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guilty 21. ヤバい女と茶しばきしてたら友人の妹に不審者認定された
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『クレープも良いですけど、ん~そうですね。今日は久しぶりに先輩の愛人が営んでいる懐古厨御用達のオンボロ喫茶店でゲロマズ珈琲を飲みたい気分ですね』
一言どころか二言も三言も多く、多方面に喧嘩を売るような櫻井の提案でルノワールに行くことが決定した。無論、俺に拒否権はなくまるで付き人のような気分で渋々と櫻井に着いていく。
「成る程、俺のおちん●ミルクのような濃厚で甘~い珈琲を味わいに来たと言うわけだな、うんうん」
そして入店するなり地獄のような台詞でお出迎えするスケベマスターである。店をマスターごと木っ端微塵にしたい衝動に駆られたが、心の中でマスターの股間に思い切り蹴りを喰らわせることで我慢する。そして、ツッコむのも馬鹿らしくなるが、珈琲を甘く感じるならそれは味障である。
「ですです! 肥溜めのようなお札を積まれても全裸で土下座されてもお断りするような畜生も尻尾巻いて逃げまくるマスターの珈琲を味わいに来たんです!!」
「おお~、嬉しいことを言ってくれるじゃないのお嬢ちゃん! オマケにおいちゃんの一ヶ月保管していた使用済みの靴下と爪をプレゼントフォーユー」
「「ワッハッハッハッハッ!!」」
お互いに噛み合ってない台詞で爆笑する櫻井とマスター。うん、笑うポイントどこかな?牽制しあってんのかマジで言ってんのか、分からんが聞いていると理解不能でイライラしてくるな。
「不機嫌そうな顔してどうしたんですか先輩? あ、『俺の恋人を横恋慕しやがってこのメスガキがあ』とか思っちゃいました? 嫉妬しちゃいました? 安心してください! 先輩の愛人であるマスターを横から掻っ攫うとか不義理なことしませんよ。思う存分、マスターの柔肌を堪能もとい痴漢しちゃって下さい!!」
櫻井は両手でハートマークを作り、全力笑顔になる。長々と嬉しそうに何を意味不明なことを言ってるんだこの女は……そうか、宇宙人の言葉を無理に理解しようとする俺が馬鹿だったのである。E●と指を突き合わせてコミュニケーションしている気分になればそう不快な気分にならな……いや、そうはならんやろ。無心だ、無心。人はそれを逃避と呼ぶ。
「では、私はメロンクリームソーダとこの人にはうんまい棒(柴漬け味)で」
そしてもはや恒例といっても過言ではなく、勝手に俺の注文までする櫻井。
あれれ、うんまい棒って飲み物だったっけ?柴漬けのパサパサ感とか想像するだけで割と地獄なんですがー。あ、だめだ、無心になれねえ。
「あいよ、サービスに桂一郎には俺のおちん●ミルク入りのエスプレッソをつけてやるよ、チュッパッ」
梅干しみたいな唇でキッツい投げキッスはやめてさしあげて。高笑いしながら店の厨房へ入っていくマスター。今日のマスターはテンションがやたら高くてむかつくなあ。
「ていうか、ゲロマズ珈琲を飲みたい気分じゃなかったのか、お前は……おら、飲めよ。マスターのおちん●ミルク珈琲」
「ヴォエエエ! おやぢ的なセクハラキッツー……先輩は圧倒的にモラルとデリカシーが足りないですね、少年院からやり直して下さい」
櫻井は吐きそうな顔で俺に口撃してくる。何がヴォエエだよ、モラルとかデリカシーの対極にいるこいつに諭されるとは思わなんだ。少年院からやり直せって、せめてそこは小学校とかにしやがって下さいませ。いかんな、腹が立ちすぎて敬語とタメ語が混ざってしまった。
「『女心と秋の空』って言葉がありますよね? 分刻みに女の気分は変化するんですよ。今なんかもうラーメンが食べたくなってますし」
面倒な女みたいな事を言い出す櫻井。頭に考えていることが反映されるルーレットを装備して町中を闊歩してもらいたい。恥ずかしすぎて近寄りたくもないが。
カラン、カラン
しょうもないことを考えていると店のドアが開く鈴の音が鳴った。
「『あ、こんな閑古鳥の総合商社みたいな物置もとい店に客が入るなんて珍しいものだなあ~』って先輩が考えていますよ、マスター!」
「おいこら、俺の心を代弁するな」
「なあにい~、そんなことを言う奴は……こうだ、ニャ!」
ブッッッリッッッ
「アッ、実も出ちゃったニャ……」
怒り心頭のマスターは俺に尻を向け、放屁する。代弁だけに大便ってか、HAHAHAHA、コロしたろか。
「あ、あの……」
ドアを開いた客らしき女性は困惑しながら声を出す。そりゃ、スキンヘッドの筋肉ゴリラが猫語で放屁してたら、くる店間違えちゃったかなとか思うわな。下手すればトラウマになるかもしれない。
「ヌッヌアああぁ~~ン……いらっしゃい、何名様ですか?」
リアル猫泣きマネやめろや。おっさんがやっても可愛らしさ皆無なんだよ、むしろ殺意が湧くわ。
「ね、ねえ、蒼海。違う店にしない? ヤバい店なんじゃない、ここ……」
「あ、あはは……大丈夫だよ、熟女専のお兄ちゃんのお友達の行きつけみたいだから」
「大丈夫の根拠がまるで大丈夫じゃない……」
早くも新規のお客にドン引きされている。
謎のマスターのキモい猫マネに気を取られていたが、この声……どこかで聞いたことがあるような?
「あれ? 蒼海ちゃん?」
「あっ、植木さん!? あわっ、あわわわわ……」
キモネコと見たことのないセーラー服で一瞬気が付かなかったが、間違いない。折原さんちの蒼海ちゃんだ。
「先輩、お知り合いですか?」
「あ、ああ……」
「へ~……主菜(※おやぢ)ばかりじゃなくて偶にはスイーツ(※JK)も摘まもうぜって腹ですか? へー、へえ、へえええ、俺は満漢全席、最高だぜって感じですか………………この世から退場すればいいのに」
櫻井は低くこごもった声で責めるように俺に問いただす。そ、それはどういう意味ですか?な、何か副音声が不吉だし、言葉に棘があるような?そして最後にちっちゃい声で辛辣なこと言うのやめて。
「エッ、蒼海。この人、蒼海の知り合い?」
蒼海ちゃんの友達らしき赤髪のツインテール女子は蒼海ちゃんにそう聞いている。
「あわ、あわっ、あわわわわわ、そのっ、ゼ ン ゼ ン シ ラ ナ イ ヒ ト デ ス ! !」
蒼海ちゃんは目をぐるぐる回しながら力強くシャウトする。うん?どうしてえ?
「スッストーカーだ!」
赤髪ツインテ女子は俺に指を差す。ご、誤解ダ!
「ストーカーだ!!」
今度は櫻井が俺に指差し、シャウトする。し、示し合わせてんのかお前ら!
「「「ストーカーだ!!!」」」
さらに、厨房にいた店長も顔を出し、三人でハモる。ふ、復唱するな、こら!!
一言どころか二言も三言も多く、多方面に喧嘩を売るような櫻井の提案でルノワールに行くことが決定した。無論、俺に拒否権はなくまるで付き人のような気分で渋々と櫻井に着いていく。
「成る程、俺のおちん●ミルクのような濃厚で甘~い珈琲を味わいに来たと言うわけだな、うんうん」
そして入店するなり地獄のような台詞でお出迎えするスケベマスターである。店をマスターごと木っ端微塵にしたい衝動に駆られたが、心の中でマスターの股間に思い切り蹴りを喰らわせることで我慢する。そして、ツッコむのも馬鹿らしくなるが、珈琲を甘く感じるならそれは味障である。
「ですです! 肥溜めのようなお札を積まれても全裸で土下座されてもお断りするような畜生も尻尾巻いて逃げまくるマスターの珈琲を味わいに来たんです!!」
「おお~、嬉しいことを言ってくれるじゃないのお嬢ちゃん! オマケにおいちゃんの一ヶ月保管していた使用済みの靴下と爪をプレゼントフォーユー」
「「ワッハッハッハッハッ!!」」
お互いに噛み合ってない台詞で爆笑する櫻井とマスター。うん、笑うポイントどこかな?牽制しあってんのかマジで言ってんのか、分からんが聞いていると理解不能でイライラしてくるな。
「不機嫌そうな顔してどうしたんですか先輩? あ、『俺の恋人を横恋慕しやがってこのメスガキがあ』とか思っちゃいました? 嫉妬しちゃいました? 安心してください! 先輩の愛人であるマスターを横から掻っ攫うとか不義理なことしませんよ。思う存分、マスターの柔肌を堪能もとい痴漢しちゃって下さい!!」
櫻井は両手でハートマークを作り、全力笑顔になる。長々と嬉しそうに何を意味不明なことを言ってるんだこの女は……そうか、宇宙人の言葉を無理に理解しようとする俺が馬鹿だったのである。E●と指を突き合わせてコミュニケーションしている気分になればそう不快な気分にならな……いや、そうはならんやろ。無心だ、無心。人はそれを逃避と呼ぶ。
「では、私はメロンクリームソーダとこの人にはうんまい棒(柴漬け味)で」
そしてもはや恒例といっても過言ではなく、勝手に俺の注文までする櫻井。
あれれ、うんまい棒って飲み物だったっけ?柴漬けのパサパサ感とか想像するだけで割と地獄なんですがー。あ、だめだ、無心になれねえ。
「あいよ、サービスに桂一郎には俺のおちん●ミルク入りのエスプレッソをつけてやるよ、チュッパッ」
梅干しみたいな唇でキッツい投げキッスはやめてさしあげて。高笑いしながら店の厨房へ入っていくマスター。今日のマスターはテンションがやたら高くてむかつくなあ。
「ていうか、ゲロマズ珈琲を飲みたい気分じゃなかったのか、お前は……おら、飲めよ。マスターのおちん●ミルク珈琲」
「ヴォエエエ! おやぢ的なセクハラキッツー……先輩は圧倒的にモラルとデリカシーが足りないですね、少年院からやり直して下さい」
櫻井は吐きそうな顔で俺に口撃してくる。何がヴォエエだよ、モラルとかデリカシーの対極にいるこいつに諭されるとは思わなんだ。少年院からやり直せって、せめてそこは小学校とかにしやがって下さいませ。いかんな、腹が立ちすぎて敬語とタメ語が混ざってしまった。
「『女心と秋の空』って言葉がありますよね? 分刻みに女の気分は変化するんですよ。今なんかもうラーメンが食べたくなってますし」
面倒な女みたいな事を言い出す櫻井。頭に考えていることが反映されるルーレットを装備して町中を闊歩してもらいたい。恥ずかしすぎて近寄りたくもないが。
カラン、カラン
しょうもないことを考えていると店のドアが開く鈴の音が鳴った。
「『あ、こんな閑古鳥の総合商社みたいな物置もとい店に客が入るなんて珍しいものだなあ~』って先輩が考えていますよ、マスター!」
「おいこら、俺の心を代弁するな」
「なあにい~、そんなことを言う奴は……こうだ、ニャ!」
ブッッッリッッッ
「アッ、実も出ちゃったニャ……」
怒り心頭のマスターは俺に尻を向け、放屁する。代弁だけに大便ってか、HAHAHAHA、コロしたろか。
「あ、あの……」
ドアを開いた客らしき女性は困惑しながら声を出す。そりゃ、スキンヘッドの筋肉ゴリラが猫語で放屁してたら、くる店間違えちゃったかなとか思うわな。下手すればトラウマになるかもしれない。
「ヌッヌアああぁ~~ン……いらっしゃい、何名様ですか?」
リアル猫泣きマネやめろや。おっさんがやっても可愛らしさ皆無なんだよ、むしろ殺意が湧くわ。
「ね、ねえ、蒼海。違う店にしない? ヤバい店なんじゃない、ここ……」
「あ、あはは……大丈夫だよ、熟女専のお兄ちゃんのお友達の行きつけみたいだから」
「大丈夫の根拠がまるで大丈夫じゃない……」
早くも新規のお客にドン引きされている。
謎のマスターのキモい猫マネに気を取られていたが、この声……どこかで聞いたことがあるような?
「あれ? 蒼海ちゃん?」
「あっ、植木さん!? あわっ、あわわわわ……」
キモネコと見たことのないセーラー服で一瞬気が付かなかったが、間違いない。折原さんちの蒼海ちゃんだ。
「先輩、お知り合いですか?」
「あ、ああ……」
「へ~……主菜(※おやぢ)ばかりじゃなくて偶にはスイーツ(※JK)も摘まもうぜって腹ですか? へー、へえ、へえええ、俺は満漢全席、最高だぜって感じですか………………この世から退場すればいいのに」
櫻井は低くこごもった声で責めるように俺に問いただす。そ、それはどういう意味ですか?な、何か副音声が不吉だし、言葉に棘があるような?そして最後にちっちゃい声で辛辣なこと言うのやめて。
「エッ、蒼海。この人、蒼海の知り合い?」
蒼海ちゃんの友達らしき赤髪のツインテール女子は蒼海ちゃんにそう聞いている。
「あわ、あわっ、あわわわわわ、そのっ、ゼ ン ゼ ン シ ラ ナ イ ヒ ト デ ス ! !」
蒼海ちゃんは目をぐるぐる回しながら力強くシャウトする。うん?どうしてえ?
「スッストーカーだ!」
赤髪ツインテ女子は俺に指を差す。ご、誤解ダ!
「ストーカーだ!!」
今度は櫻井が俺に指差し、シャウトする。し、示し合わせてんのかお前ら!
「「「ストーカーだ!!!」」」
さらに、厨房にいた店長も顔を出し、三人でハモる。ふ、復唱するな、こら!!
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