after the rain

ノデミチ

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2. 強引だったかな?

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 強引だったかな?

 ふと、思い出し笑いを浮かべてた。

 アタシの名は金井文香。
 仲間…ってか、クラスの男子からはカナブンって呼ばれてる。女子の殆どからはフミカで、ブンちゃんって呼ぶ子もいる。

 その他大勢みたいな小さな昆虫の名前。
 でも、小学生の頃から呼ばれてたあだ名。そこそこ愛着も出ようというモノ。まぁ、んな事どうでもいいか。

 アタシは今、開南同じ高校で同級生同じクラスの男子、亀沢孝矢カメの家に転がり込んでる。

 理由は至って単純シンプル
 学校帰り用事があって帰宅が遅れ、結果、線状降水帯?って土砂降りヤツにあってびしょ濡れになってしまって。7月、梅雨も明けたってのに駅まで行く事も困難キビシー豪雨。
 住宅街のこの辺にはビジホは勿論、マンガ喫茶やファミレスも無くて。コンビニで雨宿り、止む気配なくて状況好転しそうにない。

 アタシんちは母子家庭。
 で、ママは今日、泊まりの仕事って言ってた。

 女性トラックドライバー。
 月一シフトの長距離輸送番。高速のSAで車中泊コースなんだとか。

 現在地ココからウチまでは1駅あって。
 この辺~北中校区からウチの高校へ通うヤツは殆どいなくて。大概地元の北高や中心街の明成高。

 新設校…まぁ、開校4年目でこの春初の卒業生が出た開南高に通うのは、中心街の明中や南中の子が多いんだ。
 そんなこんなで、アタシはマジで途方にくれてた。
 そこへ、スクーターでびしょ濡れになりながらやって来た少年がいて。

「カメ?」
「あれ?カナブン?何でまた、こんなトコに」

 天の助けって、マジ思った。

 亀沢カメは、北中校区この辺じゃ珍しい開南高生で、しかも同じクラス。殆ど話す機会コトなんて無いけど、クラスメートとしての挨拶や日常会話位はあるし。

「助かりィ!ね、今晩泊めて‼︎」
「は?」
「びしょ濡れの女の子をほっとく?クラスメート相手に冷たくない?」

 しれっと媚びる。
 雨に濡れた制服が肌に張り付いて、ちょい気持ち悪いけど、コレってそそらない?下着も透けてるし。

 自慢じゃないけど、アタシの胸はデカい方だ。

 肩こりや、やな視線の素でしかないこの胸は、少なくとも男子に媚びる時には最大の武器になる。

「家帰れ…、そうか、金井さん、今日シフト」

 亀沢カメはママとおんなじ、兎波運送ラビッツ・カーゴでバイトしてる。自転車チャリ便から二輪バイク便に今月から変わったって言ってた。

 つまり、ママの仕事仲間。
 アタシなんかより、ママはカメの為人に信を持ってると思える位、カメの仕事振りを絶賛してる。

「あぁいう子が文香の彼氏だったら、お母さん、安心なんだけどなぁー。でも、向こうにも選ぶ権利があるか」

 ほっとけ。

 でも、…ならカメんちに泊まったって言ってもママは文句言わないだろ。

「…仕方ない…か。お巡り、いない事祈ってくれ。あ、夜メシ買うから待ってて…、カナブンもメシ、まだだよな?」
「まだだけど、なんならアタシ作ろうか?」
「冷蔵庫に大したモン無いから、何食う?」
「いや、流石に自分で買うから」

 パスタと飲み物買うと、カメは自分の被ってたヘルメットを渡す。

「マジ?」
「お巡りに遭わない様祈ってくれ」

 アタシはよく知らないんだけど、カメのスクーターは50cc原チャじゃなくて125ccだって。アクセでピンクのナンバー付けてるって思ってたから。後ろの△も変な模様って感じだったし。

 幸い、お巡りさんには遭わなかった。
 まぁ、小雨程度とはいえ、またまたびしょ濡れになってしまったけど。

 カメんちは、ちょい郊外にあるアパート。
 勿論、オートロックマンションとかじゃない。

「すぐ、フロ沸かすから」

 カメは、帰るなりフロを洗うとスイッチを入れた。「お湯貼りします」電子音が響き、お湯が出てくる。

「結構いい部屋じゃん」

 割と広めの2LDK。確か一人暮らしの筈。
 ご両親、事故で亡くなったって。

 中2の時その当時もカメとはクラスメートで、アタシは委員長カズミの付き添いで、忌引休みのカメにプリントとか持って行ったりもした。その頃は一軒家だったと思う。

「バスタオル、コレな。で、Tシャツとハーフパンツ。新品だから」

 アタシに気を遣って、カメは新しい服を持って来てくれた。

「Tシャツ…、彼シャツ…、うん」

 強引ついで?
 お礼が、決まった。

 


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