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知りたくなかった事実

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「双葉!!」


「きゃっ!」


振り替えると、もみじちゃん以上に鬼の形相をしたおばさんが立っていた。思わず持っていたコップを落としそうになった。
鋭く睨みつける目があまりにも恐ろしい。


「ふざけんな!   お前は姉さんと同じだよ!   いつも私より何倍も周りから可愛がられて、ちやほやされて。良い気になって笑顔をふりまいてる生意気なお前達が許せないんだよ。見てるだけで吐き気がする」


「おばさん!   お母さんのことは悪く言わないで。私、ここを出ますから」


「ああ、そうしておくれ。せいせいするよ、お前の顔を見なくて済むと思ったら」


おばさんの冷たい言葉が胸を貫く。


「そうだ、良い機会だから教えてあげる。高田はね、お前を苦しめるために私が知り合いの息子に頼んで近づかせたんだ」


「えっ……」


その信じられない衝撃の告白に、一瞬にして背筋が凍りついた。


「あいつはかなりのクズだってわかってたからね。まさか詐欺をするなんて思ってなかったけど、あの時のお前の顔を見るのは愉快だったよ。姉さんにもお前にも、ざまあみろって思った。私は姉さんに散々苦しめられて、もみじはお前に苦しめられた。だから、仕返しがしたかったんだよ」


「ひどい。私、あの時、やっと変われるかもって思えたのに……」


「はぁ?   幸せになんかさせない。変わるなんて許さない。でも……お前はもみじを怒らせたんだ。もうこれっきりだよ!  さっさと出ていきな!」


悲しくて切なくて、やり切れない。
おじさんは、おばさんの後ろにいて黙って見てる。
私は、こんな人達とずっと一緒に暮らしてきたんだ。そう思うと、急に情けなくなった。


確かにお金の心配は拭えない。
だけどもう……これでおしまいにする。
もっと早く離れるべきだったのに、色々甘えてしまった自分を心の底から責めたくなった。
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