74 / 98
混乱の二人
しおりを挟む
84-073
麻結も駅からタクシーで帰るが、上機嫌で声も弾んで「ただいまーー」
「おかえりー雨が降って来たね!」
「取り敢えずお爺さんに土産持って行くわ!まだ起きているでしょう?」
10時を少し過ぎた時間を確認して、隣の智樹の家のチャイムを鳴らした。
「お爺ちゃん、お婆ちゃん!ただいまーー」
「麻結かい!明るい声だね!」
「楽しい旅行だったのね!」
テーブルの上に湯布院の土産の包みをひとつ置くと、もうひとつの袋を持って「これは彼からのお土産‼博多の明太子!」
「えっ、彼と旅行に行ったの?一人旅じゃなかったの?」
「二人には内緒よ!彼が、、その、、、、」口籠る麻結。
「相手は鯖寿司の男か?」智樹が言った。
「う、うん!伸一さんに報告に行ったの!一緒に!お母さんが武史さんの事を子供が作れない身体だから、駄目だと何時も言うのよ!心配に成って、、、、、、、」
「そうだったのか?浅子さんは心配性だからな!」
「麻結の嬉しそうな顔からすると、合格だったのね!」
大きく頷いて頬を赤くする麻結。
智樹は貰った包みを広げて「これ、有名な明太子だ!美味しいぞ!早速明日の朝に頂くとするか!よろしく伝えてくれよ!この明太子は高いのだ!」嬉しそうに言った。
「先程の話はお父さん達には内緒にしてね!おやすみなさい!」
「言わないよ!おやすみ」
自宅に戻ると「疲れたでしょう?着替えてお風呂に入りなさい!」
「坂上さんの家はどうだった?」
「大きな農家だったわ!仏壇も墓も参らせて貰ったわ!」
「遠かっただろう?」
「これお土産‼」湯布院のお菓子の箱をテーブルに置く。
それ以外の荷物を抱えて自分の部屋に駆け上がる麻結。
来週の3月3日の結納は、先日見合いをしたKSAの会館で執り行う事が決まっていた。
平日の為、仲人と両親、当人の8人の出席に成っている。
梅宮も当日は旦那さんと二人の出席だ。
全ての準備は殆ど整っている両家。
祐樹も結納さえ終われば、自由に麻結と婚前旅行にも行けると急いだのだ。
当日の着物も浅子は準備が終わって、早朝から会場に三人揃って行く予定で、着付けも髪も当日の朝からセットする段取りだ。
しばらくして風呂から上がった麻結に「話が有るのだが?」智光が切り出した。
「私も話が有るのよ!」
「何だ?」
「お父さんの話が先でしょう?」浅子が口を挟んだ。
「じゃあ、私から言うか!麻結は来週麻生祐樹君と結納を交わす事に成っているな!」
「私の話もその事なの!」
「お父さんの話を聞いてからにしなさい!」
「婚約をするのに、まだ例の姫路の男性とはお付き合いに成っているよな!それで今日向こうの自宅にお伺いして来たのだよ!あいにく本人は不在だったが、両親には説明をして納得して貰った!」
「何を納得して貰ったのよ!」
「麻結が来週婚約するので、今回のお付き合いはこれまでに致しますと、当家からペナルティ料も含めた慰謝料をお支払いして来た!」
見る見る顔色が変わる麻結。
「何故なの?私に聞きもしないで、勝手な事をするのよ!」怒る麻結。
「来週結納のお前が別の男性とお付き合いが出来ると思っているの?」浅子が言う。
「私は髪フェチで写真しか脳の無いあの様な男はお断りよ!絶対に結婚しないわー」
「何を今更!来週結納だぞ!中止が出来る訳ないだろう?」
「お母さんが言ったわ!武史さんは障害者で、子供を作る能力も無い!そんな男と結婚なんて私が不幸に成ると、、、でも彼は普通よ!普通に、、、、、、だから私は武史さんと結婚するわ!」
「えーー何を言い出すのだ!」
「そうですよ!あんな障害者と結婚?冗談じゃないわ!絶対に許しません!」怒る浅子。
「私も絶対にあの人とは結婚しません!どうしてもと云うなら私にも覚悟が有るわ!」
「どんな覚悟よ!あの男が麻結を連れて駆け落ちでもしてくれるの?」
「そうだよ!今頃、彼も両親に話を聞いて納得していると思うよ!そんなに怒らずに一晩寝てゆっくり考えなさい!お父さん達ももう一度ゆっくり考えてみるから、、、、」
泣いている麻結を前にして、智光もこれ以上強気に出ると本当に家出でもされたら大変だと思った。
目配りで浅子にもこれ以上強気な事を言うなと諭した智光。
「私、今夜はお爺さんの家に泊めて貰うわ!」
パジャマにガウンを着て、電話をする麻結。
その頃、武史にも両親が今日慰謝料を持って来た事実が伝えられて、今までの上機嫌から谷底に落とされた気分に成っていた。
「そうだったのか?結婚出来ると思ったのだけどな!やっぱり夢か?」失意の顔に成る。
そう呟くと落胆の表情で自分の部屋に向かった武史。
(お別れ旅行だったのですね!楽しかったです!ありがとう!お幸せに!もう連絡はしませんので安心して下さい!)
武史がlineを麻結に送った。
麻結は携帯を自分の部屋で充電して、そのまま智樹の家に転がり込んでいた。
何か返事が来ると淡い期待を持って居た武史は、奈落の底に突き落とされる。
麻結は智樹の家で、両親に言われた事を詳しく話した。
智樹は「好きなのは鯖寿司の男だな!私も彼は良い男だと思うよ!今回も忘れずに私に土産を買っていてくれた!一度も話した事も無い、見た事も無い私にだよ!中々出来ない事だ!私は麻結の目が確かだと思うぞ!今夜はゆっくり寝て明日考える事だな!」
智樹は麻結の気持ちを考えて話した。
涙が止まらない麻結に言葉がそれ以上無い。
麻結も駅からタクシーで帰るが、上機嫌で声も弾んで「ただいまーー」
「おかえりー雨が降って来たね!」
「取り敢えずお爺さんに土産持って行くわ!まだ起きているでしょう?」
10時を少し過ぎた時間を確認して、隣の智樹の家のチャイムを鳴らした。
「お爺ちゃん、お婆ちゃん!ただいまーー」
「麻結かい!明るい声だね!」
「楽しい旅行だったのね!」
テーブルの上に湯布院の土産の包みをひとつ置くと、もうひとつの袋を持って「これは彼からのお土産‼博多の明太子!」
「えっ、彼と旅行に行ったの?一人旅じゃなかったの?」
「二人には内緒よ!彼が、、その、、、、」口籠る麻結。
「相手は鯖寿司の男か?」智樹が言った。
「う、うん!伸一さんに報告に行ったの!一緒に!お母さんが武史さんの事を子供が作れない身体だから、駄目だと何時も言うのよ!心配に成って、、、、、、、」
「そうだったのか?浅子さんは心配性だからな!」
「麻結の嬉しそうな顔からすると、合格だったのね!」
大きく頷いて頬を赤くする麻結。
智樹は貰った包みを広げて「これ、有名な明太子だ!美味しいぞ!早速明日の朝に頂くとするか!よろしく伝えてくれよ!この明太子は高いのだ!」嬉しそうに言った。
「先程の話はお父さん達には内緒にしてね!おやすみなさい!」
「言わないよ!おやすみ」
自宅に戻ると「疲れたでしょう?着替えてお風呂に入りなさい!」
「坂上さんの家はどうだった?」
「大きな農家だったわ!仏壇も墓も参らせて貰ったわ!」
「遠かっただろう?」
「これお土産‼」湯布院のお菓子の箱をテーブルに置く。
それ以外の荷物を抱えて自分の部屋に駆け上がる麻結。
来週の3月3日の結納は、先日見合いをしたKSAの会館で執り行う事が決まっていた。
平日の為、仲人と両親、当人の8人の出席に成っている。
梅宮も当日は旦那さんと二人の出席だ。
全ての準備は殆ど整っている両家。
祐樹も結納さえ終われば、自由に麻結と婚前旅行にも行けると急いだのだ。
当日の着物も浅子は準備が終わって、早朝から会場に三人揃って行く予定で、着付けも髪も当日の朝からセットする段取りだ。
しばらくして風呂から上がった麻結に「話が有るのだが?」智光が切り出した。
「私も話が有るのよ!」
「何だ?」
「お父さんの話が先でしょう?」浅子が口を挟んだ。
「じゃあ、私から言うか!麻結は来週麻生祐樹君と結納を交わす事に成っているな!」
「私の話もその事なの!」
「お父さんの話を聞いてからにしなさい!」
「婚約をするのに、まだ例の姫路の男性とはお付き合いに成っているよな!それで今日向こうの自宅にお伺いして来たのだよ!あいにく本人は不在だったが、両親には説明をして納得して貰った!」
「何を納得して貰ったのよ!」
「麻結が来週婚約するので、今回のお付き合いはこれまでに致しますと、当家からペナルティ料も含めた慰謝料をお支払いして来た!」
見る見る顔色が変わる麻結。
「何故なの?私に聞きもしないで、勝手な事をするのよ!」怒る麻結。
「来週結納のお前が別の男性とお付き合いが出来ると思っているの?」浅子が言う。
「私は髪フェチで写真しか脳の無いあの様な男はお断りよ!絶対に結婚しないわー」
「何を今更!来週結納だぞ!中止が出来る訳ないだろう?」
「お母さんが言ったわ!武史さんは障害者で、子供を作る能力も無い!そんな男と結婚なんて私が不幸に成ると、、、でも彼は普通よ!普通に、、、、、、だから私は武史さんと結婚するわ!」
「えーー何を言い出すのだ!」
「そうですよ!あんな障害者と結婚?冗談じゃないわ!絶対に許しません!」怒る浅子。
「私も絶対にあの人とは結婚しません!どうしてもと云うなら私にも覚悟が有るわ!」
「どんな覚悟よ!あの男が麻結を連れて駆け落ちでもしてくれるの?」
「そうだよ!今頃、彼も両親に話を聞いて納得していると思うよ!そんなに怒らずに一晩寝てゆっくり考えなさい!お父さん達ももう一度ゆっくり考えてみるから、、、、」
泣いている麻結を前にして、智光もこれ以上強気に出ると本当に家出でもされたら大変だと思った。
目配りで浅子にもこれ以上強気な事を言うなと諭した智光。
「私、今夜はお爺さんの家に泊めて貰うわ!」
パジャマにガウンを着て、電話をする麻結。
その頃、武史にも両親が今日慰謝料を持って来た事実が伝えられて、今までの上機嫌から谷底に落とされた気分に成っていた。
「そうだったのか?結婚出来ると思ったのだけどな!やっぱり夢か?」失意の顔に成る。
そう呟くと落胆の表情で自分の部屋に向かった武史。
(お別れ旅行だったのですね!楽しかったです!ありがとう!お幸せに!もう連絡はしませんので安心して下さい!)
武史がlineを麻結に送った。
麻結は携帯を自分の部屋で充電して、そのまま智樹の家に転がり込んでいた。
何か返事が来ると淡い期待を持って居た武史は、奈落の底に突き落とされる。
麻結は智樹の家で、両親に言われた事を詳しく話した。
智樹は「好きなのは鯖寿司の男だな!私も彼は良い男だと思うよ!今回も忘れずに私に土産を買っていてくれた!一度も話した事も無い、見た事も無い私にだよ!中々出来ない事だ!私は麻結の目が確かだと思うぞ!今夜はゆっくり寝て明日考える事だな!」
智樹は麻結の気持ちを考えて話した。
涙が止まらない麻結に言葉がそれ以上無い。
0
あなたにおすすめの小説
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
17歳男子高生と32歳主婦の境界線
MisakiNonagase
恋愛
32歳の主婦・加恋。冷え切った家庭で孤独に苛まれる彼女を救い出したのは、ネットの向こう側にいた二十歳(はたち)と偽っていた17歳の少年・晴人だった。
「未成年との不倫」という、社会から断罪されるべき背徳。それでも二人は、震える手で未来への約束を交わす。少年が大学生になり、社会人となり、守られる存在から「守る男」へと成長していく中で、加恋は自らの手で「妻」という仮面を脱ぎ捨てていく…
清掃員と僕の密やかな情状
MisakiNonagase
恋愛
都心のオフィスビルで働く会社員の26歳・高城蓮(たかぎれん)。彼の無機質な日常に唯一の彩りを与えていたのは、夕方から現れる70歳の清掃員・山科和子だった。
青い作業服に身を包み、黙々と床を磨く彼女を、蓮は「気さくなおばあちゃん」だと思っていた。あの日、立ち飲み屋で私服姿の彼女と再会するまでは――。
肉じゃがの甘い湯気、溶けゆく氷の音、そして重ねた肌の温もり。
44歳の年齢差を超え、孤独を分かち合った二人が辿り着いた「愛の形」とは。これは、一人の青年が境界線の向こう側で教わった、残酷なまでに美しい人生の記録。
愛しているなら拘束してほしい
守 秀斗
恋愛
会社員の美夜本理奈子(24才)。ある日、仕事が終わって会社の玄関まで行くと大雨が降っている。びしょ濡れになるのが嫌なので、地下の狭い通路を使って、隣の駅ビルまで行くことにした。すると、途中の部屋でいかがわしい行為をしている二人の男女を見てしまうのだが……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる