異世界で俺はチーター

田中 歩

文字の大きさ
108 / 124

{第百六話} ブラックコンベンション

しおりを挟む
「菊田昌。ここにはもう菊田京一はもういない。返して欲しければ「BC」に出場して優勝しろ」
おじさんは馬車に乗せられ、何処かにつれてかれていた。
声の主はガウスであったが、今の昌達は知る由も無い。
「BCってなんだ」
「説明します「ブラックコンベンション」通称「BC」はバラクスのスラム外街で開催される1対1バトルトーナメント大会です。ルールとしては、基本的に何でもあり。重傷者が後を絶たず、過去には死者が出た事もあります」
ネラの細かい説明でBCの概要を理解した。
つまり、ヤツらはその大会のバトル中にGOSを奪う事が目的だろうと、簡単に推測できる。
BCに出場するのは、相手からすればカモがネギを背負ってやってくると言ってもいいだろう。
なにせ、この大会で昌を倒せれば主目的であるGOSを手に入れられるた上に、邪魔者である昌を始末できる。
戦闘を長期化させれば動力源の魔力を失ってネラとネイやミイも倒す事が出来てしまうかもしれない。
たとえそうだとしても、昌達にそれ以外の選択肢は無かった。
さてどうしようかと考えていると、床の金属板を持ち上げてブルーキャッツのマスター「エイム」が出てきた。
「あれ?エイムさん?」
床下から出てきて、辺りを見回してキズだらけの床や壁、大きなコンテナに押しつぶされたフロストを見て状況をを把握して口を開いた。
「無茶しやがって」
「地下通路なんで便利な物があるなら、わざわざ正面から入る必要は無かったじゃない」
エイムが出てきた地下通路を見てネイが言った。
そんな昌達に「帰るぞ」と言いい、地下通路の置くへ歩いていったエイムの後を昌達は付いて工場から出た。

 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ 

帝都の中心街に向かう馬車の中。
「どうして私たちがあの工場に居る事が分かったのですか」
ネラの質問は昌も気になっていた物だった。
「実はあの工場に設置された監視カメラの映像を俺達は見れる状況にあるんだ。その映像に君たちが映っていた」
ソアリンは監視カメラの映像が映されたデバイスの画面を昌達に見せて説明した。
「そういうことか。でも、おじさんがあそこに捕まっていたんだ」
昌は固く拳を握っていた。
「知っている。我々もその情報は得ていた」
「ならなんで教えてくれなかったんだ!」
おじさんを助けられなかった悔しさと早く助けないといけない焦り、肩に自分で載せて重くしていったプレッシャーによって追い詰められていた昌はつい、大声を上げてしまった。
「万全な作戦を立てた上で救出しようと考えていたんだ。気持ちはわかる、だからこそ教えられなかったんだ。京一同様君たちも大事だ。むやみに危険な目にあわすわけにはいかない」
声を上げた昌に対し、ソアリンは落ち着いた声で丁寧に説明した。
昌も馬鹿では無いため、ソアリンの考えは理解していたが納得しきれなかった。
「何故京一様の監禁場所にあの工場が使われていたんですか」
「ルキャメラとオイラーは裏でつながっているんだ」
ソアリンの話に驚きつつ、昌はフロストを倒した後に聞いた話をソアリンに話した。
「そういえば、さっきの倉庫で「おじさんを助けたければブラックコンベンションに出場して優勝しろ」って」
「何!?」
ソアリンとエイムは「ブラックコンペクション」という単語に反応した。

 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ 

おじさんを乗せた馬車の中
「彼は中々やりますね。しかし、どこまで理解しているのか」
ガウスは隣に座らせている京一に話しかけた。
「俺は昌を信じている。アイツは俺の気持ちをわかってくれるだろう」
馬車の窓から帝都の様子を見ていたが、ガウスの発言に対して目を見て反論した。

 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ 

大きな屋敷の一室、長方形で長い机の端と端に座って食事をしている2人の姿があった。
1人は昌と同い年位の少年がステーキを食べていた。
そんな少年と向かい合って座っている男は、あの「国王暗殺計画」を目論んだペックスだった。
2人で食事するには持て余す広さの部屋だ。
「明日から帝都で過ごすんだったな。不安かな」
「心配ありません、おじい様」
「そうか」
少年の発言に満足げなペックスだった。

 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ 

無事に家に帰った昌だったが、激しい戦闘で体中に痛みがあった。
夕食は面倒だった為、一人で適当に済ませた。
痣や擦り傷、切り傷が沢山あったが、昌は風呂を沸かし入浴剤を入れた湯舟に浸かった。
昌は浴槽の中で瞼がゆっくりと下がってきているのに気づいていたが「まぁいいか」とあらがう事はなかった。
体は洗ったし、あとは風呂を上がって寝るだけで面倒だった事もあったが、今日の疲れが大きかった。

昌は久しぶりに夢を見た。
夢の中で昌に父が話しかけてきた。
父の顔を見るのが久しぶりだった昌は、話をしたくなった。
昌にとって父は正しく尊敬できる大人の1人だった為、今回のおじさんの件を相談したが、父ははっきりと物を言う人ではなかったため、夢の中でも昌の相談にははっきりとしないあやふやな答え方をした。
「どうすればいいと思う?」
「馬鹿じゃね」
と笑っていなくなってしまった。
父は間違った事に対してはしっかりと否定したが何が正しいかは言わない人だったため、否定されなかったという事は少し面倒くさかったり非効率な方法でその問題に立ち向かっているのかも知れないが、間違ってはいない事がわかり、昌は少し肩が軽くなった気がした。
そこで夢の世界で解き放たれ目が覚めた。

目を覚ました昌がいたのは風呂場の浴室の中ではなく、自室のベットの上だった。
ゆっくりと体を起こすと、枕元にネイが立っていた。
「大丈夫?用があって部屋を訪ねたんだけど、お風呂に入っていたからしばらく待っていたの。でも、ずっと入っているから心配になって様子を覗くとのぼせてしまっていたのよ。だから体を拭いて服を着せてベットまで連れっていったんだから。大変だったのよ」
自分の体を見ると下着を着ていた。
それはつまり、ネイに裸を見られたという事だ。
恥ずかしくなって、顔を赤くした昌を見てネイは笑った。
「立派だったわよ」
そんなコメントは求めてないと、昌の顔は更に赤くなったが、お風呂でのぼせたせいにして、布団をかぶって寝てしまった。
ネイは昌の様子を枕元で見守り、眠りについたのを確認して昌の額にキスした。
「おやすみなさい。マスターは優しいわね、ありがとう。ごめんなさい」
と部屋を出て行った。
眠りがまだ浅かった昌は目が覚めてしまい、更に顔が赤くなってそこからしばらく眠れなかった。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

最強無敗の少年は影を従え全てを制す

ユースケ
ファンタジー
不慮の事故により死んでしまった大学生のカズトは、異世界に転生した。 産まれ落ちた家は田舎に位置する辺境伯。 カズトもといリュートはその家系の長男として、日々貴族としての教養と常識を身に付けていく。 しかし彼の力は生まれながらにして最強。 そんな彼が巻き起こす騒動は、常識を越えたものばかりで……。

木を叩いただけでレベルアップ⁉︎生まれついての豪運さんの豪快無敵な冒険譚!

神崎あら
ファンタジー
運動も勉強も特に秀でていないがめっちゃ運が良い、ただそれだけのオルクスは15歳になり冒険者としてクエストに挑む。 そこで彼は予想だにしない出来事に遭遇する。 これは初期ステータスを運だけに全振りしたオルクスの豪運冒険譚である。  

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

クラス転移したら種族が変化してたけどとりあえず生きる

アルカス
ファンタジー
16歳になったばかりの高校2年の主人公。 でも、主人公は昔から体が弱くなかなか学校に通えなかった。 でも学校には、行っても俺に声をかけてくれる親友はいた。 その日も体の調子が良くなり、親友と久しぶりの学校に行きHRが終わり先生が出ていったとき、クラスが眩しい光に包まれた。 そして僕は一人、違う場所に飛ばされいた。

異世界ビルメン~清掃スキルで召喚された俺、役立たずと蔑まれ投獄されたが、実は光の女神の使徒でした~

松永 恭
ファンタジー
三十三歳のビルメン、白石恭真(しらいし きょうま)。 異世界に召喚されたが、与えられたスキルは「清掃」。 「役立たず」と蔑まれ、牢獄に放り込まれる。 だがモップひと振りで汚れも瘴気も消す“浄化スキル”は規格外。 牢獄を光で満たした結果、強制釈放されることに。 やがて彼は知らされる。 その力は偶然ではなく、光の女神に選ばれし“使徒”の証だと――。 金髪エルフやクセ者たちと繰り広げる、 戦闘より掃除が多い異世界ライフ。 ──これは、汚れと戦いながら世界を救う、 笑えて、ときにシリアスなおじさん清掃員の奮闘記である。

高校生の俺、異世界転移していきなり追放されるが、じつは最強魔法使い。可愛い看板娘がいる宿屋に拾われたのでもう戻りません

下昴しん
ファンタジー
高校生のタクトは部活帰りに突然異世界へ転移してしまう。 横柄な態度の王から、魔法使いはいらんわ、城から出ていけと言われ、いきなり無職になったタクト。 偶然会った宿屋の店長トロに仕事をもらい、看板娘のマロンと一緒に宿と食堂を手伝うことに。 すると突然、客の兵士が暴れだし宿はメチャクチャになる。 兵士に殴り飛ばされるトロとマロン。 この世界の魔法は、生活で利用する程度の威力しかなく、とても弱い。 しかし──タクトの魔法は人並み外れて、無法者も脳筋男もひれ伏すほど強かった。

SSSレア・スライムに転生した魚屋さん ~戦うつもりはないけど、どんどん強くなる~

草笛あたる(乱暴)
ファンタジー
転生したらスライムの突然変異だった。 レアらしくて、成長が異常に早いよ。 せっかくだから、自分の特技を活かして、日本の魚屋技術を異世界に広めたいな。 出刃包丁がない世界だったので、スライムの体内で作ったら、名刀に仕上がっちゃった。

修復スキルで無限魔法!?

lion
ファンタジー
死んで転生、よくある話。でももらったスキルがいまいち微妙……。それなら工夫してなんとかするしかないじゃない!

処理中です...