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運命の出会い
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「夕(ゆう)」
「何? 母さん」
「あちらさんにご迷惑のないようにね。お土産は持った?」
僕の母さんは、少々心配症だ。
24歳にもなって彼女もいない、両親が営む小さな旅館『久我屋(くがや)』の手伝いをしながら、好きな小説を書いているような息子だから、心配になるのも仕方がない。
だけれど、この状況を解決する方法を、僕は見つけられない。仕事のことはともかく、彼女についてはどうすることもできない。
「愛情」という感情を持たずに生まれてきた僕には、恋愛というものが理解できない。
もちろん、人としての「好き」ならわかる。両親や僕を支えてくれる人達のことは、確かに「大切」だ。
でも、誰かを「愛する」ことなど、僕には無縁の世界のできごとだった。
「うん、大丈夫だよ。じゃあ、行ってきます」
「気をつけてね~」
母さんに手を振り、僕は自転車を漕ぎ出した。
砂浜と海を右側に見ながら、駅まで続く道をひたすら走る。
頬に当たる風が少し冷たい。
肌寒い季節になってきたのを感じながら、遥か向こうまで広がる壮大な白と青の景色に心が癒される。生まれた時からここにいる僕だけれど、何度見ても飽きることがない素晴らしい光景だ。
そして、左側には、都会というにはほど遠く、ど田舎というほど閑散としているわけでもない、暮らすにはちょうど良い町並が広がっている。
民家もある、商店街もある、観光客のためのお土産屋もある、ファミリーレストランもある、もちろんスーパーやコンビニも。
学校や、病院、銀行に郵便局、生活するには何の不自由もない。
人も穏やかで温かく、優しくゆっくりと流れている時間が、僕にはとても合っていた。
僕は、今以上の生活を望んではいない。
今のままで充分……満足だと感じている。
駅に着いて、電車に乗る。
今から1時間半、乗り換えながら、僕は、大都会「東京」へと向かう。
プロではない自分が書く小説を、ありがたいことに書籍化してくれる出版社の方に会うためだ。
「お久しぶりです、夕先生」
東京駅に到着したのは昼を少し回った頃だった。
しかし、何度呼ばれても「先生」呼びには慣れない。
「何? 母さん」
「あちらさんにご迷惑のないようにね。お土産は持った?」
僕の母さんは、少々心配症だ。
24歳にもなって彼女もいない、両親が営む小さな旅館『久我屋(くがや)』の手伝いをしながら、好きな小説を書いているような息子だから、心配になるのも仕方がない。
だけれど、この状況を解決する方法を、僕は見つけられない。仕事のことはともかく、彼女についてはどうすることもできない。
「愛情」という感情を持たずに生まれてきた僕には、恋愛というものが理解できない。
もちろん、人としての「好き」ならわかる。両親や僕を支えてくれる人達のことは、確かに「大切」だ。
でも、誰かを「愛する」ことなど、僕には無縁の世界のできごとだった。
「うん、大丈夫だよ。じゃあ、行ってきます」
「気をつけてね~」
母さんに手を振り、僕は自転車を漕ぎ出した。
砂浜と海を右側に見ながら、駅まで続く道をひたすら走る。
頬に当たる風が少し冷たい。
肌寒い季節になってきたのを感じながら、遥か向こうまで広がる壮大な白と青の景色に心が癒される。生まれた時からここにいる僕だけれど、何度見ても飽きることがない素晴らしい光景だ。
そして、左側には、都会というにはほど遠く、ど田舎というほど閑散としているわけでもない、暮らすにはちょうど良い町並が広がっている。
民家もある、商店街もある、観光客のためのお土産屋もある、ファミリーレストランもある、もちろんスーパーやコンビニも。
学校や、病院、銀行に郵便局、生活するには何の不自由もない。
人も穏やかで温かく、優しくゆっくりと流れている時間が、僕にはとても合っていた。
僕は、今以上の生活を望んではいない。
今のままで充分……満足だと感じている。
駅に着いて、電車に乗る。
今から1時間半、乗り換えながら、僕は、大都会「東京」へと向かう。
プロではない自分が書く小説を、ありがたいことに書籍化してくれる出版社の方に会うためだ。
「お久しぶりです、夕先生」
東京駅に到着したのは昼を少し回った頃だった。
しかし、何度呼ばれても「先生」呼びには慣れない。
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