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家族の意味
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数日後――
インターフォンの音がして、モニター画面に写るよく知った顔にドキッとした。
「……は、はい」
「双葉かい?」
「おばさん? どうして?」
「話があるから来たんだ。さっさと中に入れてよ」
突然の訪問に心臓がバクバクし始める。
「……私が下に降ります。そこで待ってて下さい」
おばさんがいったい何の用?
本当はあんまり会いたくなかったけど、何か大事な話かも知れないし……
私は、ドキドキしながらエレベーターに乗り、1階のホールの自動ドアを出た。
「おばさん、どうしたんですか? 急に」
「旦那は? いるの?」
「……いえ、今日はいません。仕事です」
「だったら良かった。双葉、あんた、私達に散々世話になっておきながら、きちんと挨拶も無しか?」
おばさんは、相変わらず身だしなみには構わず、家の中にいるようなラフな格好だった。
「……ご挨拶ならしたはずです。理仁さんと2人で伺いました」
あの時、おじさんだけが出てきて、おばさんともみじちゃんは顔を見せなかった。
「あんなのは挨拶じゃない。手ぶらで来て」
「……何が言いたいんですか?」
「私ともみじは、あんたと姉さんに苦しめられたんだ。だったら、慰謝料を払うべきだよ」
「慰謝料?」
「ずっと育ててやったのに、恩を仇で返して」
「仇で返すなんて、そんなつもりはありません」
「旦那に借金も全部返してもらったんだろ? 慰謝料なんて、今のあんたなら何とでもなるだろ?」
おばさんと話すと自然に胸が苦しくなる。
「私は理仁さんに生活費をいただいてます。他に使えるお金なんてありません」
確かに、借金も返済してもらったし、十分過ぎる生活費ももらっている。
だからといって、慰謝料なんて……
インターフォンの音がして、モニター画面に写るよく知った顔にドキッとした。
「……は、はい」
「双葉かい?」
「おばさん? どうして?」
「話があるから来たんだ。さっさと中に入れてよ」
突然の訪問に心臓がバクバクし始める。
「……私が下に降ります。そこで待ってて下さい」
おばさんがいったい何の用?
本当はあんまり会いたくなかったけど、何か大事な話かも知れないし……
私は、ドキドキしながらエレベーターに乗り、1階のホールの自動ドアを出た。
「おばさん、どうしたんですか? 急に」
「旦那は? いるの?」
「……いえ、今日はいません。仕事です」
「だったら良かった。双葉、あんた、私達に散々世話になっておきながら、きちんと挨拶も無しか?」
おばさんは、相変わらず身だしなみには構わず、家の中にいるようなラフな格好だった。
「……ご挨拶ならしたはずです。理仁さんと2人で伺いました」
あの時、おじさんだけが出てきて、おばさんともみじちゃんは顔を見せなかった。
「あんなのは挨拶じゃない。手ぶらで来て」
「……何が言いたいんですか?」
「私ともみじは、あんたと姉さんに苦しめられたんだ。だったら、慰謝料を払うべきだよ」
「慰謝料?」
「ずっと育ててやったのに、恩を仇で返して」
「仇で返すなんて、そんなつもりはありません」
「旦那に借金も全部返してもらったんだろ? 慰謝料なんて、今のあんたなら何とでもなるだろ?」
おばさんと話すと自然に胸が苦しくなる。
「私は理仁さんに生活費をいただいてます。他に使えるお金なんてありません」
確かに、借金も返済してもらったし、十分過ぎる生活費ももらっている。
だからといって、慰謝料なんて……
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