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脅迫状に隠された思い

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ついでに…亜矢奈さんも。


そう、今日は亜矢奈さんも一緒に食事していた。


最近、ちょこちょこいるのが…ちょっと気になるけど。


みんな、興味津々で脅迫状を覗きこむ。


『脅迫状なんて初めて見た…』


柊音君が怖々言った。


テニス部のキャプテンの柊音君は、いつも帰って来てすぐにシャワーを浴びる。


横に立つと、フワッとシャンプーの爽やかな香りがした。


隠しきれないオシャレ感は、円城寺家の他の人には無い独特の雰囲気。


『私もですわ。脅迫状なんて怖いです、凛音様~』


亜矢奈さん、ここぞとばかりに凛音にくっついてる。


『「文化祭の劇を中止しないと災いがおこる」なんて…文化祭で何かが起こるってことですか?』


初音ちゃんが言った。


自分が持ち込んだ事件だから、いつもより興味を持ってる感じだな。


友達や先生に関わることだから当たり前か…


『文化祭で何かが起こる…確かに劇をすれば何かが起こる…みたいな文章だけど…』


私が言うと、


『だったら今日、顧問の佐々木先生が怪我をしたのおかしくないかな?まだ劇をしたわけじゃないのに…これから中止されるかも知れないしね』


と、柊音君が続けた。


『やっぱり脅迫状と先生の怪我は関係ないってことですか?』


『初音さん。でも、先程凛音様が言われてましたわ。まだ断定は出来ないし関連があるかも知れないと…』


亜矢奈さん、凛音の言葉をよく聞いてる。


『偶然…?でもやっぱりたまたま今日階段から落ちたというのも腑に落ちないよね』


『ああ、柊音の言う通りだ。だけど、もし佐々木先生が自分で落ちたんじゃないとすれば、犯人をかばってることになる…先生は誰をかばって、何のためにそんなことを…?』


凛音は、そう言って腕を組んだ。


『何だか僕、頭がこんがらがってきたよ』
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