(完結)やりなおし人生~錬金術師になって生き抜いてみせます~

紗南

文字の大きさ
26 / 37

疫病

しおりを挟む
冬が始まって直ぐに疫病が流行った。前回も疫病が蔓延し沢山の人たちが亡くなっている。

わたくしはこの日のためにポーションを作った。

「お父様、こちらのポーションをご利用ください」
「これは?」
「こちらのポーションが疫病を治すポーションで、こちらのポーションが疫病にかからないための防止のポーションです」

2種類のポーションを沢山テーブルの上に置く。

「アレクシアが作ったの?」
「はい。フォルトゥナート様もお飲みください」

フォルトゥナート様は前回、疫病にかかり治ったのはいいが顔半分に痕が残った。その痕のせいで婚約者から婚約破棄され、魔術塔に篭もるようになる。

だが、今回はわたくしがいるからそもそも疫病になんかにかからせない。もし、前のようになったとしても婚約破棄なんてしないわ。フォルトゥナート様はお顔だけでなく中身も素晴らしいのですから!

「アレクシアは飲んだのかい?」
「はい! わたくしはもう飲みましたわ。お父様も飲んでくださいまし」
「因みにレシピは?」
「世界樹の葉、聖水、聖竜の涙、闇竜の涙、光竜の心臓です」

お父様とフォルトゥナート様が黙った。素材集め大変だったからね。セインとダークをくすぐって泣かせて、上級ダンジョン800層以降で光竜の心臓を手に入れた。

「陛下たちには献上しよう。アレクシアも共に参りなさい」

わたくしも!? いつものようにお父様にお任せしたいですわ。

お父様、フォルトゥナート様と王城に向かった。疫病の薬ということで直ぐに謁見が叶う。

「陛下。娘が疫病を治すポーションと防止するポーションを作りました」
「何と!? この疫病は特効薬がなく死亡率も高いというのに? しかも防止するポーションだと!?」
「ですが、材料が……」

お父様が材料を述べると陛下が閉口した。

「うむぅ……。侯爵以上でないと厳しいな。だが、疫病を放っておくことは出来ない! 王家で費用を持とう!」

流石、陛下。国民を第1に考えている。それならば、わたくしも陛下のお心に従うまでだわ。

「陛下、発言をお許しください」
「許す」
「素材全部、わたくしが集められますわ。ですので費用は入りません。無償で国にお渡ししますわ」
「何と!? アレクシア嬢、良いのか?」
「構いませんわ。わたくしは陛下に従うまでです。どうかご下命ください」
「うむ。あいわかった。アレクシア嬢、治すポーションの制作を頼む」
「かしこまりましたわ」

カーテシーをして命を受ける。今ある分だけお渡しして残りは出来次第お父様が持ってくることになった。その間、学園は休むことを許可をもらった。

次の日から学園を休みポーション作りに精を出す。

「アレクシア、休みも必要だよ」
「フォルトゥナート様」
「休みなしで錬金してるから皆心配してるよ」
「でも、今も疫病で苦しんでる民がいるのです」
「アレクシアが倒れては元も子もないよ」

わたくしはフォルトゥナート様に強制的にベッドに連れていかれた。

「添い寝が必要かな?」
「い、いえ、大丈夫です」

添い寝なんてされたら、絶対に眠れないわ!

「お休み、アレクシア」
「少ししたら起こしてくださいませね」

それからも無理する度にフォルトゥナート様にベッドに連れていかれた。

隣国はまだ疫病が猛威を奮ってるが、我国は収まった。

「アレクシア嬢、此度の働き大義であった。褒賞として伯爵位を授ける。またバートン家領地に隣接してる王領の1部も渡す」

叙爵と領地をもらった。未成年で叙爵されるのは異例のことで沢山の人が驚いてる。でも、非難する声は聞こえてこなかった。それだけ今回の疫病は脅威だった。

まだ学生のため実際の領地運営はお父様とフォルトゥナート様に任せる。貰えた領地は豊かなところで領地の税収が上がった。
しおりを挟む
感想 19

あなたにおすすめの小説

『胸の大きさで婚約破棄する王太子を捨てたら、国の方が先に詰みました』

鷹 綾
恋愛
「女性の胸には愛と希望が詰まっている。大きい方がいいに決まっている」 ――そう公言し、婚約者であるマルティナを堂々と切り捨てた王太子オスカー。 理由はただ一つ。「理想の女性像に合わない」から。 あまりにも愚かで、あまりにも軽薄。 マルティナは怒りも泣きもせず、静かに身を引くことを選ぶ。 「国内の人間を、これ以上巻き込むべきではありません」 それは諫言であり、同時に――予告だった。 彼女が去った王都では、次第に“判断できる人間”が消えていく。 調整役を失い、声の大きな者に振り回され、国政は静かに、しかし確実に崩壊へ向かっていった。 一方、王都を離れたマルティナは、名も肩書きも出さず、 「誰かに依存しない仕組み」を築き始める。 戻らない。 復縁しない。 選ばれなかった人生を、自分で選び直すために。 これは、 愚かな王太子が壊した国と、 “何も壊さずに離れた令嬢”の物語。 静かで冷静な、痛快ざまぁ×知性派ヒロイン譚。

【完結】私が誰だか、分かってますか?

美麗
恋愛
アスターテ皇国 時の皇太子は、皇太子妃とその侍女を妾妃とし他の妃を娶ることはなかった 出産時の出血により一時病床にあったもののゆっくり回復した。 皇太子は皇帝となり、皇太子妃は皇后となった。 そして、皇后との間に産まれた男児を皇太子とした。 以降の子は妾妃との娘のみであった。 表向きは皇帝と皇后の仲は睦まじく、皇后は妾妃を受け入れていた。 ただ、皇帝と皇后より、皇后と妾妃の仲はより睦まじくあったとの話もあるようだ。 残念ながら、この妾妃は産まれも育ちも定かではなかった。 また、後ろ盾も何もないために何故皇后の侍女となったかも不明であった。 そして、この妾妃の娘マリアーナははたしてどのような娘なのか… 17話完結予定です。 完結まで書き終わっております。 よろしくお願いいたします。

[完結]7回も人生やってたら無双になるって

紅月
恋愛
「またですか」 アリッサは望まないのに7回目の人生の巻き戻りにため息を吐いた。 驚く事に今までの人生で身に付けた技術、知識はそのままだから有能だけど、いつ巻き戻るか分からないから結婚とかはすっかり諦めていた。 だけど今回は違う。 強力な仲間が居る。 アリッサは今度こそ自分の人生をまっとうしようと前を向く事にした。

【完結】悪役令嬢だったみたいなので婚約から回避してみた

22時完結
恋愛
春風に彩られた王国で、名門貴族ロゼリア家の娘ナタリアは、ある日見た悪夢によって人生が一変する。夢の中、彼女は「悪役令嬢」として婚約を破棄され、王国から追放される未来を目撃する。それを避けるため、彼女は最愛の王太子アレクサンダーから距離を置き、自らを守ろうとするが、彼の深い愛と執着が彼女の運命を変えていく。

妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。 妻が死んで18年目の今日。 息子の誕生日。 「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」 息子は…17年前に死んだ。 手紙はもう一通あった。 俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。 ------------------------------

悪役令嬢扱いで国外追放?なら辺境で自由に生きます

タマ マコト
ファンタジー
王太子の婚約者として正しさを求め続けた侯爵令嬢セラフィナ・アルヴェインは、 妹と王太子の“真実の愛”を妨げた悪役令嬢として国外追放される。 家族にも見捨てられ、たった一人の侍女アイリスと共に辿り着いたのは、 何もなく、誰にも期待されない北方辺境。 そこで彼女は初めて、役割でも評価でもない「自分の人生」を生き直す決意をする。

悪役令嬢になるのも面倒なので、冒険にでかけます

綾月百花   
ファンタジー
リリーには幼い頃に決められた王子の婚約者がいたが、その婚約者の誕生日パーティーで婚約者はミーネと入場し挨拶して歩きファーストダンスまで踊る始末。国王と王妃に謝られ、贈り物も準備されていると宥められるが、その贈り物のドレスまでミーネが着ていた。リリーは怒ってワインボトルを持ち、美しいドレスをワイン色に染め上げるが、ミーネもリリーのドレスの裾を踏みつけ、ワインボトルからボトボトと頭から濡らされた。相手は子爵令嬢、リリーは伯爵令嬢、位の違いに国王も黙ってはいられない。婚約者はそれでも、リリーの肩を持たず、リリーは国王に婚約破棄をして欲しいと直訴する。それ受け入れられ、リリーは清々した。婚約破棄が完全に決まった後、リリーは深夜に家を飛び出し笛を吹く。会いたかったビエントに会えた。過ごすうちもっと好きになる。必死で練習した飛行魔法とささやかな攻撃魔法を身につけ、リリーは今度は自分からビエントに会いに行こうと家出をして旅を始めた。旅の途中の魔物の森で魔物に襲われ、リリーは自分の未熟さに気付き、国営の騎士団に入り、魔物狩りを始めた。最終目的はダンジョンの攻略。悪役令嬢と魔物退治、ダンジョン攻略等を混ぜてみました。メインはリリーが王妃になるまでのシンデレラストーリーです。

【完結】使えない令嬢として一家から追放されたけど、あまりにも領民からの信頼が厚かったので逆転してざまぁしちゃいます

腕押のれん
ファンタジー
アメリスはマハス公国の八大領主の一つであるロナデシア家の三姉妹の次女として生まれるが、頭脳明晰な長女と愛想の上手い三女と比較されて母親から疎まれており、ついに追放されてしまう。しかしアメリスは取り柄のない自分にもできることをしなければならないという一心で領民たちに対し援助を熱心に行っていたので、領民からは非常に好かれていた。そのため追放された後に他国に置き去りにされてしまうものの、偶然以前助けたマハス公国出身のヨーデルと出会い助けられる。ここから彼女の逆転人生が始まっていくのであった! 私が死ぬまでには完結させます。 追記:最後まで書き終わったので、ここからはペース上げて投稿します。 追記2:ひとまず完結しました!

処理中です...