空蝉

杉山 実

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策謀

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 84-029
昔卓也と麻結を結婚させても良いと思っていたが、麻結が伸一君の事を忘れられないので断念した。
だが、今現実は見合をしているので、再び卓也の嫁に考えて貰えないだろうか?と一緒に来たのだ。
「うちの卓也もまだ独身なのだよ!少なくともこの大森って男よりは良いと思っているのだがな!」
「確かに息子さんと結婚して貰えたら願ったり叶ったりだな!」
「何か問題でも?」
「実は今回の見合いも、我々が見合い話を勧めたので、逃げる為に見合いをした様なのだよ!」
「すると、まだ結婚の意思は無い!そう云う事か?」
「多分今日大森さんと会っていますけれど、お別れを言うのではと思っています!」浅子が言った。
「この資料必要なかった?」
「そんな事はないよ!助かった!ありがとう!薮内さんの息子さんと付き合ってくれたら良いのだが?」
4人はコーヒーを飲みながら、色々な話をした。

その頃、武史達はカラオケボックスで盛り上がって、三人が代わる代わる歌を唄って「お兄ちゃんが歌を唄えるのを初めて知ったわ!」
「落合さんの歌も絶品でしたよ!」
カラオケボックスでも酒を飲む睦。
つられて麻結もカクテルを飲んで上機嫌で歌う。
二時間が瞬く間に過ぎて「もう時間だわ!」睦が残念そうに言った。
これ以上追加すると、麻結の帰りが遅く成るので延長は出来なかった。
「今日は、大森さんの事、新しく発見しました!ご馳走様でした!」大きくお辞儀をする麻結。
長い髪が床に付きそうに成る程のお辞儀。
「ごめんなさい!私の我が儘で二人には申し訳ない事をしました!」
「いいのよ!気にしないで、お兄ちゃんの事、また新発見して下さい!」
ほろ酔い気分でカラオケボックスを出る三人。
夕暮れの空気が漂う秋、駅の改札迄麻結を送ると「今日はありがとうございました!」睦が麻結の手を握ってお礼を言った。
「大森さん!今日はご馳走様でした!また連絡します!」
「僕も連絡します!お気をつけて、、、、」そう言って照れ臭そうに手を差し出した。
麻結はその手を握りしめて「羽ばたけるかも知れません!」と言った。

改札の向うに消えると「羽ばたくって?」睦が尋ねた。
「昔の彼氏を忘れられるかも知れないって事かな?」
「えっ、それじゃ落合さん!お兄ちゃんの事を?」
「そうでもないだろう?過去から離れられそうだって言ったと思うよ!」
「そうかなあ?案外落合さん!お兄ちゃんと合うのかも?」
「睦は喜ばすのが上手いな!」
二人は上機嫌で帰って行った。

麻結が自宅に帰ると早速浅子が「麻結!美容院に行ったのでしょう?」髪を見て不思議そうな顔をした。
「行ったけれど、辞めたのよ!」
「何を?」
「髪を短く切ってしまおうと思って行ったのだけれど、止められちゃったのよ!」
「麻結!お酒の匂いがするわよ!昼間から飲んだの?」
「はい!美味しいお酒を飲んで来ました!」
「大森って人とお酒迄飲んだら、断れなかったのでしょう?」
「そう!今日は妹さんと三人で飲んだのよ!楽しかったわ!」
「えー、妹まで連れて来たの?確か看護師だったわね!」
「楽しい妹さんだったわ!お兄さん思いの、、、、」
「どうするのよ!別れるのでは?大阪の人とか、、、、、、」
「もしかしてお母さんは児玉さんを知っているのね!」
「知らないわよ!」惚ける浅子。
「私達が会う場所を教えたのだから、当然相手の素性を知っているのよね!私はあの人嫌いよ!美咲が好きなタイプって話したわ!」
「美咲さん?」困惑の浅子。
丸山さんも児玉さんも失敗か!最後の麻生さんに期待するしかないと思う浅子。
もうひとり隠し玉で薮内の息子さんが居るので、何とかしたいと思う。

麻結が自分の部屋に行くと智光に「中々別れませんね!どうしましょうか?」
「私に良い考えが有る!三人が失敗したら実行しよう!」
「どの様な策ですか?」
「それは内緒だ!お前に喋ると失敗する!決まったら教えてやる!」
「さぞ、良い方策でしょうね!」皮肉を言う浅子。
その後も酔っ払いで結構上機嫌の麻結に気を揉む両親。

武史の自宅も花が咲いた様に明るい時間を過ごしていた。
睦が魚住の美容院での出来事を面白可笑しく話して盛り上がれば、武史がカラオケの話をする。

その後両親は寝室で「夢じゃあ、ないですよね!」
「夢なら大変だ!あんなに嬉しそうな睦も武史も長い間見てないな!」
「睦が小学生の時以来ですね!」
「本当だ!武史が痛い、痛いと言い始めてからは笑顔がないからな!」
「あの美人が、、、、、、」
「本当に見合で決まるのかな!」
「今までとは違いますよ!」
「確かに、次会えば5回目だな!」
「向こうの家は反対の嵐でしょうね!だから髪を切ろうとしたのですからね!」
「本人に気に要られたのだろうな!」
「一度自宅に彼女を招待しましょうか?」
二人は夢を見ている気分で話して居た。
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