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キューピット
しおりを挟む84-031
麻結は武史と睦の兄妹の力で、伸一の呪文から脱出出来る様な気がしていた。
12年間一度も出る事が出来なかった伸一の呪縛。
そこからもしかしたら出る事が出来るのでは?そんな期待を抱かせる日曜日の出来事だった。
もしあの美容院で髪を切って大森さんと別れて居たら、今の様な気持ちにはなれなかった。
寿司を食べて酒を飲んでカラオケを三人で歌った気分は最高だった。
先日迄のボランティアで大森さんの妻に成っても良いと思っていたが、今は異なる気持ちが芽生えていると思った。
仲の良い兄思いの妹、その優しさと思いやりの気持ちが自分を変えた気がする。
ベッドに入っても中々眠りにつけない麻結。
両親は必至で大森さんとの仲を引き裂こうとしている。
どうすれば良いのだろう?今度はあの薮内とか云う男性と結び付けようと考えているのが見え見えだ。
終末真知子の頼みで一緒に明石の海鮮料理の店に向かった麻結。
真知子と一緒に約束の海鮮料理店に行くと、既に丸山は店に居て二人を出迎えた。
「今日はすみません!真知子さんがひとりで行くのはまだ少し早いと申しましたので、ご足労をお願いしました」
「は、はあ!」真知子から聞いている向上と少し異なると思ったが「遠慮なくご馳走に参りました!」
丸山はひとりで前に二人が並んで座った。
今の姿なら甲乙付けがたいと見比べる丸山。
変な丸い眼鏡に老けた感じのウィックを着けている麻結。
真知子はこれが本来の麻結だと思っているので、違和感は全く無い。
「私はビールを飲みますが、お二人は?」
「私は少し頂くわ!落合さんも一緒に飲みましょう!」
半時間程で携帯が鳴って自分は退席するので、真知子が残りは飲むだろうと頂きますと答えた。
「落合さんは魚住の駅から近いのですか?」
「自転車で5分程度ですから、近いと思います!」
そわそわしている丸山はビールが来ると「さあ、どうぞ!」真っ先に麻結のグラスに注いだ。
真知子が丸山のグラスに注ぐ。
丸山は真知子のグラスにビールを注ぐが、溢れて零してしまう。
「どうしたの?丸山さん!そわそわしているわね!」
丸山はこの後どの様に麻結に話をするべきか悩んでいたのだ。
真知子の手前僕とお付き合いをお願いしますとは言えないからだ。
ビールで乾杯が終わった時、料理が運ばれて来た。
「わあ―美味しそう!生きているわ!」
「本当ね!新鮮だわ!」
「流石明石の漁港で水揚げされた魚だ!」嬉しそうに覗き込む丸山。
活け造りの桶に並べられた刺身を食べ始める三人。
真知子は時計を見ながら、目で麻結に合図を送るが見ていない。
半時間の予定だが、もう少し早く麻結を追い出したく成っていた真知子。
何故なら丸山が麻結の方に絶えず視線を送るからだった。
真知子はビールを一気に飲み干して「入れて頂戴!」そう言って丸山の目の前に空のグラスを差し出した。
「飲めるのだね!驚いたよ!」丸山は真知子のグラスに酒を注いだ。
これは丸山が麻結争奪戦から離脱する事に成った原因だった。
しばらくして麻結の方から真知子に催促して、ようやく携帯が鳴ったのだ。
「自宅から電話だわ!」そう言って席を離れる麻結。
戻ると「祖母が倒れて病院に運ばれた様なの!直ぐに病院に行かなければ成らなく成りました!ご馳走に成って申し訳有りません!」お辞儀をしながら自分の荷物を持つ麻結。
「お大事にね!」
「あっ、それは大変ですね!どちらの病院ですか?」
考えていなかった麻結は咄嗟に「市民病院です!」と言って離れた。
「近いですね!タクシーかな?」
「市民病院って何処だっけ?」
「明石城の横だったと思いますよ!暇で城を散歩した時に見ました!」
市役所に来た時に暇で城の散策をしていた丸山。
「後で様子を見に行きますか?」この言葉に驚いた真知子は、丸山に酒を勧めて自分も飲んでしまった。
酔っ払った二人だが、真知子は丸山が酔ったのに乗じて近くのラブホテルに連れ込んでしまったのだ。
翌朝、目が覚めた丸山は自分の隣に裸の真知子を見て、ショックで一気に落ち込む。
だが、真知子の方は丸山との関係が出来たと大喜びに成った。
この出来事で、丸山は麻結の争奪戦から脱落する事に成った。
直ぐに真知子は麻結に二人はお付き合いをすると告げて、関係が有った事まで喋っていた。
麻結は真知子に祝福を送った。
丸山は自分から梅宮に落合麻結さんへのアプローチは終わりますと報告した。
梅宮は直ぐに麻生祐樹に連絡をして、もう参戦しても宜しいですよと告げた。
三人の中では一番麻結に合わない男性だと思って最後に置いていた。
真面目さでは一番劣るからだ。
確かに親父は財産を所有しているが、本人の仕事も証券会社で二人の仕事に比べると、ブラックな部分が多いと考えていた。
事実祐樹はチンピラの様な男に頼み込んで、その二人は既に行動を開始していたのだ。
梅宮は丸山離脱の話を浅子には言わなかった。
須永は自分の女とその友人二人に麻結の監視を頼んでいた。
暇な二人は何もしないで監視だけでお金が貰えると、喜んで監視を交代で始めた。
「凄い美人って嘘だわね!不細工な女だよ!」
「嘘だろう?写真は美人だったぞ!人を間違えてないか?」
「今家から出て来て自転車に乗って駅の方に行ったわ!間違い無いわ!落合って表札も確かめたわ!」
連絡を聞いた須永は麻生祐樹に電話で確かめた。
祐樹は大笑いをして、変装だと教えた。
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