34 / 56
脅迫状の犯人の告白
6
しおりを挟む
『はい…大丈夫です。佐々木先生は、私に言いました。お前「万引き」しただろうって。もちろん身に覚えのないことです。だから否定しました。なのに、先生は…黙ってて欲しかったらお金を持って来いって…』
『佐々木先生が…?ひどい』
赤田さんが言った。
つらいよね、ずっと信じてた先生だから…
『私、どうしても行きたい大学があって、一生懸命勉強してきました。なのに、やってもいない「冤罪」で警察に連れて行かれたら…その夢が壊れてしまうのが怖かったんです』
中島さんは、ひとすじ涙を流した。
『…仕方なくお金を数回渡しました。少しだけ貯金があったので…だけど、それもすぐに無くなって。先生に、お金は払えないから止めて欲しいとお願いしました。でも聞いてくれなくて。私…もうどうしたらいいのかわからなくなって、一生懸命考えて脅迫状を書いたんです』
『学校宛にしなかったのは、もし誰かに「もみ消されたら」…と思ったんだね』
と、凛音。
『はい。その通りです。信頼出来る演劇部の部長、菜摘なら脅迫状を受け取って、劇を中止にしてくれるんじゃないかって。中止になれば…練習もなくなるし、ナレーションもしなくていい、先生とも2人きりにならなくて済む。そしたら…お金も要求されないと思って…』
そんな切実な願いが…あの脅迫状にこもってたんだ…
『なぜそんなにお金を持ってない高校生にしつこくお金の要求なんか…』
私の中に、佐々木先生への怒りが込み上げてきた。
『私も…どうして自分なのかって…』
『ごめんね、真由。私、脅迫状が怖くて教頭先生に相談して凛音様を紹介してもらったの。でも、教頭先生も警察沙汰にはしたくないみたいだったし、凛音様は「名探偵」だから…全てを頼ってしまった。劇は…せっかく作り上げて頑張ってきたし、出来ることなら演劇部のみんなを舞台に立たせてあげたいって…そう思ってしまったの。でも、それが真由を苦しめてたんだね。本当に…ごめん』
『佐々木先生が…?ひどい』
赤田さんが言った。
つらいよね、ずっと信じてた先生だから…
『私、どうしても行きたい大学があって、一生懸命勉強してきました。なのに、やってもいない「冤罪」で警察に連れて行かれたら…その夢が壊れてしまうのが怖かったんです』
中島さんは、ひとすじ涙を流した。
『…仕方なくお金を数回渡しました。少しだけ貯金があったので…だけど、それもすぐに無くなって。先生に、お金は払えないから止めて欲しいとお願いしました。でも聞いてくれなくて。私…もうどうしたらいいのかわからなくなって、一生懸命考えて脅迫状を書いたんです』
『学校宛にしなかったのは、もし誰かに「もみ消されたら」…と思ったんだね』
と、凛音。
『はい。その通りです。信頼出来る演劇部の部長、菜摘なら脅迫状を受け取って、劇を中止にしてくれるんじゃないかって。中止になれば…練習もなくなるし、ナレーションもしなくていい、先生とも2人きりにならなくて済む。そしたら…お金も要求されないと思って…』
そんな切実な願いが…あの脅迫状にこもってたんだ…
『なぜそんなにお金を持ってない高校生にしつこくお金の要求なんか…』
私の中に、佐々木先生への怒りが込み上げてきた。
『私も…どうして自分なのかって…』
『ごめんね、真由。私、脅迫状が怖くて教頭先生に相談して凛音様を紹介してもらったの。でも、教頭先生も警察沙汰にはしたくないみたいだったし、凛音様は「名探偵」だから…全てを頼ってしまった。劇は…せっかく作り上げて頑張ってきたし、出来ることなら演劇部のみんなを舞台に立たせてあげたいって…そう思ってしまったの。でも、それが真由を苦しめてたんだね。本当に…ごめん』
0
あなたにおすすめの小説
極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です
朝陽七彩
恋愛
私は。
「夕鶴、こっちにおいで」
現役の高校生だけど。
「ずっと夕鶴とこうしていたい」
担任の先生と。
「夕鶴を誰にも渡したくない」
付き合っています。
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
神城夕鶴(かみしろ ゆづる)
軽音楽部の絶対的エース
飛鷹隼理(ひだか しゅんり)
アイドル的存在の超イケメン先生
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
彼の名前は飛鷹隼理くん。
隼理くんは。
「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」
そう言って……。
「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」
そして隼理くんは……。
……‼
しゅっ……隼理くん……っ。
そんなことをされたら……。
隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。
……だけど……。
え……。
誰……?
誰なの……?
その人はいったい誰なの、隼理くん。
ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。
その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。
でも。
でも訊けない。
隼理くんに直接訊くことなんて。
私にはできない。
私は。
私は、これから先、一体どうすればいいの……?
天才天然天使様こと『三天美女』の汐崎真凜に勝手に婚姻届を出され、いつの間にか天使の旦那になったのだが...。【動画投稿】
田中又雄
恋愛
18の誕生日を迎えたその翌日のこと。
俺は分籍届を出すべく役所に来ていた...のだが。
「えっと...結論から申し上げますと...こちらの手続きは不要ですね」「...え?どういうことですか?」「昨日、婚姻届を出されているので親御様とは別の戸籍が作られていますので...」「...はい?」
そうやら俺は知らないうちに結婚していたようだった。
「あの...相手の人の名前は?」
「...汐崎真凛様...という方ですね」
その名前には心当たりがあった。
天才的な頭脳、マイペースで天然な性格、天使のような見た目から『三天美女』なんて呼ばれているうちの高校のアイドル的存在。
こうして俺は天使との-1日婚がスタートしたのだった。
(学園 + アイドル ÷ 未成年)× オッサン ≠ いちゃらぶ生活
まみ夜
キャラ文芸
年の差ラブコメ X 学園モノ X オッサン頭脳
様々な分野の専門家、様々な年齢を集め、それぞれ一芸をもっている学生が講師も務めて教え合う教育特区の学園へ出向した五十歳オッサンが、十七歳現役アイドルと同級生に。
子役出身の女優、芸能事務所社長、元セクシー女優なども登場し、学園の日常はハーレム展開?
第二巻は、ホラー風味です。
【ご注意ください】
※物語のキーワードとして、摂食障害が出てきます
※ヒロインの少女には、ストーカー気質があります
※主人公はいい年してるくせに、ぐちぐち悩みます
第二巻「夏は、夜」の改定版が完結いたしました。
この後、第三巻へ続くかはわかりませんが、万が一開始したときのために、「お気に入り」登録すると忘れたころに始まって、通知が意外とウザいと思われます。
表紙イラストはAI作成です。
(セミロング女性アイドルが彼氏の腕を抱く 茶色ブレザー制服 アニメ)
題名が「(同級生+アイドル÷未成年)×オッサン≠いちゃらぶ」から変更されております
【完結】イケメンが邪魔して本命に告白できません
竹柏凪紗
青春
高校の入学式、芸能コースに通うアイドルでイケメンの如月風磨が普通科で目立たない最上碧衣の教室にやってきた。女子たちがキャーキャー騒ぐなか、風磨は碧衣の肩を抱き寄せ「お前、今日から俺の女な」と宣言する。その真意とウソつきたちによって複雑になっていく2人の結末とは──
子持ち愛妻家の極悪上司にアタックしてもいいですか?天国の奥様には申し訳ないですが
霧内杳/眼鏡のさきっぽ
恋愛
胸がきゅんと、甘い音を立てる。
相手は、妻子持ちだというのに。
入社して配属一日目。
直属の上司で教育係だって紹介された人は、酷く人相の悪い人でした。
中高大と女子校育ちで男性慣れしてない私にとって、それだけでも恐怖なのに。
彼はちかよんなオーラバリバリで、仕事の質問すらする隙がない。
それでもどうにか仕事をこなしていたがとうとう、大きなミスを犯してしまう。
「俺が、悪いのか」
人のせいにするのかと叱責されるのかと思った。
けれど。
「俺の顔と、理由があって避け気味なせいだよな、すまん」
あやまってくれた彼に、胸がきゅんと甘い音を立てる。
相手は、妻子持ちなのに。
星谷桐子
22歳
システム開発会社営業事務
中高大女子校育ちで、ちょっぴり男性が苦手
自分の非はちゃんと認める子
頑張り屋さん
×
京塚大介
32歳
システム開発会社営業事務 主任
ツンツンあたまで目つき悪い
態度もでかくて人に恐怖を与えがち
5歳の娘にデレデレな愛妻家
いまでも亡くなった妻を愛している
私は京塚主任を、好きになってもいいのかな……?
出逢いがしらに恋をして 〜一目惚れした超イケメンが今日から上司になりました〜
泉南佳那
恋愛
高橋ひよりは25歳の会社員。
ある朝、遅刻寸前で乗った会社のエレベーターで見知らぬ男性とふたりになる。
モデルと見まごうほど超美形のその人は、その日、本社から移動してきた
ひよりの上司だった。
彼、宮沢ジュリアーノは29歳。日伊ハーフの気鋭のプロジェクト・マネージャー。
彼に一目惚れしたひよりだが、彼には本社重役の娘で会社で一番の美人、鈴木亜矢美の花婿候補との噂が……
苦手な冷徹専務が義兄になったかと思ったら極あま顔で迫ってくるんですが、なんででしょう?~偽家族恋愛~
霧内杳/眼鏡のさきっぽ
恋愛
「こちら、再婚相手の息子の仁さん」
母に紹介され、なにかの間違いだと思った。
だってそこにいたのは、私が敵視している専務だったから。
それだけでもかなりな不安案件なのに。
私の住んでいるマンションに下着泥が出た話題から、さらに。
「そうだ、仁のマンションに引っ越せばいい」
なーんて義父になる人が言い出して。
結局、反対できないまま専務と同居する羽目に。
前途多難な同居生活。
相変わらず専務はなに考えているかわからない。
……かと思えば。
「兄妹ならするだろ、これくらい」
当たり前のように落とされる、額へのキス。
いったい、どうなってんのー!?
三ツ森涼夏
24歳
大手菓子メーカー『おろち製菓』営業戦略部勤務
背が低く、振り返ったら忘れられるくらい、特徴のない顔がコンプレックス。
小1の時に両親が離婚して以来、母親を支えてきた頑張り屋さん。
たまにその頑張りが空回りすることも?
恋愛、苦手というより、嫌い。
淋しい、をちゃんと言えずにきた人。
×
八雲仁
30歳
大手菓子メーカー『おろち製菓』専務
背が高く、眼鏡のイケメン。
ただし、いつも無表情。
集中すると周りが見えなくなる。
そのことで周囲には誤解を与えがちだが、弁明する気はない。
小さい頃に母親が他界し、それ以来、ひとりで淋しさを抱えてきた人。
ふたりはちゃんと義兄妹になれるのか、それとも……!?
*****
千里専務のその後→『絶対零度の、ハーフ御曹司の愛ブルーの瞳をゲーヲタの私に溶かせとか言っています?……』
*****
表紙画像 湯弐様 pixiv ID3989101
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる