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あなたの優しさに甘えて
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ようやく視線を外し、樹さんは前を向いて歩き出した。
どうしよう……
体が熱くてドキドキする。
何とか呼吸を整えようとしても、心臓の鼓動がなかなか治まらない。
横にいる樹さんの顔も、恥ずかしくて全く見れなかった。別に付き合ってるわけでもないのに、なぜこんなにも動揺しているのか、自分でもよくわからない。
やっと駅に着き、切符を買って電車に乗り込んだ。
樹さんは、わざわざ私の最寄り駅まで一緒に来てくれた。
「今日はありがとうございました。また明日、会社で」
「ああ、また明日。あのさ……」
私は、その先の言葉を待った。
「いや、いい。今日はゆっくり休め。明日からもプロジェクト頼む」
改札をくぐって、後ろも振り向かずに帰ってしまった。
樹さんが何を言いかけたのか、知りたい気持ちはあったけど……
彼女でもない私には、しつこく聞くことはできなかった。
ミルクティーを入れ、ホッと一息ついたら、自然に今日のことが思い出された。
本当に、今日は1日、すごく充実した時間を過ごせた。
楽しかったし、ドキドキしたし、笑ったり、喜んだり……
喜怒哀楽が入り乱れた、とても不思議な日になった。
でも……
一緒にいたのは、柊君じゃない。
私のことを、ただ同情してくれてる樹さんだ。
ダメだな、1人になるとすぐに柊君のことが頭に浮かぶ。
良い思い出ばかりが蘇ってきて。
柊君とは別れたんだって、どうしようもないんだって、仕方ないんだって……
何度も自分に言い聞かせてるのに。
今日、結婚式だったこと、柊君は今頃どう感じてるんだろう。
私は、スマートフォンを手に取った。
衣装合わせの時に撮った、世界でたった1枚だけの、柊君と私のウェディングフォト。
見たくないと思いながら、その写真を開いてしまった。
恥ずかしそうに微笑む私が痛々しく思える。
「この綺麗なドレス、もう二度と着ることはないんだ……。柊君……かっこ良過ぎるよ……」
どうしよう……
体が熱くてドキドキする。
何とか呼吸を整えようとしても、心臓の鼓動がなかなか治まらない。
横にいる樹さんの顔も、恥ずかしくて全く見れなかった。別に付き合ってるわけでもないのに、なぜこんなにも動揺しているのか、自分でもよくわからない。
やっと駅に着き、切符を買って電車に乗り込んだ。
樹さんは、わざわざ私の最寄り駅まで一緒に来てくれた。
「今日はありがとうございました。また明日、会社で」
「ああ、また明日。あのさ……」
私は、その先の言葉を待った。
「いや、いい。今日はゆっくり休め。明日からもプロジェクト頼む」
改札をくぐって、後ろも振り向かずに帰ってしまった。
樹さんが何を言いかけたのか、知りたい気持ちはあったけど……
彼女でもない私には、しつこく聞くことはできなかった。
ミルクティーを入れ、ホッと一息ついたら、自然に今日のことが思い出された。
本当に、今日は1日、すごく充実した時間を過ごせた。
楽しかったし、ドキドキしたし、笑ったり、喜んだり……
喜怒哀楽が入り乱れた、とても不思議な日になった。
でも……
一緒にいたのは、柊君じゃない。
私のことを、ただ同情してくれてる樹さんだ。
ダメだな、1人になるとすぐに柊君のことが頭に浮かぶ。
良い思い出ばかりが蘇ってきて。
柊君とは別れたんだって、どうしようもないんだって、仕方ないんだって……
何度も自分に言い聞かせてるのに。
今日、結婚式だったこと、柊君は今頃どう感じてるんだろう。
私は、スマートフォンを手に取った。
衣装合わせの時に撮った、世界でたった1枚だけの、柊君と私のウェディングフォト。
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恥ずかしそうに微笑む私が痛々しく思える。
「この綺麗なドレス、もう二度と着ることはないんだ……。柊君……かっこ良過ぎるよ……」
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