あなたと恋に落ちるまで～御曹司は、一途に私に恋をする～

社長としてのあなた

5

嫌なのか？って…


仕事以外で、私が付き合ってもない男性の部屋にパンを届けるんだよね？


そんなこと…


なんか変だよ…


その時、ノックの音がしてドアが開いた。


『お待たせして申し訳ありません』


そう言いながら、前田さんが入って来た。


もう1人の人と2人で、榊社長の食事の支度を始めた。


テーブルに置かれるパンと…


これは、ロイヤルミルクティー？


私の大好物だ。


紅茶とミルクが程よく混ざった、ほんのり甘くて優しい香りがする。


『私、失礼します』


ソファから立ち上がろうとしたら、


『美山様の分もご用意させていただきますので』


前田さんがニコッと笑った。


『いえ、私は…』


『このロイヤルミルクティー、最高級の茶葉とミルクを使っています。ぜひ、召し上がってみて下さい』


そんな…


紅茶好きとしては、最高級の茶葉なんて言われたら興味津々だよ。


今逃したら、もう一生飲めないかも知れない。


『さあ、どうぞ』


前田さんに勧められて、私は…


『あ、ありがとうございます。いただきます』


最高級茶葉の誘惑に負けてしまった。


榊社長が先に飲んだのを見てから、私も口をつけた。


『美味しいです！嘘みたい…こんな美味しいロイヤルミルクティー初めて飲みました！』


甘すぎず、スッキリとした味わいで、ちょっと大人の味がして、リッチな気分になった。


『この茶葉、前田君のご実家で販売されてる茶葉なんだ。俺も昔からずっと飲んでる』


『え？前田さんのご実家で？』


『あ、はい…京都で両親が店をしています。社長にはずっと…ごひいきにしていただいて…』


前田さんって…京都の人だったの？


穏やかで真面目な雰囲気が、妙に京都とマッチしてる。


ただのイメージだけど。


大阪イコール元気なあんこさん…これも私の中の勝手なイメージ。


『すごいですね…こんな美味しい紅茶がいただけて嬉しかったです。ありがとうございます』