30 / 135
兄弟の優しい時間~柊side~
1
しおりを挟む
「樹、悪い。今から部屋に寄っていい?」
「ああ、いいよ」
柚葉を送り届けた後、樹のマンションの地下駐車場に車を止めて、僕達は部屋に向かった。
ここは会社からも近いし、周りの環境も良く、かなり静かだ。
部屋の広さも申し分ない。窓も大きく、カーテンを開けると開放感があって心地良かった。
アメリカの狭いアパートで、質素に暮らしていた樹。日本では少しでも快適に過ごしてほしいとの思いがあってここを契約した。
家賃は自分で払うと譲らない樹に、それは任せることにした。もちろん、お金は嫌というほど持ってるだろう。
「部屋の家具とか、いろいろ揃えてくれて助かる」
「そんなの気にしなくていいよ。自由に使って。まだダンボールとかあるんだね、片付け手伝おうか?」
部屋の片隅に、先に送られていたダンボールが2、3個、無造作に置かれていた。
「このくらい後でやるからいいよ。それより座ったら?」
樹はそう言って、冷蔵庫から飲み物を出してくれた。
「お茶だけど。夕方コンビニで買った。近くにあるから便利だな」
「ああ、ありがとう。悪いな、明日から仕事なのに」
「柊は毎日仕事だろ。大丈夫か、体。気をつけろよ。お前、俺とは違って無理するタイプだからな」
ペットボトルのフタを開けて、お茶を1口飲んでから僕は答えた。
「無理はしてないよ。たぶん仕事が好きなんだろうね。苦にならないっていうか、お金もいくらあっても困らないしね」
「そんなにお金って必要か?」
「お金は大事だろ? 好きな女性がいても、お金が無ければ、結局、幸せにはできない」
「……それが柊の考え方なら、まあそれもいい。あのさ……柚葉って、本当にお前のフィアンセとしてふさわしいのか?」
「樹は、柚葉が嫌いなの?」
「別に……。ただ、柊には幸せになってもらいたいからさ」
樹の何気ない言葉が深く響いた。
同じだよ……
僕だって、樹には絶対に幸せになってもらいたいと心から思ってる。
「ああ、いいよ」
柚葉を送り届けた後、樹のマンションの地下駐車場に車を止めて、僕達は部屋に向かった。
ここは会社からも近いし、周りの環境も良く、かなり静かだ。
部屋の広さも申し分ない。窓も大きく、カーテンを開けると開放感があって心地良かった。
アメリカの狭いアパートで、質素に暮らしていた樹。日本では少しでも快適に過ごしてほしいとの思いがあってここを契約した。
家賃は自分で払うと譲らない樹に、それは任せることにした。もちろん、お金は嫌というほど持ってるだろう。
「部屋の家具とか、いろいろ揃えてくれて助かる」
「そんなの気にしなくていいよ。自由に使って。まだダンボールとかあるんだね、片付け手伝おうか?」
部屋の片隅に、先に送られていたダンボールが2、3個、無造作に置かれていた。
「このくらい後でやるからいいよ。それより座ったら?」
樹はそう言って、冷蔵庫から飲み物を出してくれた。
「お茶だけど。夕方コンビニで買った。近くにあるから便利だな」
「ああ、ありがとう。悪いな、明日から仕事なのに」
「柊は毎日仕事だろ。大丈夫か、体。気をつけろよ。お前、俺とは違って無理するタイプだからな」
ペットボトルのフタを開けて、お茶を1口飲んでから僕は答えた。
「無理はしてないよ。たぶん仕事が好きなんだろうね。苦にならないっていうか、お金もいくらあっても困らないしね」
「そんなにお金って必要か?」
「お金は大事だろ? 好きな女性がいても、お金が無ければ、結局、幸せにはできない」
「……それが柊の考え方なら、まあそれもいい。あのさ……柚葉って、本当にお前のフィアンセとしてふさわしいのか?」
「樹は、柚葉が嫌いなの?」
「別に……。ただ、柊には幸せになってもらいたいからさ」
樹の何気ない言葉が深く響いた。
同じだよ……
僕だって、樹には絶対に幸せになってもらいたいと心から思ってる。
1
あなたにおすすめの小説
黒瀬部長は部下を溺愛したい
桐生桜
恋愛
イケメン上司の黒瀬部長は営業部のエース。
人にも自分にも厳しくちょっぴり怖い……けど!
好きな人にはとことん尽くして甘やかしたい、愛でたい……の溺愛体質。
部下である白石莉央はその溺愛を一心に受け、とことん愛される。
スパダリ鬼上司×新人OLのイチャラブストーリーを一話ショートに。
Blue Bird ―初恋の人に再会したのに奔放な同級生が甘すぎるっ‼【完結】
remo
恋愛
「…溶けろよ」 甘く響くかすれた声と奔放な舌にどこまでも落とされた。
本宮 のい。新社会人1年目。
永遠に出来そうもない彼氏を夢見つつ、目の前の仕事に奮闘中。
なんだけど。
青井 奏。
高校時代の同級生に再会した。 と思う間もなく、
和泉 碧。
初恋の相手らしき人も現れた。
幸せの青い鳥は一体どこに。
【完結】 ありがとうございました‼︎
今さらやり直しは出来ません
mock
恋愛
3年付き合った斉藤翔平からプロポーズを受けれるかもと心弾ませた小泉彩だったが、当日仕事でどうしても行けないと断りのメールが入り意気消沈してしまう。
落胆しつつ帰る道中、送り主である彼が見知らぬ女性と歩く姿を目撃し、いてもたってもいられず後を追うと二人はさっきまで自身が待っていたホテルへと入っていく。
そんなある日、夢に出てきた高木健人との再会を果たした彩の運命は少しずつ変わっていき……
ダイヤの首輪─先生の歪んだ愛に囚われて─
七転び八起き
恋愛
優しい先生は作り物だった。でも私は本当の先生に本気で恋をした。
◇ ◇ ◇
<完結作品です>
大学生の水島白乃は、卒業した母校を訪れた際に、高校時代の担任・夏雄先生と再会する。
高校時代、白乃は先生に密かな想いを抱いていたが、一度も気持ちを伝えることができなかった。しかし再会した先生は、白乃が覚えていた優しい教師とは違う一面を見せ始める。
「俺はずっと見ていたよ」
先生の言葉に戸惑いながらも、白乃は次第に彼の危険な魅力に引き込まれていく。
支配的で時に優しく、時に冷酷な先生。恐怖と愛情の境界線で揺れ動く白乃。
二人の歪んだ恋愛関係の行き着く先は──
教師と元教え子という立場を超えた、危険で複雑な愛の物語。
俺様上司に今宵も激しく求められる。
美凪ましろ
恋愛
鉄面皮。無表情。一ミリも笑わない男。
蒔田一臣、あたしのひとつうえの上司。
ことあるごとに厳しくあたしを指導する、目の上のたんこぶみたいな男――だったはずが。
「おまえの顔、えっろい」
神様仏様どうしてあたしはこの男に今宵も激しく愛しこまれているのでしょう。
――2000年代初頭、IT系企業で懸命に働く新卒女子×厳しめの俺様男子との恋物語。
**2026.01.02start~2026.01.17end**
6年分の遠回り~いまなら好きって言えるかも~
霧内杳/眼鏡のさきっぽ
恋愛
私の身体を揺らす彼を、下から見ていた。
まさかあの彼と、こんな関係になるなんて思いもしない。
今日は同期飲み会だった。
後輩のミスで行けたのは本当に最後。
飲み足りないという私に彼は付き合ってくれた。
彼とは入社当時、部署は違ったが同じ仕事に携わっていた。
きっとあの頃のわたしは、彼が好きだったんだと思う。
けれど仕事で負けたくないなんて私のちっぽけなプライドのせいで、その一線は越えられなかった。
でも、あれから変わった私なら……。
******
2021/05/29 公開
******
表紙 いもこは妹pixivID:11163077
【完結】退職を伝えたら、無愛想な上司に囲われました〜逃げられると思ったのが間違いでした〜
来栖れいな
恋愛
逃げたかったのは、
疲れきった日々と、叶うはずのない憧れ――のはずだった。
無愛想で冷静な上司・東條崇雅。
その背中に、ただ静かに憧れを抱きながら、
仕事の重圧と、自分の想いの行き場に限界を感じて、私は退職を申し出た。
けれど――
そこから、彼の態度は変わり始めた。
苦手な仕事から外され、
負担を減らされ、
静かに、けれど確実に囲い込まれていく私。
「辞めるのは認めない」
そんな言葉すらないのに、
無言の圧力と、不器用な優しさが、私を縛りつけていく。
これは愛?
それともただの執着?
じれじれと、甘く、不器用に。
二人の距離は、静かに、でも確かに近づいていく――。
無愛想な上司に、心ごと囲い込まれる、じれじれ溺愛・執着オフィスラブ。
※この物語はフィクションです。
登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。
あなたがいなくなった後 〜シングルマザーになった途端、義弟から愛され始めました〜
瀬崎由美
恋愛
石橋優香は夫大輝との子供を出産したばかりの二十七歳の専業主婦。三歳歳上の大輝とは大学時代のサークルの先輩後輩で、卒業後に再会したのがキッカケで付き合い始めて結婚した。
まだ生後一か月の息子を手探りで育てて、寝不足の日々。朝、いつもと同じように仕事へと送り出した夫は職場での事故で帰らぬ人となる。乳児を抱えシングルマザーとなってしまった優香のことを支えてくれたのは、夫の弟である宏樹だった。二歳年上で公認会計士である宏樹は優香に変わって葬儀やその他を取り仕切ってくれ、事あるごとに家の様子を見にきて、二人のことを気に掛けてくれていた。
息子の為にと自立を考えた優香は、働きに出ることを考える。それを知った宏樹は自分の経営する会計事務所に勤めることを勧めてくれる。陽太が保育園に入れることができる月齢になって義弟のオフィスで働き始めてしばらく、宏樹の不在時に彼の元カノだと名乗る女性が訪れて来、宏樹へと復縁を迫ってくる。宏樹から断られて逆切れした元カノによって、彼が優香のことをずっと想い続けていたことを暴露されてしまう。
あっさりと認めた宏樹は、「今は兄貴の代役でもいい」そういって、優香の傍にいたいと願った。
夫とは真逆のタイプの宏樹だったが、優しく支えてくれるところは同じで……
夫のことを想い続けるも、義弟のことも完全には拒絶することができない優香。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる