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本編
知識と魔法
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アーネから聞いて、日付という概念が初めて俺の中で生まれた。
ちなみに入試の日は四月八日の日曜だったらしい。
で、今は四月の二十日金曜日で、休みの前の日らしい。
七日で一週間、休みは二日か…森では毎日魔獣倒してたから、そんなこと考えた事もなかったわ…。
あれ、そう考えるとかなりやばく無い?
え、何がって。
『南下』の事。
えーっと、逆算すると、俺が《不動》と戦って寝込んでた日だから…。
五月の十一日か。
残り時間も結構減ってた。
まぁ、怪我して休んでた日も多かったしな。
「はい、で、他に聞きたいこととかはありますの?」
アーネがウンザリとした目でこっちを見てくる。
…いや、あんな環境下じゃ、中々常識とか身につかねぇから。
大貴族?ナニソレオイシイノ?
「えーっと、文字読めねぇし、それも簡単に教えて欲しいかな。あと、魔法。…あぁ、念のために戦闘に関しての常識とかか」
アーネが一気にやる気を無くしてくれやがりました。
「文字は致命的ですわね…まさか、それで魔獣についての講義以外すべて寝ていましたの!?」
「読めねぇからわかるわけねぇじゃん。俺がわかるのって言ったら、俺とナナキの名前ぐらいしか読めねぇよ」
ちなみに魔獣の講義は、その魔獣を先生がそこそこ上手く書いてたりしたから、わからんでもなかったし、先生より知識があるから正直、受けなくても支障は出ない気がする。
「…文字はまた今度教えるとしましょう。流石に一晩で身につくとも思えませんしね」
え?文字ってそんなに面倒だったのか。
「あとは…戦闘に関してですが、これはラウクムさんにでも聞いてくださいまし。流石に専門的なことはわかりませんの。ただ…そうですわね。貴女の戦技は見たこともないものばかりですわね」
…それは普通全部そうなんじゃねぇの?
戦技は一人ひとり、別のモノだってナナキに教わったけど。
まぁ、それは置いとくか。
「で、魔法ですわね。何から聞きたいんですの?」
「んーっと、そうだな。俺って魔法使えない体質らしいんだけど、具体的になんで?」
「貴女がそんな体質だって事を初めて聞いたんですけど…。ともかく、どんな体質ですの?」
「なんか、魔力が身体から離れないらしいんだよ。だからお前に魔力流し込む時、俺の血を飲ませたり循環させたりして、無理やり取り込ませたんだが」
言った途端、目の前を極太の炎が通り過ぎた。
「それ、誰かに漏らしたら殺しますからね?」
こっわ…背筋凍るわ…。
先生がその場にいたけど、あの衝撃でリセットされてることを願う。
「とりあえず、その体質なら、魔法の九割九分は使えませんわね」
「え?なんでだよ」
アーネがじっと俺を見る。
多分、眼を使って俺を見てるんだろ。
「魔法というのは、魔力を燃料に事象を書き換えたり、塗り替えたりする技術のことですのよ。例えば、今さっきの炎だと、手のひらから魔力を放出、それを炎と世界に認識させ、炎を顕現させるのですわ」
「…仮に俺がその炎を使ったら?」
「単純。体の内側から燃えて、苦痛に喘いでウェルダンですわ」
魔法は絶対に使わないと心に誓った。
「けどまぁ、魔力の質と量はいいですから、身体の外に魔力が出れば、恐らく中一級程度の魔法は簡単に使えますわよ。あくまで、外に出れば、の話ですけど」
「量はわかるけど、質ってのは?」
「簡単にいうと、魔力の濃度ですの。これが高いと、大量の魔力を消費する魔法でも、ある程度は軽くなりますし、威力も増します。あぁ、無詠唱の魔法を使う時も質が高い方が失敗しにくいですわね」
「…じゃあ」
こんな感じで、魔法についての事を聞き続けていっていたら、いつの間にか夜がふけていた。
得るものはかなり大きかったけど、俺には魔法はほぼ使えないってことしかわからなかった。
ユーリアとかアーネみたいな魔法使えたらカッコよかっただろうに…。
ちなみに入試の日は四月八日の日曜だったらしい。
で、今は四月の二十日金曜日で、休みの前の日らしい。
七日で一週間、休みは二日か…森では毎日魔獣倒してたから、そんなこと考えた事もなかったわ…。
あれ、そう考えるとかなりやばく無い?
え、何がって。
『南下』の事。
えーっと、逆算すると、俺が《不動》と戦って寝込んでた日だから…。
五月の十一日か。
残り時間も結構減ってた。
まぁ、怪我して休んでた日も多かったしな。
「はい、で、他に聞きたいこととかはありますの?」
アーネがウンザリとした目でこっちを見てくる。
…いや、あんな環境下じゃ、中々常識とか身につかねぇから。
大貴族?ナニソレオイシイノ?
「えーっと、文字読めねぇし、それも簡単に教えて欲しいかな。あと、魔法。…あぁ、念のために戦闘に関しての常識とかか」
アーネが一気にやる気を無くしてくれやがりました。
「文字は致命的ですわね…まさか、それで魔獣についての講義以外すべて寝ていましたの!?」
「読めねぇからわかるわけねぇじゃん。俺がわかるのって言ったら、俺とナナキの名前ぐらいしか読めねぇよ」
ちなみに魔獣の講義は、その魔獣を先生がそこそこ上手く書いてたりしたから、わからんでもなかったし、先生より知識があるから正直、受けなくても支障は出ない気がする。
「…文字はまた今度教えるとしましょう。流石に一晩で身につくとも思えませんしね」
え?文字ってそんなに面倒だったのか。
「あとは…戦闘に関してですが、これはラウクムさんにでも聞いてくださいまし。流石に専門的なことはわかりませんの。ただ…そうですわね。貴女の戦技は見たこともないものばかりですわね」
…それは普通全部そうなんじゃねぇの?
戦技は一人ひとり、別のモノだってナナキに教わったけど。
まぁ、それは置いとくか。
「で、魔法ですわね。何から聞きたいんですの?」
「んーっと、そうだな。俺って魔法使えない体質らしいんだけど、具体的になんで?」
「貴女がそんな体質だって事を初めて聞いたんですけど…。ともかく、どんな体質ですの?」
「なんか、魔力が身体から離れないらしいんだよ。だからお前に魔力流し込む時、俺の血を飲ませたり循環させたりして、無理やり取り込ませたんだが」
言った途端、目の前を極太の炎が通り過ぎた。
「それ、誰かに漏らしたら殺しますからね?」
こっわ…背筋凍るわ…。
先生がその場にいたけど、あの衝撃でリセットされてることを願う。
「とりあえず、その体質なら、魔法の九割九分は使えませんわね」
「え?なんでだよ」
アーネがじっと俺を見る。
多分、眼を使って俺を見てるんだろ。
「魔法というのは、魔力を燃料に事象を書き換えたり、塗り替えたりする技術のことですのよ。例えば、今さっきの炎だと、手のひらから魔力を放出、それを炎と世界に認識させ、炎を顕現させるのですわ」
「…仮に俺がその炎を使ったら?」
「単純。体の内側から燃えて、苦痛に喘いでウェルダンですわ」
魔法は絶対に使わないと心に誓った。
「けどまぁ、魔力の質と量はいいですから、身体の外に魔力が出れば、恐らく中一級程度の魔法は簡単に使えますわよ。あくまで、外に出れば、の話ですけど」
「量はわかるけど、質ってのは?」
「簡単にいうと、魔力の濃度ですの。これが高いと、大量の魔力を消費する魔法でも、ある程度は軽くなりますし、威力も増します。あぁ、無詠唱の魔法を使う時も質が高い方が失敗しにくいですわね」
「…じゃあ」
こんな感じで、魔法についての事を聞き続けていっていたら、いつの間にか夜がふけていた。
得るものはかなり大きかったけど、俺には魔法はほぼ使えないってことしかわからなかった。
ユーリアとかアーネみたいな魔法使えたらカッコよかっただろうに…。
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