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思いもよらぬ女性の存在

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目の前にいる本物のお嬢様や麗華はとても魅力がある。


女性として、私は…全然勝てる自信がない。


なのにどうして慶都さんは…


何だか良くわからなくなってきた。


『マリエさん、お願いします。とにかく今は誰にも話さないでください。雪都のことも、私と慶都さんとのことも、すごくプライベートでデリケートな問題ですから』


『それはあなた次第。あなたが自分の身分をちゃんとわきまえるなら…私はあなたを尊敬します。でも…まあ、良く考えてみて下さい。彩葉さんの幸せはもっと別のところにあるんじゃないですか?』


マリエさんの考えに今私が意見しようとしても何もならない。


この人の価値観は何を言っても変わらないだろうから。


でも、私は…


やっぱり自分の立場をもう少し考えるべきなの?


1度は慶都さんの未来を考えて身を引こうと決意した。


でも再会してから私の気持ちはどんどん慶都さんに引き寄せられて…


そんな曖昧な気持ちじゃダメなんだってわかってるけど…


ユラユラして全然安定感のない毎日、こんな弱い心じゃ、結局、最後には慶都さんに迷惑をかけてしまうのかな。


九条グループを守っていくには、マリエさんみたいなハッキリと物事を決めれる人といた方が幸せなの?


何だか切なくて、やるせなくて、悲しい気分。


マリエさんは「答えを待ってます」、そう言い残して颯爽と歩き出した。


綺麗に揺れる長い黒髪の後ろ姿。


高価で素敵な洋服、靴、バッグを身につけて…


全てハイブランドなんだろうけど、私には似合わない。


もちろん、そういう贅沢な生活を選ばなかったのは私自身。


それを後悔してる訳じゃないけど…


ああ、もう、今日は雪都と楽しい時間を過ごすはずだったのに。


こんなにも心が複雑に揺れてしまってる。


一喜一憂して、いったい…私は何をしてるの?


答えが出せない毎日に、ただでさえモヤモヤしてるのに、さらに難しい問題を投げかけられた気がして。


おもちゃでごちゃごちゃに散らかった保育園の部屋よりも、もっともっと…私の頭の中は整理出来ない状態になってしまった。


小さな子ども達にだって、お片付けは出来るのに。


まだまだ人間として未熟な自分が、本当に情けなく思えた。
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