空蝉

杉山 実

文字の大きさ
95 / 98

罠の罠

しおりを挟む
 84-094
「もう少し子供が成長すると、入院での処理に成って痛みも伴いますので、今日にしたのですが、、、、、、、」
「、、、、、、、、、、、、」
「宜しいですか?」
「だ、駄目なのですか?助けられないのでしょうか?」
「彼氏より重い病気を背負って生まれて来る可能性が有りますから、諦めた方が宜しいかと思いますね!」
「、、、、、、、、」麻結は俯いて涙を流し始めた。
「彼との子供は今後も、、、、、だめ、、、ですか?」
「残念ですが、難しいと思われます!」
「そ、そうなの、、、、、ですか?」
「今から手術を始めても麻酔が切れるまでが三時間以上かかりますので、4時過ぎに成りますね!手術は半時間程度だと思いますが、、、、、、」
「、、、、、、、、、、、、」泣いて言葉が出て来ない麻結。
「少し気を落ち着けて下さい!」看護師を呼んで簡易ベットの方に連れて行く。
動揺が収まらない麻結を簡易ベッドに連れて行き「気分が多少良く成ったら、この手術着に着替えて下さいね!」枕元に置く。
「相当動揺していますね!先生どうしますか?」看護師が尋ねる。
「自分から中々手術台に行けない可能性も有るわね!少し様子を見て麻酔で眠らせてから、手術台に運びましょうか?」
「はい!一応準備をします!」看護師が小南医師と小声で打ち合わせをした。
急に呼び出されて子供に問題が有ると言われて、動揺するのが当たり前だと思う小南医師。
複雑な事情が有るのは判るが、親御さんの気持ちもよく判る。

何も知らない武史はlineで(今日は何しているの?)と呑気な文章を送った。
待合室の麻結の鞄の中で小さな音が聞こえる。
麻結は簡易ベットで時々すすり泣きをして、虚しさ、哀しみを耐え様と必死だ。

先日、智光と浅子が「お腹が大きく成る前に細やかな式をしましょう!」
「連休明けか6月初めのどちらが良い?」と聞かれた。
「ほ、本当に結婚式を?」
「写真は新郎が座るか?」そう言って笑う智光。
「私が座って武史さんが横で良いと思うわ!」
「目立つぞ!」
「構わないわ!三人で仲良く写真に納まるわ!」
「三人か?男の子か?女の子か?」
「私は女の子、彼は男の子だって」
「楽しい話だ!」反対していた智光も眼を細める。

それが一転麻結は谷底に突き落とされた。
精神状態が辛うじて耐えている現状で、一向に落ち着く気配は無かった。
看護師がその様子を見て「無理ですよ!先生!着替える気配も有りません!」
「仕方が無いわね!麻酔注射を持って来て!」
小南医師が簡易ベットに行くと「どう?落ち着かないの?」
「ど、どうしても、、、、、、殺すの?」
「仕方が無いでしょう?産まれてから不幸に成るより良いのでは?」
「す、少し位のし、障害は私が、、、、、」
「少しか重度かも知れないのよ!」
「、、、、、、、、、、、」
そこに看護師が麻酔の注射器を持って来た。
「ここで、麻酔をしますから、気が付いたら終わっているわ!」
看護師がもう一人の看護師を呼ぶ。
「腕を押さえて貰える!」
ひとりが麻結の身体を押さえて、もう一人が腕を持って注射の準備に入った。
「いゃーーーやめてーーころさないーー」
叫び始めた麻結に、受付の女性も急遽呼んで身体を押さえる。
腕に消毒綿の感触が伝わると一層「武史―――武史に相談してからにしますーーー」
「そうね!相談はまたの機会にね!」小南医師が持つ注射針が麻結の腕に突き刺さる。
「やめてーーーーーーーころさないでーーーーー」
「直ぐに効くわよ!」
「ころさ、、、、、、、、ないでーーー」と力なく声が消えてぐったりと成る麻結。
「大変だったわね!藪から棒の話だから、精神的のも絶えられなかったのよ!上半身はそのままで下半身だけ脱がせて手術台へ運んで貰える」

直ぐに簡易ベットでスカートと下着を脱がされて、三人で手術台に運ばれる麻結。
「綺麗な身体ね!」
手術の準備をしながら、横たえられる麻結の身体を見て言う小南医師。

その時、外の駐車場に居る二人は、時間が長すぎると思い始めていた。
「既に40分以上よ!何かの手術?」
「変よね!妊娠の定期健診しそんな時間掛からないわよ!」
「見て!」由紀子が大きな声で叫んだ。
「どうしたのよ!びっくりするでしょう?」
「あの車見て!」
「あれはぼんぼんの外車よ!」少し離れた空き地に入る車を指さした。
「彼女が危ない!」二人は慌てて車を降りると、病院の入り口に走った。
午後休診の札が見える。
「ほら、やっぱり変よ!」
扉を大きく叩く由紀子。
裏口の方に廻る静子。

手術室では「準備が出来ましたね!これから落合麻結の堕胎手術を始めます!」
脈拍測定の器具を付けると「脈拍異状無いです!」
横には不気味な堕胎器具が並べて置かれている。
手術台が上昇を始めて大きく麻結の股間が開かれて、小南医師が股間に座った時「先生!急患でしょうか?」扉をもの凄く叩く音がするのですが?」受付の女性が手術室に入って来た。
その時「裏口も大きな音がしているのですが?」もう一人の看護師が言う。
「聞いて来なさい!少し落ち着くのを待ちましょう!急患でもこの子の手術の後よ!」
「でも急患なら、、、、、」
「そうね!様子を見てからね!」
看護師が裏口に行って、受付が表に向かった。
「落合さん!落合麻結さんが居るでしょう?」由紀子が怖い顔で言った。
勢いに驚く受付の女性。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか? そのほかに外伝も綴りました。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

17歳男子高生と32歳主婦の境界線

MisakiNonagase
恋愛
32歳の主婦・加恋。冷え切った家庭で孤独に苛まれる彼女を救い出したのは、ネットの向こう側にいた二十歳(はたち)と偽っていた17歳の少年・晴人だった。 「未成年との不倫」という、社会から断罪されるべき背徳。それでも二人は、震える手で未来への約束を交わす。少年が大学生になり、社会人となり、守られる存在から「守る男」へと成長していく中で、加恋は自らの手で「妻」という仮面を脱ぎ捨てていく…

清掃員と僕の密やかな情状

MisakiNonagase
恋愛
都心のオフィスビルで働く会社員の26歳・高城蓮(たかぎれん)。彼の無機質な日常に唯一の彩りを与えていたのは、夕方から現れる70歳の清掃員・山科和子だった。 青い作業服に身を包み、黙々と床を磨く彼女を、蓮は「気さくなおばあちゃん」だと思っていた。あの日、立ち飲み屋で私服姿の彼女と再会するまでは――。 肉じゃがの甘い湯気、溶けゆく氷の音、そして重ねた肌の温もり。 44歳の年齢差を超え、孤独を分かち合った二人が辿り着いた「愛の形」とは。これは、一人の青年が境界線の向こう側で教わった、残酷なまでに美しい人生の記録。

屋上の合鍵

守 秀斗
恋愛
夫と家庭内離婚状態の進藤理央。二十五才。ある日、満たされない肉体を職場のビルの地下倉庫で慰めていると、それを同僚の鈴木哲也に見られてしまうのだが……。

愛しているなら拘束してほしい

守 秀斗
恋愛
会社員の美夜本理奈子(24才)。ある日、仕事が終わって会社の玄関まで行くと大雨が降っている。びしょ濡れになるのが嫌なので、地下の狭い通路を使って、隣の駅ビルまで行くことにした。すると、途中の部屋でいかがわしい行為をしている二人の男女を見てしまうのだが……。

(完)百合短編集 

南條 綾
恋愛
ジャンルは沢山の百合小説の短編集を沢山入れました。

処理中です...