るべき存在のテゴはレナを他のゴブリンから守っている。
どう足掻いても間に合わない。
シュッ、と空気を裂く音とゴブリンが悲鳴をあげたのは同時だった。
振り下ろすはずだった腕には矢が何本も刺さっており、フォルティーを斬るはずだった剣は地面に転がっている。
彼女がこちらを振り向いた。
どうやら怪我はしていないようだ。
視線で他のゴブリンを相手にするように促す。彼女は頷いて、レナとテゴを取り囲むゴブリンに突っ込んでいった。
それに合わせて何本も矢を番え、そして射る。奴らの四肢や頭に狙いを絞って行く。
3人の動きを阻害しない位置を狙って、的確に。
……この頃は、まだ俺の弓術が通用していた頃だ。
そして場面が切り替わる。
「リザードマン……硬い鱗を持ってるな」
遠目からみたテゴが忌々しげに見ているのは、二足歩行するトカゲのような人型の魔物だ。身体は硬い鱗に覆われており、物理にも魔法にも少し耐性を持っている。
「ソルム、お前の矢じゃ弾かれる。ここは……」
テゴの言葉を遮って、俺は無言で矢を番えた。鱗如き、どうとでもなる。
放たれた2本の矢は寸分違わず奴の両目を撃ち抜いた。ドサリと倒れ込み、ビクビクと痙攣していたソレは直ぐに動かなくなる。
「あれくらい、どうって事ない」
場面が切り替わる。
「ソルムッ!!」
斬られた俺は、勢い良く地面に叩きつけられた。俺を斬ったソイツはケタケタと骨を揺らして……まるで俺を嘲笑っているかのようだった。
だが、その隙をフォルティーとテゴが見逃す筈もない。テゴが槍で動きを止め、胴体をフォルティーに斬り飛ばされてソイツはあっさりと死んだ。
死体に幽霊の魔物が取り憑いていたらしい。
奴らは白骨化していた死体でも問答無用で操る事ができるようだった。
問題はそこでは無い。
俺の矢が通用しない。
死体が身に纏っていた鎧で尽くを防がれ、四肢や目など射っても意味はない。まず目など存在しないのだから。
「くそ、この付近の魔物、妙に強くないか」
この骸骨だけではない。
魔法の防御を身に纏っている魔物も多く目にする。俺はそういった魔法に頗る弱い。
唯の木で作られた矢なのだから当然だ。
魔法の膜でも貼られたら何もできなくなってしまう。
「あぁ、こいつら……対策をしてるみたいだな」
「ソルムは下がってて! 私とテゴでやっつけちゃうから!」
「ソルムさん、回復しますね」
前に飛び出す2人。
回復をしてくれるレナ。
そこで目が覚めた。
「……クソ」
そうだ。危険度の高いところに行けば行くほど俺は役立たずになる。
なんだってあの魔物共は魔法の防御なんて用意出来たんだ? それのせいで、俺は……。
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