魔力∞を魔力0と勘違いされて追放されました

紗南

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朝食をとってると殿下がテントから出てきた。

「ん? 美味しそうなのを食してるな」

殿下にいわれ1つサンドウィッチを渡す。殿下は躊躇いもなく口にした。

「殿下、毒味を……」
「構わん。それにしても美味い。これは何処で手に入れた?」
「神の御加護です。ですが、レシピをザンド商会に売っております」
「ザンド商会だな。王都にもあるから行ってみよう」

王都にもザンド商会があるのね。Aランク商会だし色んなところにあるのかな。

食事が終わり出発となる。殿下たちともお別れかと思ったが次の街まで一緒にいくらしい。

お昼休憩の後、盗賊が出てきた。

殿下の護衛たちが前に出る。

「私はどうしたらいいの?」
「とりあえず捕縛かな? その後は王子たちが決めるよ」

ハルトさんに言われて出てきた盗賊を捕縛した。

「ティナ嬢、素晴らしい!」

護衛の1人に褒められ照れてしまう。護衛たちにその後を任せた。連れていくようで縄で縛り上げている。しゃべれないよう口轡もされていた。

「んー、んー!」
「んー、んー、んー!」

盗賊たちは何か言いたいのか一生懸命に訴えてるが、それを無視していく。盗賊たちの呻き声を聞きながら街へ向かった。

すると突然粗相をしだす。驚いて凝視した。

「あれは逃げたいがためにしているんだよ」
「……盗賊も必死なのですね」
「犯罪奴隷に落ちたら2度と自由にはなれないからね」

私の捕縛魔法は気力も奪うためそんなことはなかったが、これが本来の姿なのかもしれない。

粗相したことで臭いがしてくるので洗浄魔法をかけた。盗賊たちは悔しそうな顔をしている。そんなに嫌なら何故盗賊なんかになったのだろうか。冒険者登録して細々と生きていけばいいのに。

街に到着して殿下たちと別れる。

私たちは冒険者ギルドへと向かった。

「定期馬車の護衛で2,000ポイント、事後依頼で50,000ポイントで100,000ギルになります。ポイントはクリアとなりまして冒険者学園の卒業でBランクとなります」

事後依頼のポイントと金額に目眩がする。

「……凄いポイントですね」
「相手が王族だからね」
「ハルトさん、王族だとポイントがいいんですか?」
「王族や貴族はプライドが高いからその分ポイントや金額も高くなるんだよ」

これだけ払えると自慢してるのか。相手が相手でこちらも気を遣うし高くないとやってられないかもね。

「ティナちゃんが、Cランクだからこれくらいだけど、ランクが高くなればもっと沢山貰えるからね」
「貴族や王族の依頼はラッキーということですね」
「マナーを気をつけないといけないから、喜ぶ人は少ないけどね」

でも冒険者学園でマナーも教わるし、身につけちゃえばいいだけだと思う。

「さて、王都に行くけどポイント貯まっちゃったね」
「王都まで後どれくらいなのですか?」
「後、街を3つ過ぎれば王都だよ。まったりと行こうか」

そんな話をしていたらハルトさんがギルドに呼ばれて奥に入っていった。暫くして帰ってきたハルトさんは難しい顔をしている。

「どうした?」
「依頼が来たんだけど、僕では無理そうでね」
「ハルトでも無理な依頼か……」
「白百合の会のSSSランクの治癒魔術師でも失敗した依頼でね。解呪の依頼なんだけど、彼女でも無理なのに僕では尚更だよ。解呪は彼女のほうが専門だからね」
「断れなかったのか?」
「相手が相手でね」

ハルトさんは悩んだ挙句、私を見た。

「ティナちゃんならいけるかも?」
「私ですか?」

解呪なんてしたことないよ。

「ティナちゃん、規格外だしね」

提案してみるとハルトさんはギルドの奥に入っていた。その後に私も呼ばれシルたちと向かう。

「今回の依頼は王女殿下の解呪だ。誰がやっても失敗してるため今回は失敗時のペナルティーはない」
「ティナちゃんはポイントがすでに貯まってしまってるから、持ち越し出来ないかな? またはその分報酬をあげてほしい」
「もし、彼女が解呪できたら5,000,000ポイント、10,000,000ギルの報酬にする。Cランクだとこれが限界だ」

それでも十分です。持ち越し可能なら条件さえクリア出来ればAランクになれる。最速じゃないかしら。

私も依頼を受けることになり、王都へと早速向かうことになった。王女殿下の具合はかなり悪くらしく時間がないということ。夜も交代で魔導馬車を動かしての行軍になった。

その中で1つの魔力を感じた。

「待って!」

馬車を停めて降りる。並走していたのは銀色の虎だった。

猫だ。にゃんこ!!

「にゃんにゃん、どうしたのですか?」

しゃがんで手を伸ばすと恐る恐る近づいてきた。

『僕は銀虎、聖獣の1体です。どうか貴女の僕にしてください』
「私とお友達になりたいのですね! 大歓迎です!」

テイムを発動して契約する。

『名前を付けてください』
「銀色だからギン。ギンちゃん、よろしくお願いしますね」

抱きついてわしゃわしゃと撫でた。触り心地よくていつまでも撫でていられる。

「ティナちゃん、そろそろ……」

そうだ。今急ぎだった。

「ギンちゃん、どうしましょう。大きから馬車の中に入れないです」
『大丈夫だよ』

そう言ってギンちゃんは小さくなった。子猫サイズになり可愛さがアップしている。

「可愛いー!!」

子猫サイズのため私でも抱っこが出来た。馬車の中に入り膝の上におく。

「シル、ギンちゃん可愛いねー」
「ティナの方が可愛いぞ」

ギンちゃんの可愛さには負けるよ。

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