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4話
しおりを挟む「帰りたーい!」
クエストを終え、夕飯を済ませたフォルティーはベットに倒れ込みながら、足をバタバタさせた。
「もう、はしたないですよ」
そんな様子をレナ微笑みながら隣のベットに座って見ている。
「レナは寂しくないの?」
「寂しくない訳ありません」
ピシャリと跳ね除けるように、キッパリとレナはフォルティーの言葉を否定した。
「でも、ソルムさんの意思は尊重するべきと思うだけです」
「うー……」
枕に顔を押しつけてフォルティーは唸っていた。確かにレナの言う通りではある。
彼がそうしたいと思うのなら、自分たちはその意思を尊重するべきなのだ。
「でも、4人で旅を続けたかったなぁ……」
「……そうですね」
弱くても、役に立たなくても側にいて欲しかった。それが言えたらどんなに良かっただろう。ただ、そんなことをいっても彼の心を傷付けるだけだ。
彼は心の底から自分が弱い事を苦しんでいた。そんな彼に、弱くてもいいなんて言葉をかける事は……出来なかった。
「うー……帰りたい」
「彼が戻ってくるまでに、名前を全世界に轟かせるー、なんて意気込んでたじゃないですか」
「それとコレとは話が別なの!」
こんなに我が儘を言うフォルティーは珍しい。というか、これだけ旅をして来て初めて見るかもしれない。
気持ちは分からなくもない。
もし自分だけだったら、同じように誰にも聞こえないように文句を言ってしまっていたかもしれないのだから。
「ソルムさんとまた旅がしたいのなら……」
「なら?」
ベットから跳ね起きて、フォルティーはレナに言葉を続けるように促す。
「ソルムさんが戦える程度の力を身につけるか、私たちが何もかもを気にも留めないくらい程に強くなるか、でしょうか」
もしくは危険の低い所しか旅をしないか、だ。それなら十分を4人で旅を出来るだろう。
「……どっちが現実的かな」
「……どうなんでしょうね」
男という事で別室にいるテゴの言葉を2人は思い出した。
「守られるだけの立場じゃもう嫌になったんじゃないか、って言ってたよね」
「そうですね。男としてのプライドが、とも」
前衛で攻撃をテゴが受け止め、フォルティーが隙を見て攻撃。レナが魔法で2人を支援して、敵をソルムが矢で足止めする。
旅をした頃はこういった戦法を取っていた。
だが、強くなった自分たちが受けるクエストではただの矢では力不足な事は否めない。
強化された矢を買おうにも値段が張ってしまう。
それなら彼は戦闘中の支援は何も出来なくなってしまった。
「じゃあさ、いろんな所探索してさ、弓と矢を探そうよ」
「弓矢、ですか」
「うん。強いのが見つかったらそれをソルムにあげに帰ろう? そしてまた皆で旅をするの」
それが最も現実的な策だと思えた。
彼の弓術はピカイチだ。彼以上に上手く操る存在を私たちは知らない。
「じゃあ、明日から弓矢の情報を集めてみましょう。それこそ、素材を集めて私達が作ってもいいかもしれませんし」
「だねー! んふふー……カッコよくて強いの、頑張ってさがそーね!」
2人だけの会議は、その後も夜遅くまで続けられた。
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