硝子のカーテンコール

鷹栖 透

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第四章 揺らぐ均衡

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隆は、葵との会話の後、頭を抱えて街をさまよっていた。「赤い箱」「日記」「〇〇」、そして葵の不自然な反応。一つ一つのピースが繋がりそうで繋がらないもどかしさに、隆は苛立っていた。図書館で見つけた「清水夏帆」という名前も、何か引っかかるものがあった。

その時、隆の携帯電話が鳴った。電話の相手は、徹だった。

「隆、今、話せるか? 詩織のことなんだけど…。」 徹の声は、深刻さを帯びていた。

徹は、詩織が事故の後、精神的に不安定になり、大学を休学していたことを明かした。「詩織は、玲奈の死の責任を感じて、ずっと苦しんでいた。時々、うわごとで『私が玲奈を…』『赤い箱…』って呟いていたんだ。…それと、隆、お前は知らなかったかもしれないが、玲奈は、お前に好意を持っていたんだ。詩織も、それを知っていて…、それに、最近、玲奈にそっくりな女優がいるって噂を聞いたんだ。清水夏帆って言うらしい。お前も、調べてみろ。」

徹の言葉は、雷のように隆の脳裏を駆け抜けた。玲奈が、自分に好意を持っていた? 詩織が、それを知っていた? そして、赤い箱、清水夏帆。これらのピースが、一つの絵を形作ろうとしていた。

隆の心は、混乱していた。詩織への愛情、玲奈への淡い想い、そして、事件の真相への渇望。様々な感情が、隆の胸中を駆け巡った。

隆は、一つの仮説にたどり着いた。詩織は、玲奈の日記を見て、嫉妬に狂い、彼女を突き落とした。赤い箱には、日記と、隆への想いを示す何かが入っていた。葵は、その一部始終を見ていた。彼女は、詩織の罪を隠蔽し、自分が主役の座を手に入れようとした。そして、「〇〇」とは、隆自身のことだった。隆が玲奈の好意に気づいていれば、事故は防げたのかもしれない。告発状は、そう訴えているようだった。

しかし、まだわからないことがあった。清水夏帆と玲奈の関係は? なぜ、夏帆は生きていると詩織は知っているのか?

「…大学の演劇部の部室だ。彼女は、時々あそこに行って、一人で過ごしているらしい。」徹の言葉で、隆は我に返った。

隆は、演劇部の部室へと急いだ。各々が心に秘めた想いが、歪み、憎しみとなり、悲劇を生んだ。隆の心は、怒りと悲しみ、そして詩織への複雑な想いで張り裂けそうだった。今、隆は、真実と向き合う覚悟を決めていた。部室のドアを開けると、詩織が一人、舞台装置の前に座っていた。彼女の表情は、暗く沈んでおり、まるで生気を失っているようだった。隆は、彼女の罪を、そして自分自身の罪を、問いただそうとしていた。
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