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ライバルと自分~希良side~

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続き…


雫さんのこと…


『あ、はい。僕は…』


この人には、隠しても仕方ないと思った。


『雫さんのこと、好きですよ…すごく』


そうハッキリと言った僕の顔を、東堂さんは少しだけ驚いたように見た。


『そっか…』


僕はうなづく、そして…聞き返した。


『あなたも…ですよね?』


しばらく考えてたみたいだったけど、東堂さんもゆっくりと…うなづいた。


『俺達は…2人とも雫ちゃんが好きで、そして…あの人も…』


あの人とは、間違いなく榊社長のことだろう。


でも、僕も東堂さんも、敢えてその名前は出さなかった。


きっと…


あの人には敵わないかも知れないと…東堂さんも、どこかで感じてるのかも知れない。


『いつから雫さんのことを?』


僕は、少し話を逸らした。


『あ、ああ。雫ちゃんがあの店に来た時…もう、4、5年前かな?最初は、すごく素敵な人だなと思って…だんだん…って言う感じかな』


東堂さんは「杏」に出入りしてて、雫さんをずっと見て来たんだ…


どんな時もずっと…


そんな長い間、雫さんを見つめていられたこと、心からうらやましいと思った。


『東堂さんと雫さんは、同じ25歳なんですよね。いいなぁ、2人とも大人で。僕なんか20歳で、雫さんからしたら、ただの年下の男の子くらいにしか見てもらえてません、きっと…』


『雫ちゃんは別としても、俺はそんなに大人じゃないよ。中身は…渡辺君の方がしっかりしてる。それに俺も…彼女には友達…いや、ただの出入りの業者みたいに思われてるだけかも知れない…』


そう言って、東堂さんはグラスに残ったビールを飲み干した。


『告白は…しないんですか?僕は…この前しました。一緒にテーマパークに行って…でも、返事はもらえませんでした。はっきりフラれたわけじゃないけど…あれから、僕の気持ちは…かなり落ち込んでます』
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