異世界で俺はチーター

田中 歩

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{第四十九話} 伝説の夏休み

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「では、私はショウさん達を探してきます」

「その格好でですか?」
「せっかくのドレスが汚れてしまうかもしれません」
スカートの部分は王妃達の物に比べ短く動きやすいは物の、汚れる可能性は変わり無い。

「そうですね、着替えます」

「着替えるのですか?」
「時間が掛かりますよ?」
ドレスだ、普通の服に比べて脱ぐのも着るのも時間は掛かるに決まっている。

「大丈夫です」
そう言うとネラは少し開けたスペースに立った。

「何を?」
足元に魔法陣が現れネラの体が光に包まれ、その光が消えるとさっきのスーツ姿に戻っていた。

「あら?先程の「スーツ」に一瞬で」
「ここに脱いで置いてあったはず...」
王妃がスーツが置いてあった方を見ると、スーツは跡形もなく消えていた。
代わりにさっきのドレスが置かれていた。

「これで探しにいけます」

「このドレスはどうするのですか?」

「先程の様に一瞬で着替えられるので、そこに置いておいて下さい」
そう言い、ネラはスーツ姿で書斎に向かった。

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一方、もう一つの書斎では...

大きなソファーに3人で座り、机の上にお菓子やジュースを並べ、アニメ鑑賞をしていた。
「おじさんがドクペを持っていると言う事は、さっきまで...?」

「良く分かったな」

「だって、白衣も着てるし」

「さすが、俺が見込んだだけはある!」

「そういえば、あそこの本棚に入っているラノベはアレが全部?」

「んなわけ」

「ですよね~」
「残りは?」

「この下の地下にラノベ専用の部屋がある」

「マジで...」

「あそこのエレベーターからいけるぞ」
おじさんの指押さす方向の壁にはたしかに鉄の扉とその横の壁にボタンがあった。

「じゃあ、この部屋のラノベは何なの?」

「ここに持って来て取り合えずあそこに置いた感じ?」

「なるほど、めんどくさいかったんだな」

「そゆこと」
そこにネラが登場。

「マスター、京一様、国王様、ここで何を?」

「エンドレスな...」
「夏休みを...」
「見ていました...」
何故か全員ネラの前で床に正座。

「何故このタイミングなんですか?」
「忙しい人のためのでも良かったでしょう?」
「最悪、36秒で分かるでも...」

「俺は服装、スタイル、カメラワークとかの違いを毎回毎回見たかったんです」
「オレは8回分の毎回違う主人公の声優さんのアドリブを見たかったんです」
「私は当時、地獄と言われた物をこの目で見たかったんです」

「わかりました、みなさんの作品に対する熱意は伝わりました」
「しかし、もう夜のパーティーの準備をする時間です」
「マスターはそれを伝えるためにここに来たのではないですか?」

「そうです、すいません」

「なんで、一緒になってアニメを見ているんですか?」

「つ、つい...ね?」

「困ったものですね」
「では、行きましょう」

「え~」
「見たかったな...」
「私は別に...」

「なにか?」
怖い!顔は笑ってたけど目が笑ってなかったよ?

渋々机の上のお菓子やジュースを片付け、テレビを消した。

 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ 

姫様達と建物の前で王とおじさんを待っていると、豪華な白い綺麗な馬がひく馬車2台がやって来た。
これで、城に行くという事だろう。
そこへ、着替えた王とおじさんが建物から出て来た。

「あれ?おじさんのスーツ、さっきと違くない?」
色は黒のままだが、ジャケットの下にベストが見える。

「3ピースにしてみた、さっきより高級感があるだろ?」

「たしかに...」
「オレも着替えようかn...」

「さて、行こうか!」
おじさんは馬車の方へ行ってしまった。

「最低だよ!w」

「だって、なれない物を着るものじゃないぞ?」
「そのスーツだってやっと慣れてきたところだろ?」

「それも、そうか...」
オレが馬車に乗ると姫様達がもう乗っていた。
1台目におじさんと王とオレ、2台目に姫様と王妃とネラ。
何で男3人で...

「何故、この分け方なんだ?」
そんな事を馬車の車窓から外の夜の町並みのを眺めながらつぶやいた。

「なんとなく?」

「ほう...?」

「あっちは、ネラ殿が居るから問題ないだろう」

「そりゃあ、まぁ...」

「さて、さっきのアニメの件だが...」

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一方、ネラ達の馬車は...

「ネラさんとショウさんの関係について聞いていませんでしたね」
「どういった関係なんですか?」

「...」
(どうしましょう?マスターに相談したいのですが、この状況ではそういうわけにも...)

「私も気になります!」
(お姫様まで興味を持ち始めてしまいました...)

「そうですね「友人」でしょうか?」
(流石に「メイド」と答えるわけには行きません)

「友人ですか...」
「なるほどwフフッ」
(王妃様は読めないお方です)

「友人だったのですね!」
(お姫様はモヤモヤが解決してスッキリしたご様子...)

「ネラさんから私達に聞きたいことはありますか?」

「そうですね...」
「では、王妃様と国王様の出会いについてお聞きしても?」

「アノ人との出会いですか...」
「分かりました、話しましょう」

「そう言えば、私もお母様とお父様の出会い話は聞いたこと無かったですね」

「そうでしたね」
「では、お二人にお話しましょう...」

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一方、オレ達の馬車は...

「やっぱ、髪は短い方がいいな~」

「私は長い方がいいな」

「オレはその人にあっている髪型なら特に好みは...」
「そう言えば、王妃は髪が金色で長くて綺麗だよな」

「羨ましいよな、本当」
「俺のお陰でって言う面もあるけどなw」

「いやいやw」
「私には勿体無い限りでw」

「王はもともとは貴族では無かったんだろ?」

「ああ、私はもとは平民だ」

「王妃は?」

「平民...?いや、貧民かもしれないな...」

「貧民?それは、どういう?」

「それは...」
「話すとしよう」
「私と妻との出会い話を...」
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